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2009年03月04日
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カテゴリ:か行の作家
怪人二十面相・青銅の魔人.jpg

お気に入り度:星星星

戦後すぐの東京に現れた「青銅の魔人」。
その正体は―言わずと知れた二代目・二十面相。
師匠の遺志を継いだ平吉の、やはり二代目・明智小五郎
との宿命の対決は、クライマックスのどんでん返しへ。
平吉を密かに応援するのは太宰治。
その太宰の入水の報に、玉川上水に駆け付けた平吉は…。
怪盗の側から綴る、奇想天外のニュー・冒険小説。
            (「BOOK」データベースより)



明智小五郎と怪人二十面相の対決を二十面相からの
視点で描いている『怪人二十面相・伝』の続編です。

前回のレビューでも書きましたが、このシリーズでは
怪人二十面相は、人情のあるちょっとお茶目な怪盗として、
明智小五郎と小林少年は、自己顕示欲が強く打算的な
人間として描かれています。


前作のラストで、明智小五郎に乗っていたボートを
爆破され生死不明となってしまった怪人二十面相・丈吉。

それから数年後。様々な辛い経験を経て大人になった
平吉は、丈吉の行方をつかむため、丈吉の後を継ぎ
怪人二十面相となることを決心した。

そんな平吉の元に、年老いた明智小五郎が現れた。
病に蝕まれ余命幾ばくもない明智は、二十面相と
なるため修行を積む平吉の後押しをするかのように
丈吉が残したというノートを平吉に託して去っていく。

やがて明智小五郎は亡くなり、小林少年(今は青年)が
明智小五郎の名を継ぎ、2代目明智小五郎となる。

初代二十面相の丈吉をさか恨みしていた2代目明智。
その恨みの矛先は2代目二十面相・平吉に向けられ、
また新たな「明智小五郎対怪人二十面相」の戦いが始まる。


平吉、2代目明智、共に孤児の少年達に協力を仰ぐ訳ですが
平吉が愛情を持って少年達と接しているのに対し、明智は
少年達を汚いものとして、まるで虫けらのように扱います。

前作での「小林少年」時代もかなりムカつく小僧でしたが、
2代目明智小五郎となってから、さらにその感じ悪さに
磨きがかかっていて、ある意味「あっぱれ」という感じ(笑)

この作品、二十面相と明智の対決が盛りあがったところで
終わってしまうんですよね。しかも、続編はなし。

たぶんこの終わり方が一番しっくりくるんだとは思うけれど
できればもう少しこの2人の対決を見てみたかったなぁ、
とちょっと残念に思いました。

いわゆる「オマージュ作品」ですから、本家の江戸川乱歩
作品に通じる雰囲気が上手いこと醸し出されています。

子供の頃に読んだ本家作品を思い出して楽しかったです。

でも、なぜに太宰治が登場?その部分がちょっと謎でした。


映画『怪人二十面相・伝』では、平吉=金城武さん
明智=仲村トオルさんというキャスティングなんですよね。

映画は見ていないのですが、テレビCMなどを何度も目にした
せいか、平吉=金城武さんのイメージで読んでいました。
これがなかなかはまっていていい感じなんですよ。

でも、性格が歪みまくりの2代目明智=仲村トオルさんという
イメージは、仲村トオルさんのファンの私としてはちょっと
いただけなかったので、別の人をイメージして読みました(笑)






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最終更新日  2009年03月04日 16時09分57秒
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