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カテゴリ:翻訳
「その偽装の牛肉ミンチを作る際に混ぜるのは、豚の心臓や舌、羊のクズ肉、鶏肉などで、様々に混ぜた肉をさらに別に肉に投入することで原料の判断が難しくなっていることさえあったといいます」 「また、「ミートホープ」が、これまでに認めたミンチ肉の偽装以外に、ダイアカットと呼ばれていた肉を、牛肉100%としながら、実際は豚肉を混ぜていたり、取引のあった鶏肉業者の袋を勝手に複製し、別の鶏肉を入れて販売していた疑惑なども浮上しています」 とまあ、こういう記事があった。 要するに、悪徳翻訳者というのは、いったん「~のない、または~のある」という混ぜ物を作ってしまうと、今度は原文も何も関係なく、その混ぜ物をまた別のところに流用する。そういうことだったか。それでナゾが解けた。 悪徳翻訳者が作り出した混ぜ物が、いったいどんな経路を経てだれの手に渡っているか。 いやはや、おそろしい現実が見えてきた。(つづく) この前、ここまでを「豚を牛と偽る悪徳翻訳者」と題して書いた。これには続きがある。 「様々に混ぜた肉をさらに別に肉に投入することで原料の判断が難しくなっている」の部分をよくみてほしい。ぼくが常々言っているように「さまざま」はかなで書けというような瑣末な問題ではない。 「様々に混ぜた肉をさらに別に肉に投入することで」と「原料の判断が難しくなっている」とが合っていない。英語の試験でこんな分詞構文の使い方をすれば確実に×になる。 それが日本人の日本語では許されていて、しかもほとんどだれも気がつかないなんて、明らかに英尊和卑である。 「様々に混ぜた肉をさらに別に肉に投入したために原料の判断が難しくなっている」ならさっと読める。 近頃、「~ことで」を妙なかたちで使う人が増えてきた。アナウンサーまでおかしくなっている。 前後のつながりも何もおかまいなしに、一律「~ことで」ですまそうとする傾向が強くなっている。 これももしかしたら、悪徳翻訳者らが最初に「豚を牛と偽った」混ぜ物を作り、その「英語を日本語と偽った」混ぜ物が、日本人がはじめから日本語で書く文にも流用されたためではなかろうか。 ひとつ疑い出すと、次から次へと疑惑が浮上してくる。 「別の鶏肉を入れて販売していた疑惑」、これだって、こんな「疑惑」の使い方はない。「別の鶏肉を入れて販売していた疑い」なら何ら問題はない。疑惑を使うのであれば、「別の鶏肉を入れて販売していたのではないかという疑惑」でなければならない。 英語を書くときには、that節をとるか、動詞にing形を続けるか、to不定詞をとれるかなど、慎重に考えるくせに、日本語になると実にいい加減。 ミートホープを糾弾する文のなかにこれだけの混ぜ物がある。これにはミートホープもびっくりだろう。 「ことばの詐欺という点では、われわれより上を行っている」 ←ランキングに登録しています。何かちょっとでも得るものがあったと思われたら、ぜひクリックをお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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