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カテゴリ:翻訳
(2006年4月掲載分)

 11人の妻を囲っていた男が逮捕された。うちにはネコが3匹いるけれども、少しでも気を許すと、嫉妬の目で睨まれる。だから、平等に可愛がるためにどれだけ気をつかっていることか。ネコでもそうなのに、まして人間、しかも11人もいるなんて、まさに神業。それもそのはず、宗教が入っていたらしい。


 一夫多妻にせよ、ネコの多頭飼育にせよ「多」のつくものは大変なのだ。では、言語なら大丈夫かというと、そうでもない。独習するならともかく、他人に習うとなると、なかなか大っぴらに宣言しにくいところがある。「もうひとつ別の言語を習ってますので、あまり勉強する時間が取れません」などとは言いづらい。それにそもそも、多言語学習に平等は禁物だ。人間とにかく、いつも気持ちを張り詰めていたのでは神経がもたない。多言語学習にかぎらず、緊張と弛緩をうまくかみ合わせることが、いろんなことを成功させる秘訣でもある。ひとつの言語に力を入れているときは、それ以外の言語はボヤーっとした状態でCDを聞き流すなりするのがいい。講座を受講しても、予習復習など絶対にしてはいけない。練習問題などとんでもない。もちろん、それはある意味で教えてくれる人に失礼だし、事情を説明してわかってもらうまでが大変だ。ただひとりわかってくれたのが、エジプトのイハーブさん。白水社の日本語アラビア語辞典を作った人だ。あの人がいなければ、アラビア語の最初の関門を越えることはできなかった。


 さて、最後に大変なのは、自分自身の葛藤だ。どれかひとつだけだと何とかなる。それがふたつもみっつもあった日には、なかなか踏ん切りがつかない。どれを捨ててどれを取るか。こちらを立てればあちらが立たず、あちらを立てればこちらが立たず、両方立てればわが身が立たず。そんなわけでいつも身を滅ぼしている。


 この歳になっても煩悩は去らない。仏教の国スリランカの言語を勉強しても効果なし。そう言えば、そのシンハラ語に面白い本がいっぱいあって、あと3年くらいのうちには何とか訳したい。今の出版業界に楔を打ち込むためにも、こういう言語からの翻訳をぜひ世に出したい。その意味ではフィンランド語にも面白いものがいろいろある。バイオの先進国オランダにはその関係の面白い本がいっぱいあって、そういうものをオランダ語から訳せるのはほかにそう何人もいないはずだ。


 これだけならどうにかなるのだが、旅行の予定が入っている国の言語はもう少し何とかしておきたいという思いがある。世界マスターズ陸上選手権の予定だけでも、来年のイタリアと再来年のフランスがある。どちらもスペイン語の知識に頼って多少ごまかしてしゃべっているところがあるので、もう少しきちんと話せるようになりたい。


 ここまででも、まだそれなりに凌ぎようがある。ところが、そのうえにまだもうひとつある。しばらく断り続けていたスラブ系言語の医薬分野。またちらほら注文が入るようになってきた。ポーランド語、チェコ語、クロアチア語、スロヴァキア語、スロヴェニア語、ブルガリア語、ロシア語、ウクライナ語などだ。互いによく似ているので、ひとつできればあとはそうむずかしいことではない。こういう言語を看板に掲げている会社はいくつもあるが、当然常時スタッフを揃えているわけでもなければ、得意分野があるわけでもない。まして、そのどれかを勉強したことがあるだけの人に医学の翻訳ができるわけがない。


 スラブ系のどの言語でも、医薬分野の注文に即対応できるのは、日本でもうちだけではないかと思う。しかも、二頭立て。スラブ系の医学ができる者が常時二人いる。こういう強みをもう少し前面に押し出していくのが、今後重要な戦略になる。ただ、何分これだけの数の言語。辞書の揃え方に手薄いところがあったり、英語翻訳者の平均よりは速いけれども、まだまだ時間がかかるものがあったりする。相棒との間に若干の得手不得手の差がある。相棒はどちらかと言えばブルガリア語、ロシア語、ウクライナ語など、キリル文字で書かれた言語の方が得意で、ぼくはポーランドがいちばんよくわかることもあって、ラテン文字で書かれた言語の方が得意だ。


 同時に複数の注文が入っても二人で取りかかれるという絶対の強みがある。しかも、きちんと訳してくれるだろうかなどと気をもむこともいらない。その意味で、注文が入ってから慌てて翻訳者探しに奔走する翻訳会社は何と大変なんだろう。


 どちらも基本的には全部できるのだが、今後はぼくがラテン文字、相棒がキリル文字というように、役割分担の方向にもっていこうと思っている。


 辞書の整備も欠かせない。たとえばチェコ語はかなり前のチェコ-ロシア語辞典を使っていたが、今年の春現地でチェコ英辞典のほか、全2巻のチェコ-スペイン語辞典を見つけてきた。チェコ語の技術用語辞典も手に入れた。


 このほか、実は言語というものには、ちょっとしたところを押さえるだけで、翻訳のスピードがぐんと上がるツボがある。チェコ語、クロアチア語などにそのための時間が取れれば、いよいよ鉄壁の構えで、スラブ系医学の注文を待つことができる。そのための時間が少しばかりほしい。


 このように、出版翻訳を視野に入れたものと、旅行目的のものと、短期的業務戦略に必要なものとがある。


 一応、平等を心がけはするけれども、所詮自由業の身。最後には仕事の都合が優先されてしまう。それがいかにも辛い。


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最終更新日  2006年09月01日 22時39分23秒
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