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カテゴリ:翻訳

 引退願望(2)

 しきりに仕事をくださいと言う人のほとんどは、それがいったいどういうことなのかわかっていない。
 エージェントならともかく、翻訳者に対して(紹介も含めて)仕事をくださいって言うのはどういうことなのか。自分で全部こなせるものなら、だれが大切な収入源を他人に渡すだろうか。 

 他人に仕事を譲るのは自分が楽になりたいからにほかならない。自由になる時間が週4時間だったものを8時間にすることができるとか、4時間しかなかった睡眠時間をせめて5時間に増やすことができるとか、そういう見返りを求めてのことである。
 ただ、その思いが叶えられることはめったにない。

 仕事をもらった人は二言目には「嬉しい」と言う。なぜ、「これは大変なことになった」と思わないのだろうか。

 下訳の場合でも、自分の取り分の半分でお願いするのはむずかしい。少なくとも7割は支払わなければならない。7割支払ったからと言って7割時間が短縮されるわけではない。7割どころか、1割か2割短縮されれば御の字で、講座を始める前は時間の短縮にならないことの方が多かった。 
 では、下訳ではなく、全部を翻訳者に投げてしまった場合にはどうなるか。
 まず「私がいっぱいなので、これこれこういう人を紹介します」と言う。「多少難点はありますが、それでもいいですか」というようなことを匂わす。
 それでも、「~さんの訳がどうもおかしいので見ていただけますか」と言われることもある。そのときには、もともと他人がやった翻訳なので、どうしてもおかしいところだけを見ればよい。その意味では時間の短縮にはなる。だけど、当然翻訳料は一銭も入らず、最終的に納品が終わったことを確認するまでは、不安だけがつきまとう。

 他人から仕事をもらうということは、その人を時間と不安の呪縛から解き放つことではなかろうか。それがいかにむずかしいことであるかをわかっておれば、単純に「嬉しい」などということばが出てくるはずがない。
 仕事が出たときには、自分が他人の時間をどれだけ短縮できるか、どれだけ他人に安心を提供できるか、ひたすらそういうことだけを考える必要がある。
 翻訳会社との間を取り持つと、「自分がいい仕事をしたから、続けて仕事が来る」などと触れ歩く人間がいるが、そういう態度ではこちらが裏でどれだけ手を尽くして取り繕っているか知る由もない。

 かつて、フランス語の仕事を依頼されたが、時間的にとてもできないので人を紹介したことがある。日本語がどうもしっくりこないので、これで納品できるかどうか見てほしいと言われたことがある。
 出来はかなり落ちてもいいという条件で紹介したのに、これでは話が違う。
こちらも、「そういう条件で、ご紹介させていただいたはずです」と応じるしかない。
 最後には相手がキレて、「いったいどうやったら(ぼく自身に翻訳を)やっていただけるんでしょうか」と声を荒げてきた。
 
 もちろん、声には出せないが、「どうやったらも何も、私は引退したいんだよう」という気持ちだった。

 何もかもやめてしまうというのではない。
 引退というのは、言い換えれば、自分の代わりをしてくれる人が現れてくれるということ、ただそれだけのことである。

 なぜそれが、そんなにむずかしかったのか。

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最終更新日  2007年06月08日 21時05分12秒
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