|
カテゴリ:柴田よしき
京都で素人ながら探偵業を始めた下澤唯。 ある時、行方不明になった夫・遠藤祐介を探してほしい という依頼が舞い込んだ。手がかりは、遠藤の部下で 愛人と噂される白石和美。だが、唯が尾行して二週間、 和美は日がな八瀬遊園の観覧車に乗り、黙って時が過ぎて ゆくのを待つだけだった。彼女は何かに絶望している…。 みずからの姿を重ねあわせるようにして、愛するものを 失うことに想いを寄せる唯。(『観覧車』紹介文より) てっきり長編だと思って読んでみたら、連作短篇集でした。 1話目の時点では、唯の夫・貴之が失踪してから3年。 それから最終話までに、7年もの年月が経過していきます。 何年たっても探偵業に必要な『非情さ』を持つことができず、 依頼人や調査対象の人に感情移入してしまう、唯。 1年だけの結婚生活。生死もわからないまま、 ある日突然消えてしまった貴之を待ち続けて10年。 生きていて戻らないということは、夫が自分を裏切っている ということ。いっそ夫が死んでいるなら、自分は裏切られた ことにはならない。 でも、生きていてほしい。逢いたい。 でも、逢うのがこわい…。 思わず、ギュッ、って抱きしめてあげたくなってしまう。 もう、ほんとに切ないです。 ありがちだけど、『記憶喪失』オチだったらいいのに、 と願わずにはいられない。 淡々とした日々を送る中、新潟での失踪人捜索の調査中に、 佐渡行きのフェリーに乗り込む貴之の姿を見つけたことから、 唯の物語は一気に加速していく…。 この本を読む前に、柴田さんの著書の検索をしていたら 『回転木馬』というタイトルの本を発見。 「遊園地の乗り物繋がりだし、もしや…」と思い調べたら、 やっぱり続編だったので、速攻で借りました。 『観覧車』のラストは、エンジンがかかり、アクセルを 踏み込んだ、という時点で終わっちゃってるので、 『回転木馬』スタンバイしといて大正解でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年04月19日 18時19分03秒
コメント(0) | コメントを書く
[柴田よしき] カテゴリの最新記事
|