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カテゴリ:スマイル
まず見て思ったのは、別にこれは声高に「差別」あるいは「差別撤廃」を叫ぶドラマではないということです。
冒頭画面に映されるリンカーン記念館。 I have a dream.という文字。 ゆっくりと読みあげるビトのナレーション。 かの有名なマーティン・ルーサー・キング牧師の演説の冒頭。 しばらく話が進んだ後に再び挿入される拘置所の場面。 流れるビトのモノローグ。 I have a dream. 僕には夢がある。 それは、レストランを作ることです。 そのレストランは多国籍料理の店です。さまざまな国の料理が味わえるレストランです。 あなたと二人で、一緒にそのレストランができればいいな、と思います。 店の名前は、まだ決めてません。 でも、そこで食事をしている人は、みんな笑顔です。 顔見知りも、見ず知らずの人も、みんな同じテーブルについて、そして、 笑顔なのです。 キング牧師の演説をなぞるような言葉。 敵とか味方とか、何人とか階級とか。そんなものとっぱらって。 人が人としてともに生きられる世界。牧師はそれを兄弟愛と表現しました。 それを理想見る(ゆめみる)物語。 人が人として、辛い状況や苦境に負けないで、自分を保ち続けること。自分であり続けることができる強さを持つこと。 その強さをあたえてくれるのは、人と人のつながりであること。支えであること。 信じる心であること。 それを、描こうとしている、まさにベタな物語。 その主人公として、これでもかという苦難に見舞われるのが青年ビト。 シンボライズに兄弟愛を提示するためには、自分自身のせいではない外的要因による苦境に身を置く存在が必要だった。そのための設定だと認識しています。 (また、その立場の人すべてに当てはまるものでもない。ハーフの人たちを象徴するものではなく、苦境に身を置く存在の一つの例示。ととらえています。 同じ日本人でも育つ環境や境遇は様々です。善意と愛情に囲まれて育つ子もいるし、ネグレクトを受け愛情に飢えて育つ子もいる。ハーフの方でも外国の方でも、状況は同じだと思います。さまざまな境遇にある方がおられるでしょう。だから、くくり方を間違えてはいけないと思う。さらに言えば、幸福かどうかは本人の意識によります。外的状況にはよりません。この場合の苦境とは外側から見た客観的な不遇をさすものです。) そしてそれは、その外的要因を糾弾するための手段では決してない。(この場合は北見さん演じる刑事とかハーフ設定とか) だからこそ、ビトのモノローグのバックに流れるのが全ての登場人物なのだろうと推測します。ビトを信じてくれる人々のみならず、敵対する刑事も。ビトの人生を狂わせた林も。 それは理想です。 背中がかゆくなるほどの理想です。 だから、そういう理想論が嫌いな人は受け付けないドラマだろうと思います。 でも私は、共鳴する。 決して実現しないのが理想であると認識するが故に、その理想を持ち続けることの意味を信じるからです。 決して、その理想を思い描くフィリピン人の青年が正義だとか、追い詰める刑事が悪だとか、そんな二元的な勧善懲悪ドラマではありません。それだけは断言できます。 タイトルバック。世界各国の赤ちゃん。 これもまた、そのテーマを象徴的に示すものだと思うのです。 それにしても、時間があっという間に過ぎました。気がついたら予告でした。 辛い辛い悲しくて切ない、重ーい一時間でしたけど、 ビトと花、町村家の人々の優しさ、キンタとブルという仲間たちとの絆に、心温まった一時間でもありました。 ということで。 次のエントリには詳細感想こじつけ解釈を載せたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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