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カテゴリ:翻訳
集合名詞を葬り去る翻訳者の横暴 巷には庶民の日本語のまちがいを指摘する本があふれている。だが、実際は日本語を破壊しているのは学者と知識人である。 あのおぞましい「これらの」を日本語に持ちこんだことによって、集合名詞の概念すら今や風前の灯火となっている。その瀕死の状態にある病人に情け容赦なく襲い掛かるのが翻訳者である。 The literature とあれば「文献」に決まっている。「この文献」では断じてない。文献という集合名詞である。前の文の何かを受けているのでもない。 もう何年も翻訳の仕事をしている者でもまだそれがわかっていない者がいる。そういう者には即刻仕事をやめてほしい。 The literature contains different definitions of the term. とあれば「文献では~という用語の定義がまちまちである」としかなりようがない。 これを、前の報告を受けて、「この報告では、さまざまな定義が~」なんて書く輩がいる。ろくでもない研究者が書いた報告なら定義があいまいであることはあっても、さまざまな定義が出てくるはずがない。 このliteratureが出てくるたびに、初学者には何度も同じことを言わなければならない。それはまあ仕方ないとして、経験者にも同じことを言わなければならないのはいかにも辛い。 それもこれも、形式の上での複数と意味の上での複数の区別がつかない学者や知識人が徒に「これらの」、「すべての」を日本語のなかにもちこみ、マスコミがわけもわからず追随したことと無縁ではあるまい。 ←ランキングに登録しています。何かちょっとでも得るものがあったと思われたら、ぜひクリックをお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年05月03日 17時20分49秒
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