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毎年この時期、建築を学ぶ学生のNPO法人AAF(Art & Architect Festa)が主催する「建築学生ワークショップ」最終プレゼンが開催されます。今年は京都山科の醍醐寺、豊臣秀吉が大きな花見を開いたことで有名な寺院です。これまで比叡山延暦寺、高野山金剛峯寺、東大寺、伊勢神宮、出雲大社など誰もが知っている「聖地」で開催してきました。
エントリーした全国の大学生、大学院生約50人が10チームに分かれて、聖地の歴史や周辺環境などを調査分析してテーマを設定、フォリー(小さな建造物)をデザイン、現地で組み立てて講評者にプレゼン、上位3チームが表彰されるイベント。私は2018年伊勢神宮開催から講評者の一人として参加しています。 今年は7月に醍醐寺で開催された中間発表にも参加、各チームが制作した小さな模型を見せてもらっているので本番までに各チームでどんな葛藤があったのかがよく分かりました。また、プレゼン前日に醍醐寺に入って学生とアドバイザーの施工会社の方々が準備している様子を拝見、正直言って「明日フォリーは無事建つのかなあ」と疑問視したチームもありましたが、建築指導する大学の先生たちの熱血サポートもあって全10チームどうにかフォリーは立派に建ちました。 最初のテーマ出しから小型模型の中間発表、本番のフォリーの組み立てまで、建築家、構造家の先生たちがアドバイス、時には学生と一緒にフォリーを組み立てる姿は毎回感動します。また、ゼネコン、施工会社の専門家がチームごとにアドバイザーとして付きっきりでサポート、まさに実学そのものです。参加するたびファッションの世界でも学校単位でなくランダムに編成された学生さんをプロが現場指導しながらものづくりを進める実践教育プログラムができたらなあ、と思います。 境内の落ち葉を集めて固めたブロック125個を積み上げた作品 和紙と細い木で作った障子のようなものをランダムに繋いだ作品 竹を割ってタイムトンネルのような形状に組み立てた作品 でんぷん糊、片栗粉、砂糖を混ぜた特別素材を乾燥させた作品 京都の羊農家から調達した羊毛を洗濯し染めた綿を貼った朱塗り球体 五重塔前にあえて屋根のない長さの違うパネルを組んだ作品 細い針金で作ったオブジェのような作品はどうにか建ちました 昨年台風の被害で倒れた境内のたくさんの桜の木を組み立てた作品 竹を曲げて緩やかなカーブをつけた作品 壁土をはめ込んだダビデの星のような形状のパネルを組んだ作品 20余名の講評者は最終プレゼンを受けたあと、10チームの作品の中から3点を選び、持ち点100点を3つに割り振ります。私は地元京都の農家から調達した羊の毛を自分たちで何度も洗い(これが半端なく大変な作業なんです)、寺院ゆかりの朱色に染めて(初めて色のある作品を見ました)球体のフォリーに貼り付けたチームの作品に最高点をつけました。醍醐寺の正面入り口である仁王門からそこそこ距離がある位置に設置されたフォリーですが、仁王門からもその存在がはっきりわかる点も評価しました。 選考会の最終結果は近々主催者AAFから公式発表があるでしょうから、そちらをご覧ください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.09.18 09:12:56
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