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カテゴリ:スマイル
やっと9話の感想です。
今日は仕事が一段落ついたので、7話から見直しました。
デートの場面は何回見ても癒されます。でも後半はとばす!松潤の演技いいんですけど。
この先回想シーンでいやってほど出てくるしね、なんて思いながら。

8話。叙情的ですよね。田園風景など出てこないのにイメージは田園。
夜汽車に二人。何度見ても、ここで(最後じゃない)っていう花ちゃんを見つめてかすかに笑い、ゆっくりと正面を向くビトが切ない。正面を向いた時の何とも言えない哀しい諦観が。
伝わり方が波動って感じ。ゆらゆらとやさしく染みてきて心を揺らす。

富士山を見つめ、そして意を決したように自首すると告げる松潤の表情もこれまた何度見ても素晴らしい。ここは堪能ポイントの一つです。
もの悲しげな翳りを帯びているのに、静かな深い決意を感じさせる澄み渡ったまなざし。

この後の旅館での一件も、何度見ても警察やりすぎだろー、ドラマやりすぎだろーと思いながら、引き離される二人の手と、三人の魂に涙。
孤独な三人――強いきずなで結ばれた三人の叫びが、サイレントな場面にも関わらずはっきりとこちらに突き刺さる。

そしてふと思ったのですが。

もし、ビトが死刑のまま終わるなら、この引き離された手が、二人が最後に感じた互いのぬくもりだったってことですね。

もしかして宅間さんは、本気でビトを死刑にしようとしていたのかもしれない。だから、多少強引な展開であろうと、二人の最後の生身で触れあう瞬間をドラマティックに演出したかったのかもしれない、なんて。
うがちすぎですね(苦笑)毎回この手の妄想でやらかしてるので、まあ適当に流そう。うん。



そして、9話ですよ。

裁判員裁判。

検察側にいらつきはマックス。北川検事見事です。

なぜ花ちゃんはビトがベットに手錠で縛りつけられていたことを言わないんだろう?
言ったのかもしれませんね。
でも、あれだけ詭弁を弄する検察側だと、大方手錠で縛られていたのは林だと反論するかもしれませんね。手錠には、ビト、花、林の指紋がしっかりついているはずですから。

そんな風に、こじつければなんでもこじつけられるのが怖いなと思いました。
確たる物証がなければ、事実なんて本当に藪の中。
けれども、ビトの近しい人たちが供述するビトの人柄は、確かなものだと言えるのではないかと思います。
いしだあゆみさんの静かな言葉に胸が詰まりました。
あなたは、お気の毒な方ですね。
被告を有罪に導くのは検察の仕事かもしれない。でも本来なら、真実を明らかにするのが検察の本分のはず。
何もかもを悪意で解釈し、何が何でも被告を有罪にしようとするのはどこか違う気がします。みどりさんの言葉は、その部分を抉るものだったように思います。

そして今回の見どころは、何といっても颯爽たる一馬の弁護。交番襲撃の不合理性を明らかにするくだりは必見ですね。非常にうまい!中井さんの巧さが光ります。達人、という感じ。

そして、ビト。
訥々と、ゆっくりとしたペースで、しかし淀みなくきちんと自分のことを語るビト。
自分の気持ち。自分の罪。
何一つ隠すことも自己弁護することもなく、ただただ事実をありのままに伝えようとするその姿に、胸を打たれました。
ここでもまた、淡々とした演技ではあるのに、瞳がいろいろな表情を浮かべます。
顔の表情は一定です。変わりません。なのに、目がものをいう。
殊に、林のことを語る時のビトの演技は秀逸です。

ビトに極刑の可能性があることを伝えた、公判三か月前の場面。
あの場面も密度が高かったですね。
死刑。ある程度は予想していただろう結末。けれど、さすがにそれはないだろうと、希望的観測を持っていたのかもしれません。それが砕かれた場面。
本当に全編淡々と進むのに、ビトの繊細な心の揺れ動きが手に取るように伝わってきます。

独房で夜な夜な苦しむビト。
己の犯した罪の重さに責めさいなまれ、眠れない夜を重ねます。
そんな彼に、自分の名前を名乗った刑務官。柏木。
ありえないことなのかもしれません。でも、もしかしたら、誰も話さないだけで、どこかでありえているのかもしれません。そんなことを感じさせる場面。

私は実はこの場面がとても好きです。

己の罪の重さを自覚して苦しむ人間は、悪い人間ではないのです。
それを柏木はよく知っている。

自分に心を寄せてくれる人がまた一人。

この重苦しく辛い日々で、どれほど癒されたか。
というか、癒されてるのは見てる自分か。


花ちゃんがしゃべった。この場面ももちろん好きです。
一番好きなのは声が出た!のあと、映っていませんが彼女がペンを机に放り投げるところ。カランって音がしてるんですよね。あれが、男前!と思ってしまいました。
ひるむことなく北川にビトは優しい人だと告げる花。
そのあとの父親の暴露は、前項で言及しているので割愛します。

駆け寄ろうとして駆け寄れないビトが辛い。そして取り押さえられながら、北川を睨みつけるビトのまなざしの重さ。光のない重さ。
1話の土砂降りの道路に押しつけられたビトの叫びを思い出しました。
一面だけの人間じゃない。彼の中にもまた、いい知れぬ暗い部分があるのだと思わせる。
そりゃそうです、生半な人生じゃないですよ。自業自得と高見の見物人は軽く断罪しますがね。

さて、10話は林母が駆り出され、殺さないでいてほしかったと泣いて訴えるようです。
そして、その母の口から明かされた林の人生に、ビトはさらに胸を痛め、在る重大な決断をするとか。控訴断念でもするつもりでしょうか。自ら極刑を望むのでしょうか。

10話の脚本家が変更となったようです。
篠崎さんという女性脚本家です。美脚連とかいうのを作って歌うたったりもしてる?らしいです。今会いにゆきますとか、だいすき!なんかを執筆なさったとか。うーん。どちらも好きではありません。

宅間さんは本篇が始まる前に最終話まで書き上げていたはず。

最後にすべてのつじつまが合い、伏線が全部すくい取られて終わる宅間節。
私はそれを楽しみに見続けていた部分が大いにあるので、残念でなりません。
このドラマ、世界観が独特できっちり出来上がっているので、その空気感を理解してない人では脚本書くの無理だと思うんですけど。
まあ、宅間脚本がベースになるだろうとは思いますが、最後の最後になって、今までの展開が台無しになりそうでものすごく怖いです。
結構涙目です。
見るまで何とも言えないんですけどね。

って、9話の感想のはずがあらぬところに飛んでしまいました。

ともあれ、「真実」が明らかにされて「正当」にビトが裁かれる、そんな結末であってほしいと願ってやみません。
そしてそれは、絶対死刑なんかではないはずです。






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Last updated  2009/06/17 10:38:56 PM
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