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カテゴリ:スマイル
結局いつもの詳細感想です。

食中毒騒ぎが起こった小学校に駆けつけるビトと花。
花がレポーターやテレビカメラ、群衆を目にして倒れる。
 
 花の過去に類似する何かがあってトラウマになっているのではないかと思わせる。

一馬のTV出演。
 この後のしおりの台詞でも分かるのだが、一馬は極度の緊張しい。それを示すものだが、
 でもここまで緊張するのには実は意味があるような気がする。
 彼がTV出演にこだわる理由と深く結び付いているのではないか。
 単に目立ちたいから出たかったのではないと思う。誰かに自分の姿を見せたい?
 ってことなんじゃないかと思う。
 それは、後の「軽い気持ちじゃねえよ」という一馬の呟きからも推測できる。


現場のビトたち、テレビ番組の一馬としおり、町村家のカットを短い間隔で切り替える。
 テレビコメントでしおりに「極刑」と言わせたのはミスリードを狙ってのものだろう。
 こういう余計な味付けがこのドラマをチープにしてしまうんだと思うけどね。


やさぐれる一馬と偶然出会うビト
さしで酒を酌み交わす。屋台で。コンビニ強盗に出くわす。

 一馬の過去を示唆。ビトとのかかわりが深くなっていくことを描く。
 この場面で
 ○ビトが、自分に優しくしてくれた人に対してはまったく無防備で人懐こくなること
 ○ビトは小学生の頃、フォークダンスで好きな女の子から「なんかキタナイ」と言われて手を振りほどかれ、深く傷ついた経験があること
 ○一馬もビトと似たような過去をもっているらしいこと
 ○「お前みたいな外国人がいるから」一馬の真意
がわかる。

 コンビニ強盗を二人かかりで取り押さえたことは、後日小さな記事になっており、これもまた何かの伏線なのではないかと思われる。
 ただ挑戦状をたたきつけた割には、伏線だ!とは指摘できるものの、どんなふうに使うかは全く想像できない。貧困な発想力の自分がうらめしい。


コンビニ強盗捕り物帳の後。「こわかった」と漏らすビト。
彼の過去を知る一馬が揶揄する。「何言ってんだよ昔はブイブイ言わせてたくせによお」
何も言い返すことなく微笑んで視線をずらすビト。
 
細かいことだがここの松潤の演技がいいんだわ。言葉にしなくても、実は彼がブイブイ言わせてたわけではないことが、演技だけで見てとれる。しかも、切なそうなさびしそうな、ビト特有の「諦観」がそこに漂う。

だからそれを見て、一馬は察する。「ビトは、人の罪をかぶったのか」
それに対しても、何も答えないビト。
でも、演技で肯定してることがわかるし、自分がまったく潔白だと思ってるわけでもないことも分かる。

そしてこの一馬の聞き方。「ビトは~」と切り出すのだ。25歳の青年相手の台詞じゃない。
ビトは精神的にまだとても幼い部分を持っていて、それを受けての一馬のこのセリフになってる気がする。ビトが持ち合わせている純粋さは、子供のそれなのだ。


「そいつは今なにやってんだ」「刑務所に入ってるらしいです」
「そいつと今でもつきあいあんのか」「今はもう全くありません」

 またもや細かいことだがここの松潤の演技もいい。特に「今はもう全くありません」のとこ。林に対して非常に恐怖心を抱いているのがよくわかる。いやまったくこの人は憑依体質だわ。ていうかカメレオンだ。ビトはビト以外の何者でもなく、他のどの役とも被らない。

「林さんとはもう完全に縁を切ってますから」
「じゃあもう会うこともないか」

という一馬の台詞にはっきりと答えないビト。林とビトとの間には、尋常ならざるつながりがあるのだと思わせる場面である。

古瀬北川検事の場面はすべて時代劇の悪代官描写である。
絶対悪としての描き方としか今の段階では思えない。

北川検事はエリートで順調に出世街道を歩いていたところを一馬に土をつけられた。
それも手痛い失態を晒すことになってしまった。だから一馬に対して憎悪に近い復讐心を抱いている。それはわかる。
でも、古瀬刑事に関しては、なぜビトにあれほど執着して憎むのか皆目分からない。
2話のビトの台詞「あの人のことは思い出したくない」という言葉からも、ビト個人に深くかかわってくる人物なんだろうが。だから、いずれ明らかにされるのではないかと思うのだが。

