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カテゴリ:スマイル
松潤だから、というのでは説明がつかないのだ。
だって、道明寺にしろ隼人さんにしろ、伴ちゃんにしろ祐ちゃんにしろボンにしろ、 みんな松潤が演じていて、それなりにみんな大好きなのだ。 順位付けするなら、隼人さん・大野拓くん→祐ちゃん→ぼん→慎→モモ→伴ちゃん→耕二→道明寺になるけど、いずれにしろみんな好き。 でも、ビトほど常に頭のどこかに引っかかってるキャラはいない。 で、つらつら考えるに。 安岡章太郎と三浦綾子が好きだった自分ならではだと思い至った。 安岡章太郎のサーカスの馬って掌編があって、それが大好きだった。ダメダメな主人公の少年はまるで自分の姿だったし(彼の作品の主人公ってたいていダメダメな人間ってイメージだ)、三浦綾子の小説の主人公はいつもまっすぐでひたむきだった。 その双方を併せ持ってるのがビトなのだ。 ビトは弱弱しい。ダメな男に見える。 でも、彼は嘘をつかない。人に優しい。自分のことよりまず人のことを考えてしまう人間だ。 そして自分が不利な状況に置かれることや、自分の危機に驚くほど鈍感だ。 もう、傷つけられたり不幸になったりすることに慣れ切ってるのかもしれない。 時に彼の笑顔は痛々しい諦観をともなう。 でも彼は人を傷つけない。傷つけずに生きてきた。 自分が傷ついても、だ。 強くない?弱弱しいけど、強い人間だと思うよ。 一馬の回想に出てくるビトの笑顔は、明るく笑う顔ばかりだった。 ドラマが暗いので、ビトは始終泣いているかうじうじしているかのイメージが強いけれど、 実は彼はよく笑う。 町村フーズに来てからは、ディフェンスではない笑顔もたびたび見せる。 殊に花や一馬、仲間たちに対しては、屈託のない明るい笑顔を見せているのだ。 一話からこっち、彼は不幸に見舞われっぱなしである。 悪意を浴びせられ陥れられ、詰られ傷つけられ。それでも彼は笑顔を忘れない。 回想の中のビトに改めてそれを感じた。彼は、強いのだ。 でもそれが今回土台から崩れ去った。 人を傷つけることより自分が傷つく方を選ぶ人間なのに、 なのに、守るべきものができた彼は、人を殺してしまった 花とともに富士が見える場所に向かうビトの姿は憔悴しきってみじめだ。 それはもう、松潤見事な演技。通り過ぎたパトカーに脅えて隠れ、物陰からうかがう表情なんてすごいよ。 そのみじめな姿がどうしようもなく切ない。 そして。 でもやっぱり彼は、最後には踏みとどまる。 花の愛を知って、想いを知って。踵を返すのだ。 何度見ても、最後に花ちゃんと行きたい場所があると告げるビトは、死ぬつもりだとしか思えない。 列車の中で花に「最後じゃない」と言われた時の表情もそうだ。 薄く笑みを浮かべながら花を見、そして正面を向いた時の諦観。 もう戻れないところまできてしまった、という独白。 死をもって償うことにはある種の逃げも入っていると思う。 けれど結局、彼は生きて償う道を選んだ。 ビトはまっすぐだ。ひねこびたところが微塵もない。 弱いけれど、汚さがない。 人間らしくて、人間らしくない。 それが松本潤の演技の資質や雰囲気と相まって、自分のレセプターにぴたりと合う形状に仕上がっているんだと思う。 だからこんなにも心惹かれるんだろう。 なんてちょっと考えてみた。 仕事からの逃避です。 ひじょーにひねこびて弱いわたくしでありました。すぐ現状から逃げだそうとする(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/06/08 12:28:34 AM
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