阪神の逆転Vがなくなって意気消沈していますが、気を取り直して、上腕骨外科頚骨折(外転型)の整復法
整復前に注意事項
(合併症の有無チェック)
・腋窩動脈の圧迫損傷の有無を確認(橈骨動脈の拍動を確認する)
・腋窩神経損傷の有無を確認する(腋窩神経の知覚領域を知覚異常有無を確認する)
上記の確認は全て左右の違いを調べる
整復法
1.患者を背臥位とし、腋窩に手拳大より大きめの綿枕子を挿入し、第1助手に三角布または帯などで上内方に牽引・固定させる。(帯などがない場合は助手は腋と大結節部を持つ)(図5-a)
2.第2助手は肘関節直角位で上腕下部および前腕下部を把握し、術者は両手で遠位骨片近位端を把握する(図5-b)
(術者の拇指は外側より大結節部残りの4指は内側から遠位骨片近位端を持つ)
3.第2助手に末梢牽引させなばら徐々に上腕を外転させ、短縮転位を除去し、両骨折端を離開させる(図5-c)
4.第2助手に牽引を緩めずに遠位骨片を内転させ、同時に術者は両手で遠位骨片近位端部を外方へ引き出し、内方転位を除去する(図5-d)(その後、背側の手を保持して持ちかえる)
5.第2助手に牽引を持続させながら遠位骨片を前方に挙上させ、同時に術者は小指球にて遠位骨片近位端部を前方より直圧し前方転位を整復する(図5-e)
その他の整復法
・腋窩枕子による内方転位の除去
内方転位除去のため、術者の手掌によらず、腋窩枕子による槓桿作用を利用する方法もある。
・肘関節伸展位による整復
遠位骨片への牽引力を重視し、肘関節伸展位による整復も行われている。
整復確認
変形の消失 軸の変位の消失 陥没の消退 短縮転位の消失 神経、血管の確認
固定
肩関節外転約30度 水平屈曲30~40度 肘関節屈曲90度前腕回内回外中間位
固定期間
4~5週間
後療法
高齢者に多発する骨折のため、肩関節の拘縮を予防することが重要。
早期に等尺性運動を開始し、その後経過を見ながら理学療法を併用、自動運動(振子運動)を積極的に行わせる
予後
一般に骨癒合は良好。
注意事項
高齢者の骨折の場合、余命を考慮し、噛合して変形がわずかな場合はそのまま骨癒合を図ったほうがよい場合がある。