それにしても、何度見ても甲本さんの演技がいい。北川検事の不気味さ厭らしさが見事に表現されている。キャラクター造形ぴかいちって感じがする。というかどうもこの北川検事が私は好きだ。終始一定した抑揚の少ない無機質な口調に無駄にどきどきする(笑)声も好きだし。
そしてこの二人の徹底した悪役ぶりはほんとうに素晴らしい。
これほど憎たらしい悪役は久しぶりに見たよ。敵たるに相応しい。
この敵がはっきりしているからこそ、4話予告の「反撃です」が生きるのだ。


さて、最も今回納得のいかなかった里菜ちゃん(ビトが懇意にしていた小学生)を見舞う一連のエピソード。
 脚本家の意図を感じるのは、ビトの訪問が3度に渡っていることだ。
 まず駆けつける。当然親から拒否される。その時にビトははっきり「給食関係の人」だからという理由で拒まれている。でも、ビトはそれが全く分かっていない。頭の中には里菜ちゃんが心配ということしかない。だから拒否された直後に母親とともに治療室に駆け込み、遠くからではあるが声をかけてしまう。
 里菜が自分に気づいてくれたにもかかわらず、母親によって会話が断たれる。だからビトは後日また改めてお見舞いに行こうとするのである。
 つましい生活の中で貯めた貯金をおろして、花束を買い、病院に向かうビト。
 彼にとって里菜は紛うことなき友達なのだろうなと思わせる。
 自分に好意を見せてくれる人に対してはビトは一貫して無防備と言えるほどに懐く。一真に対しても然り、里菜に対しても然り。
 里菜のもとを再度訪れるのは友達を心配して見舞う小学生の心理そのものだ。同じ小学生であったなら、彼は単純に、とても情の厚い、優しい子供だ。
 だが状況は全く異なるのだが、ビトには全くその意識がない。自分が20代半ばの青年である自覚すらないような気配。
 
同室のおばあさんに会釈してカーテンを閉めてしまうのも、おそらくはおばあさんに配慮してのことだ。大きな声を出して邪魔になっては悪いと思ったのだろう。だが、普通に考えれば正直はずれな行動である。身うちならまだしも、彼は赤の他人なのだ。それもビトには分かっていない。

以下、おはぎも同じである。

ビトがおはぎを作って持って行ってしまう行動は、ビトという人物を考えれば至極納得いく展開である。
彼の頭の中には「里菜ちゃんと約束した」ということと、「里菜ちゃんを喜ばせてあげたい」ということしかない。

1話から里菜はビトの顔を見るたびに「おにいちゃんのおはぎがおいしい」「おはぎたべたい」とおはぎのことばかり言っていたのだ。
だから、入院している里菜ちゃんを元気づけて喜ばせるには「おはぎ」しかないと思う思考経緯も理解はできる。

ただ、外側から見れば、愚昧極まりない行為である。誰が見ても常識はずれも甚だしい。
この意識のギャップがビトの不幸を呼んでいるのだ。

育ちからくる無知と、自分に向けられる人の悪意や嫌悪感、否定に対する鈍感さ(感じ取らないのではなく、反応しないという鈍感さ。たぶんこれは無理やり作り上げている、自分の心を守るための防護壁だ。)、状況判断の甘さ。
それらが相まってビトの不幸を作り上げている。いわば、自業自得である。

だが根っこをたどればそれは、育ててくれる人も愛してくれる人もいなかった、彼の孤独な生い立ちに行きつく。そこが、切ない。

さて、このおはぎお見舞いであるが。

なぜこの非常識極まりないエピソードを入れ込んだか。

絶対伏線に決まってる。

このおはぎが、ビトたちを窮地に陥れるか、もしくは無実の立証物となるか。
これがどっちかは想像できないんです。すみません、想像力が貧困で。
でもどっちかで確実に使われると思うんだな。

里菜と母親は5話にも出演者として名が挙がっている。ということは、まだまだこの食中毒事件が終わっていないということだろう。
告訴され、裁判があって、証人として里菜と母親が召喚されるのかもしれない。

どうか里菜ちゃんがお母さんの誤解をといてくれますように。
そして、ビトの味方になってくれますように。

と願わずにはいられない。

そんな風に少しずつ明かりを灯していく展開になってくれれば、言うこと無いんだけどな。

暗すぎて視聴率低迷してるんだから、希望の光を強く強く示す必要はあると思うよ。宅間さん。










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Last updated  2009/05/05 10:49:12 AM
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