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カテゴリ:ドラマ
途中までなぜモモコさんのところへ行く描写が必要だったのかが分かりませんでした。
エピソードそのものは叙情的で美しく哀しく見応えあるものでしたが、単なるお涙頂戴のための寄り道なら最悪なパターンだな、なんて思いながら見てました。 けれども2話を最後まで見て、後半描かれた二人の母のやりとりを聞くなかで、これは主人公奈緒を語る上で外せない一部であったことを理解しました。 彼女には二人の母がおり、そして施設に預けられた2年間彼女を見守り育ててくれたモモさんがいる。 奈緒には三人の「母」がいるということです。 その一人ひとりにちゃんと人生が背負わされていて、人物描写に厚みを感じます。 彼女たちはその人生の上での「現在」を生き、関わりあいを持つ。 描かれない「厚み」の部分に菜緒をめぐるこの物語の核の一つがあり、疑似母となった奈緒とツグミとの間にもう一つのドラマの核がある。 二重に奏でられる旋律の絡み具合が絶妙な気がします。 何より母たちを演ずる役者さんが見事な回でした。 モモさんの人生が切なくて。 それでも最後に育てた子供のうちの一人が自分を訪ねてきてくれて。 それがどれだけ嬉しかったことか。彼女が自分の子供を一緒に連れて来たのも嬉しかったでしょう。ボケていたモモさんが奈緒やツグミとのかかわりの中で少しずつ自分を取り戻す様子が涙なしには見られませんでした。 もしかしたら、――いや、最後の別れの場面を見るに、ほぼ確実に――モモさんは奈緒とツグミがわけありで逃亡していることに気がついていたでしょう。 そんな状況で自分を頼ってきてくれたことも分かっていたのかもしれません。 育てた子供が自分を忘れず、自分を頼ってくれた。 モモさんにとっては一番嬉しかったことかもしれません。 そんなことを考えながら見てたらもう、涙が止まりませんでした。 「靴のサイズ」は実に上手いモチーフでした。 モモさんのひととなりを感じさせるとともに菜緒との関係性も、そして奈緒に欠けていたものも、ツグミの心理をもその一つの素材で描いてしまう。 田中さんは物言わずしてたたずまいと眼差しで語る女優さんですね。 最後の田中さんの「よかった…」にまたまた涙がとまりませんでした。 いやー。 視聴率とれないでしょうけど、この作品はいい。 脚本もですが、映像がきれい。そしてBGMが全く邪魔にならない。 相変わらず名作邦画のテイストを維持しております。 と、申しますか。 貧乏とか、つましい生活とか、そういうのに弱いんだなと、実感いたしました。 店のひいきに配った残りであろう粗品の店の名前入りボールペンとかさ。 ああいう小道具で涙腺がうるっとする自分に呆れます。 ※駅のトイレで置き引きにあうくだりは元いた施設に寄るために必要だったもので、それ以上でもそれ以下でもないと考えます。少々苦しいとってつけた感があるのもやむを得ずかなと。 ですからそこについてはスルーで。 残金がいくらなのかは終始気になっておりましたが(笑) ※施設できちんと整理されていた園児たちの小箱。健太くんの小箱には母子手帳や手紙などが納められていましたが、奈緒の小箱には白い紙だけ。何やら折り紙を開いた後のようでした。あれもまた、何かの伏線となるのでしょうかね。 細かなところにも気が抜けない、と思わせてくれる作品でもあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/04/21 11:54:17 PM
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