不毛地帯#1
#1を書き記すということは次も見てみようかなと考えたということであります。秋ドラマ、豊作かもしれません。これで二本目です。視聴直後感想。不毛地帯。抑留中の描写はなかなか見応えがありましたが、前半は関東軍軍部の演技演出が軽すぎました。安直でステレオタイプな描かれ方にやや鼻白みましたし、時系列を行ったり来たりする演出を煩いと感じました。が、後半になるに従って一気に加速。防衛庁との関わりを一切断とうとする壱岐が、アメリカの軍人墓地に立ちシベリアで死んだ仲間たちの墓標を、死んでいった者たちを回想する場面など秀逸。語らずして深く多くのことを画面で語らせる。あそこはのめりこみました。女がらみの場面はすべて退屈でしたね。天海さんしかり、小雪さんしかり。すばらしくお金がかかっていそうなこのドラマ。女がらみを必要最小限にしていただけると、のめりこめそうな気がします。JINもとってもおもしろかったですが、見応えという点では、こちらに軍配があがるかも。面白さではJINに軍配かな。テンポは確実にJINの方が良かったですからね。それにしても、茫漠たる地表に林立する墓標のシルエットは鮮烈でした。こんな言い方は不謹慎かもしれませんが、悲痛で、そして美しかった。それは緑の芝生に立つ白い墓石の群れにも感じることです。どれほどの人間が、若い命が戦争のもとに散って行かされたか。それを象徴的に示す画面でした。8月9日に参戦した当時ソ連の被害数は私は知りませんが、ひとたび戦争が起これば多くの命が失われるのは敵味方関係ないのですよね。当たり前のことです。ソ連兵が極悪非道の非人間みたいな描かれ方をしていましたが、でもあれもまたデフォルメされたひとつのアイコン。それはソ連だけに限った姿ではない――ってことも含めて、最後の墓地の場面に意味を込めた気がします。