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カテゴリ:な行の作家
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、 季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。 西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、 まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、 何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも…。 その後のまいの物語「渡りの一日」併録。(「BOOK」データベースより) 『西の魔女』こと、まいのおばあちゃんは外国人です。 まいが「おばあちゃん、大好き」というと、必ず「アイ・ノウ」と答えます。 畑で取れた野菜とハムのサンドウィッチ。庭のハーブで作るハーブティー。 裏山の野イチゴで作るジャム。産みたての卵で作るハムエッグ。 どれもおいしそうで、うっとりしてしまいました。 おばあちゃんが語る『魔女になるためのトレーニング』は、 人として生きていくうえでとても大切なこと。 様々なまいの疑問にも、おばあちゃんは丁寧に答えていきます。 ある日、まいはおばあちゃんに「人は死んだらどうなるの」と尋ねます。 おばあちゃんは「わかりません。実を言うと、死んだことがないので」 と答えつつも、『魂が体から離れる』という、自分の信じている死後に ついてまいに語ります。 死後について、いまひとつ理解しきれないまいにおばあちゃんは 「自分が死んだら、まいを怖がらせない方法を選んで、魂が体から 離れたという証拠を見せる」という約束をします。 おばあちゃんとの暮らしにすっかりなれた頃、単身赴任中のお父さんから 『家族みんなで暮らさないか?』という提案がありました。 父さんの元へ行くことにより、転校という形で、孤立しているクラスから 抜け出すことは「楽な道を選ぶ」ことになるのではではないかと 躊躇するまいにおばあちゃんはこう言います。 「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく 思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、 蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極を選んだから といって、だれがシロクマを責めますか」 一風変わった例えなんだけど、なんか心にストンと納まって、 ふーっと肩の力がと抜けるような感覚になりました。 幸せな生活の中、まいの心をかき乱すようないくつかの事件が起き、 まいはある人物に対して嫌悪感や疑惑を抱いていきます。 そのことに関するおばあちゃんの考えがどうしても納得できなかった まいは、気まずい気持ちを抱えたまま、おばあちゃんの家を後にします。 それから2年-。 まいの元に、悲しい知らせが届きます。 おばあちゃんからまいへの愛情あふれるメッセージ。 せつないのに、つい微笑んでしまう。 心の中にやわらかな光がさしこんでくるような気持ちになる あたたかくて素敵なラストでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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