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カテゴリ:翻訳

 ぼくがこれまで英訳講座に手を染めなかったのは、翻訳なんてのはもともと母語話者がよるものだと思っていたからでもあるが、それ以上にこれからやろうとする分野の英文をまったく読んだことのない人間に、文法の理屈だけで英訳を教えようとする馬鹿らしさにいい加減辟易していたからだ。

 それが最近、外国人にも部分的には母語話者を超えられることがあちこちでにわかに話題になってきて、しかるべき方法でなら英訳講座も「ありかな」と思えるようになった。

 ただし、その辺の翻訳学校でやっているような方法はダメ。

 まずは徹底的に(ひたすら)英文を読み、そのなかから必要なものを吸収していく訓練をする。この過程を経ないものには一文たりとも教えない。

 その話をしたとき、翻訳者のひとりから「インターネットでも、英訳をしようと思ったらワードの標準ページで1万ページくらいの文例を集めないとダメと書いている人がいます」という声があがった。

 なるほど、ぼくと同じことを考えている人がやはりいたかと、少しは安堵したのも束の間、その翻訳者から「ええ、そんなにやんなきゃいけないのかと思いました」という否定的きわまりない溜息を聞かされた。

 これで、場の空気がたちまち白けた。

 同じことを問題にしても、ええ、1万ページもやらなきゃいけないのかと思うのと、そうか、1万ページやりゃあ、自分にも英訳ができるようになるのかと思うのでは大違いである。

 こちらの陣営から、そのような発言が出たことにショックを受け、しばらくは立ち直れそうにない。 







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最終更新日  2008年10月18日 20時57分20秒
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