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カテゴリ:は行の作家
推理界初のアウトドアミステリー!! 昇任試験を受けず、ひたすら昆虫の研究にいそしむ 村の駐在さん・向坊一美(むかいぼうかずみ)。 人間と虫とのかかわりから事件を推理していく彼を、 人は「昆虫巡査」と呼ぶ。 物語は、釣りライター矢張双(やはりそう)が九州・大分の 七川村の沢で白骨死体に遭遇したことに始まる。 死体の骨に付着した虫から昆虫巡査・向坊が死亡時期を推定、 身許が判明する。続けて女性の全裸死体が発見され…。 入念な取材と卓抜な着想で推理界に新風を送る話題作。 (Amazonより) 昆虫に詳しい巡査が虫に関する知識を駆使して事件を 解明していく、という設定がすごく斬新でした。 九州の小さな村の駐在・向坊一美巡査は「昆虫博士」の 異名を持つほどの大の昆虫好きで、出世はそっちのけで 暇さえあれば網を片手に虫を追い掛け回している。 「ひまなおまわりさん」ということから、「ひまわりさん」 と呼ばれ、村人から親しまれている。 ある日、村で白骨死体が発見され、その骨に付着した虫や 虫の死骸などから、向坊巡査が死亡時期などを推定し、 早々に死体の身許が判明した。 その後、さらに謎の女性の全裸死体が発見され、 向坊巡査はまたも「昆虫推理」を展開する。 捜査が進んでいくうち、かつて警察署長を務めていた 向坊巡査の祖父を罠にかけ、辞職に追い込んだ人間が 事件の背後にいることを知った向坊巡査は、独自に 真相を探っていく・・・。 この作品の向坊一美というキャラクターは、実在する 佐々木茂美巡査という方がモデルになっているそうです。 「昆虫博士」と呼ばれる佐々木巡査は、実際に、白骨死体に 付着していた虫などから死亡時期を推理し、死体の身許の 特定に貢献したことがあるそうです。 実在のモデルがいることもあり、虫に関する描写が かなり緻密に描かれています。 ラストの方で、何億もの蜉蝣(かげろう)の大群が渓谷を 飛びまわるシーンには、思わず鳥肌が立っちゃいました。 作者の平野肇さんの本職は、プロのミュージシャンですが 大の釣り好きで、本作に登場する釣りライターと同じ名前の 「矢張双(やはりそう)」というペンネームで釣りエッセイも 書いていて、近年は環境活動などにも力を入れているとか。 この作品の中に、環境破壊により生態系が変化してしまった 虫や魚などに関するエピソードがいくつか登場します。 それは、静かな怒りを込めた環境破壊への警鐘だと感じました。 設定が斬新でキャラクターも魅力的ですが、なによりも作者の 自然に対する深い愛情をひしひしと感じるような作品でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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