インバウンドの復調期待
年末年始都心部の売り場にコロナ禍以前のような活気があった要因のひとつは台湾や香港などのインバウンドパワーがあげられます。まだ中国人観光客の姿は見かけることはありませんが、外国人の消費は売上に相当寄与しているはずです。先日アップルストアの消費税免税処置に対する追徴金が170億円と発表され、在日転売ヤー(あるいはその元締め)の存在の大きさに改めて驚かされました。アップルストアに限らずどの商業施設も従来より慎重に免税処置を受け入れていますから、普通に免税される外国人観光客と在日の転売ヤー合わせて一体どれくらいの外国人シェアなのかはわかりません。年末ラグジュアリー系ブランドがやっとコロナ禍前の2019年売上に戻ったのは、明らかに海外からのお客様と転売ヤーのお陰でしょう。今年は春節がちょっと早く、しかも中国政府の外遊緩和策でそろそろ中国人の来日も増えてきそうです。年末中国からの観光客抜きでも相当売り場に活気がありましたから、コロナ禍前のようには行かないとしても今年の春節は中国人も復活してそれなりにインバウンド消費があるかもしれません。私がクールジャパン政策に関わった2013年、来日外国人はおよそ1,000万人でした。それが6年後の2019年には3,000万人を突破、このまま伸びて行けば5,000万人突破も夢ではないと思っていました。美味いラーメンを日本で食べたいという理由だけで来日する富裕層外国人もいれば、アニメやコスプレの聖地巡礼、自国よりも品揃えが豊富で価格の安いブランド商品ショッピング目的、日本の伝統文化に触れてみたい外国人の来日も増えてきました。コロナウイルスさえなければ2022年には5,000万人に迫っていたのではないでしょうか。世界で最も外国人客を集めているのはフランス、その数はおよそ9,000万人。数年前フランスの政府関係者に聞いた話では、フランスの悩みはパリ一極集中、政府としてはフランスの地方都市にもっと賑わいを作りたいそうですが、他国には羨ましいダントツ人気。ヴィジットジャパンやクールジャパン政策がいくら奏功しても日本がフランス並みに外国人観光客を集めることはできないでしょうが、かなり上位にランクされるのは可能だと思います。日本は東京一極集中ではなく、結構地方にも分散していますから期待できます。コロナ禍直前の2019年、日本は世界で12位でした。普通に東京オリンピックが開かれていたらどうなっていたんでしょう、8位のタイに肩を並べていたかもしれません。各国ともコロナウイルス対策はどんどん緩い規制になってきました。コロナ感染者の数が減少しなくても、旅行者の行き来はこの3年間とは違うでしょう。そこに外国からの旅行者にはありがたい円安傾向、インバウンドが再び急増する環境は整いつつあります。接客のいらない転売ヤーより、つたない英語でもちゃんと接客して販売できる方が販売スタッフのやる気も違うはず。早くインバウンドが復活することを期待したですね。