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カテゴリ:荻原 浩
倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に大仕事が舞いこんだ。 ところがその中身はヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略、というとんでもない代物。 担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとには、 さらに別居中の娘まで転がりこんでくる。社の未来と父親としての意地を賭けて、 杉山は走りだすが―。気持ちよく笑えて泣ける、痛快ユーモア小説。 (「BOOK」データベースより) 『なかよし小鳩組』というかわいらしいタイトルを見て、幼稚園とか保育園の 『もも組』とか『さくらんぼ組』みたいなのを連想してたんですよね。 だから「きっとかわいい感じの話なんだろうなー」と思って読んでみたらば。 最初の1ページ目でいきなり「そっちの『組』かいっ!」って・・・(笑) しかも小鳩組、悪人粒ぞろいのバリバリなヤクザです。 小鳩組長は自己中でミーハ―ですぐにキレる、かなり面倒くさいオッサンだし。 組長出演のCMを作れだの、『任侠展』なるイベントに客を1000人集めろだの、 あれやこれやと無理難題をふっかけてきます。 挙句の果てに、ユニバーサル広告社を自分の組専属の広告会社にしようと、 脅しや悪どい手段を使ってきます。 ユニバーサル広告社の社長・石井がまた困ったおじさんで・・・。気はいいんだけど。 煽てられてコロッと騙されて、書類にサインとかしちゃうんですよ~。 強面のヤクザ達の脅しにビビリながらも、自分達の会社を守るために毅然と立ち 向かうユニバーサル広告社の面々。その姿は、あっぱれ!という感じです。 でも『ある偶然の出来事』がなかったら、全員東京湾に沈められてたかも・・・(汗) 主人公の杉山はバツイチでアル中でグダグダな生活を送っていたんだけれど、 別居中の7歳の娘・早苗を預かったことや元妻の病、そして小鳩組との対決などを きっかけに、少しずつ変わっていきます。 杉山の娘、早苗ちゃんは女のコなのにJリーガーを目指しているというメチャメチャ 元気なコで、ダビスタ(競馬シュミレーションゲーム)とお昼の奥様劇場『愛のシュラ』 にどっぷりとはまっちゃってます。 「幸せは比べるものじゃないわ」「不幸は比べることから始まるのよ」など、子供とは 思えない名言を吐いて杉山をドキッとさせますが、すべて『愛のシュラ』の受け売り(笑) 早苗ちゃんとってもナイスキャラです。 ちなみに小鳩組側にも、スキンヘッドでバリバリのヤクザなんだけどなんだか憎めない 感じの河田や、本心ではヤクザから足を洗いボクサーになりたいと思っている勝也など、 つい肩入れしたくなってしまうキャラもいたりします。 ラストは、「え!うそ!ここで終わっちゃうの~?」という感じでした。 「あの件はどうなったの?」「あの人はどうなったの?」って、その後が気になって 仕方がない事が山積みなんですもん。 面白かったんだけど、ちょっと消化不良な気分になってしまいました。 余談ですが、私はある理由から、「小鳩組長、貴様だけは許せん!」って思いました。 キーワードは『猫』。猫好きの方には私の気持ちがおわかりいただけるかと・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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