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2009年01月08日
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カテゴリ:か行の作家
ナイチンゲールの沈黙.jpg

東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜。
担当は、眼球に発生する癌―網膜芽腫(レティノブラストーマ)
の子供たち。眼球を摘出されてしまう彼らの運命に心を痛めた小夜は
子供たちのメンタルサポートを不定愁訴外来・田口公平に依頼する。
その渦中に患児の父親が殺され、警察庁から派遣された加納警視正は
院内捜査を開始する。小児科病棟や救急センターのスタッフ、
大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・
白鳥圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく…。
                 (「BOOK」データベースより)



「田口&白鳥コンビ」シリーズ第2弾。
『チーム・バチスタの栄光』の続編です。

前作の『チーム・バチスタの栄光』は医療系ミステリ
という枠でしたが、この作品はまったく別ものです。

共通するのは、病院が主な舞台であるということと
トンデモ役人・白鳥の登場が遅いということくらいかも(笑)

この作品に対するレビューをいくつか見かけましたが
「期待ハズレ」という意見が多かったです。

殺人事件は発生するものの、ミステリというよりも
SFというかオカルト系の要素が色濃い内容なので
前作のような路線を期待していた人がこの作品を読んで
がっかりするというのもわかるような気もします。

私の場合、「医療ミステリ」というものにこだわりはなかったし
続編というより、「同一キャラクターが登場するまったく別の話」
として読んだので、特にがっかり感はありませんでした。

内容的にはかなり「好き・嫌い」が分かれそうな作品だと
思いますが、私はこの作品好きです。

この作品の鍵となるのは「歌」。
ある人の「歌」は、聞いている人の心の中の悪意や憎悪を喚起し、
それを増幅させたり、浄化したりする。
ある人の「歌」は、聞いている人の頭の中に「映像」を浮かび
上がらせることができる。

そんなことが実際にあり得るのかはわからないけれど
かなり興味深い設定でした。

殺人事件の捜査にあたる加納警視正のマイペースさや強引さが
「どことなく白鳥を彷彿とさせるなー」と思っていたら、案の定、
白鳥の大学時代の同級生だったりするんですが、それはさておき
この加納さんの捜査方法っていうのが、とっても科学的。

「デジタル・ムービー・アナリシス」というらしいんですが
デジタルビデオなどで現場の隅から隅まで撮影し、現場環境を
すべてデジタルデータ化して、それをコンピューターで様々な
解析にかけることにより、犯行時の状況や、身長や利き腕など
犯人の特徴を分析できるという、加納さん独自の特殊な手法。

ゆえに、加納さんのあだ名は「デジタル・ハウンドドッグ」(笑)


小児病棟の患者の瑞人くんは、どうしようもない父親から
ネグレクト(育児放棄)されていて、常に斜に構えている。
中学3年生とは思えないようなクールさが痛々しくて悲しい。

「~であります」が口癖の5歳のアツシくんは、ヒーローもの
『ハイパーマン・バッカス』のシトロン星人が大好きな男の子。

二人は共に、網膜芽腫という病気で眼球摘出を余儀なくされている。

二人の担当看護師・小夜は悲しい過去を持つ「歌姫」。

やりきれない展開をみせていくストーリーの中で、可愛くて健気な
アツシくんの存在がすごく救いになりました。

ちなみに、アツシくんが好きな『ハイパーマン・バッカス』
というのは『ウルトラマン』のパチものっぽいやつなんですが
主人公は不正をして地球防衛軍をリストラされたためお金がなく、
無賃乗車やヒッチハイクをして怪獣の出現場所まで辿り着き、
しかも、酒を飲んで酔っ払わないと変身できないらしいんです。
あまりにもシュールな設定がかなり笑えました。






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最終更新日  2009年01月08日 16時15分55秒
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