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カテゴリ:翻訳
 quality of lifeという用語がある。「生活の質」などと訳されているが、そもそも、貧富の差や貴賎の差でもあるまいし、いったい生活に「質」などというものがあるものなのか。
 それ以前に、「quality = 質」という理解もまちがっている。さらにさらに、それ以前に、日本語の「質」をみて、「質」とは何かに思いが至らず、ひたすら質は質としか思えない者たちもどうかしている。
 quality controlには「精度管理」という訳がある。だれが最初に思い立ったか知らないが、まさに英断である。qualityというのは要するに、どれだけ充実しているかということであって、品物としてのさまざまな要素が充実しておれば、それが品質になる。
 ことばというものはそういうものであって、機械的な置き換えですむものではない。
 quality of life を医師の間でQOLと訳そうがどうしようが、医師の勝手にすればいいことではあるが、そんなことで一般の人にわかるわけはない。
 しかも、本当にこのことば、この概念を必要としている人たちのことを考えれば、「どの程度苦痛が少なく、生きる喜びにつながるような生活ができているか」を表す日本語が必要である。
 そこで、ぼくはもう何年も前から「快生度」という訳を提案してきた。
 この訳をひっさげて、いつか医師会と全面対決してやろうと思っていた。そんなある日、日本集中治療医師会の造語コンテストで、quality of life の訳度として「充生度」が1位になったことを知った。
 ううん、さすが。わかっている人はちゃんとわかっているのだ。もし日本医師会がこの「充生度」を採用するのであれば、あえて「快生度」の方がいいと主張するつもりはない。
 qualityそのものが充実度を表すものであるから、意味の上ではこの「充」という字を用いた「充生度」の方が優れていることになる。ただ、お年寄りにはどちらがわかりやすいか。「充」は「充実」となってはじめて明確なイメージが浮かんでくるのに対して、「快」はそれだけでイメージがわかる。
 もしも将来、どちらがよいか議論できるような機会が巡ってくるようなことがあれば、きっと、有意義な議論ができることだろうと思う。こちらも「充」を使う利点はよくわかる。それに何よりも、ことばの理屈がわかった人間同士の話し合いができるはずだ。
「qualityは質で、lifeが生活だろう。生活の質で何が悪い」などという不毛な議論を考えれば、どちらにころんでも爽やかな気分で結果を受け入れることができるだろう。

 医学の翻訳にあちこちで妙な動きが出てきている今日、ほっと一息つくことができる発見だった。



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最終更新日  2006年12月21日 15時14分35秒
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