今回は私の再試範囲ではないですが、この前の整復固定学の授業で行われたコーレス骨折を・・・
コーレス骨折と言えばメジャーリーガー ヤンキースの松井選手です。
あの衝撃的なシーンはまだ覚えている人は多いと思いますので、プレーオフでヤンキースは負けてしまい松井選手のプレーは見れませんがプロ野球シーズンが終わってしまう前に・・
どんな骨折かはテスト範囲外なのでちょっと省略して今回は整復時のコツ(骨だけに)を色々教えてもらったのでそちらを中心に。
興味がある人はこちらに載っていたのでどうぞ
整復法
牽引直圧整復法(術者1名、助手1名)図7 a~c
図7aの助手動作 教科書では患者肢位は坐位または背臥位とありましたが、骨折時は痛みや貧血で気絶したりする場合があるのでベッドがあるなら背臥位の方が良いということです。
図7aでは骨折部の直近中枢側を助手が把握していますが、臨床ではこれでは手が滑ったりして牽引力をかけれないので肘関節部を両手で把握して牽引時にブレないように助手は自分の両肘をベッドに押し付け体全体を固めるようにして保持する方が良いそうです。
図7bの術者動作
まず骨折転位の判断の仕方は目で見る方法もありますが、実際はそこまでハッキリわかることは少なく、(またそのような場合は観血療法適用が多い、松井選手がそうでしたね)、骨をなぞるように触診して行きます。橈骨下端は触診しやすい場所なので、なぞるようにたどって行くと段差や引っ掛かりが分かるそうです。それと回旋転位は内側と外側の微妙な傾きを触診で感じて転位を取ります。
この時大事なことが、図では骨折線の所に術者の拇指先端が来ていますが、この微妙な転位を感じるためには拇指の爪の下でないと分かりにくいし、牽引整復時も牽引しながらその骨折部の段差を感じながら微調整するそうです。
また示指で少し下がっている尺骨を極めるのもポイントです。
ということでしたが、実際この牽引整復法は牽引時時間がかかるので患者はその間かなり痛いそうで次の一人整復法の匠の技 剣玉バージョンを習いました。
この図8 一人整復では術者がベッドの上に座って股関節、膝関節を90度にしているように思えますが、(実際そうでしょうが)この状態では自転車やスクワットをするとわかるように膝、股関節が深く屈曲した状態では強い力が出ず、牽引力がかからないということです。
でどうするかというと、上腕にタオルなどをあてがい、術者はベッドの上に立ち、患者の肘関節を垂直にした状態で、術者は患者の上腕を足で踏みもう片方の足とで肘関節をはさみ固定して、その状態から剣玉のコツ(骨)のように腕の力で引っ張るのではなく膝の屈伸を利用してクッ!と一瞬で引っ張り上げ、あたかも剣玉で玉を刺すように骨折部を合わします。
N先生はこれで何度か整復しているようです。これだと、一瞬痛いだけで済むということです。
で私達も後でやってみましたが・・・
剣玉も失敗することがあるように、私達がやると何度もやり直ししそうなので患者さんには気の毒ですが、痛みに長らく堪えてもらった方が確実のようです。
で最後に固定、失敗して中途半端な固定肢位になりましたが写真で見ると初期の固定としては、そうでもないですね。
固定 (教科書実技編より抜粋)
骨折部の安定しているものは、固定は前腕部からでよい、不安定なものは上腕部からの固定が必要であるが、仮骨形成の状態により2~3週間目より前腕部からの固定に変更する。遠位はMPJの運動を制限しないように固定し、約1週間は再転位に留意しなければいけない。
極端な掌尺屈回内位(コットン・ローダー肢位)で固定すると、正中神経圧迫(手根管症候群)や拘縮を生ずるおそれがあり、また長期固定も指関節の拘縮を起こすので注意を要する。
授業でもN先生が某院で長期固定で拘縮してかわいそうな状態になってしまったお婆さんの話をしてくれました。また、固定時に回内固定することで尺骨下端が掌側に下がってしまうのでそれを防ぐために枕子をあてることも後の前腕の回旋障害を防ぐことにつながるそうです。
だいぶ前、授業で聞きましたが上肢の骨折では腫れがひどくなる前に指輪を外すことが大切で、指も腫れあがり指輪で締め付け痛くて大変になります。確か抜けなくなって指輪を切った話を聞いたような。。。
授業ではオルテックスを巻き、その上をキャストライトで固定。
肢位・期間
1.肘関節90度屈曲、前腕回内位、手関節軽度屈曲(掌屈)位、軽度尺屈位(写真)とし、約2週間後より徐々に良肢位(前腕回外回内中間位、コップを持って飲める状態にする)に近ずける。
2.期間4~5週間で骨癒合を認め、固定を除去する。
後療法 (固定だけで放っておくと動かなくなって大変なことになります)
後療法は翌日より行い、とくに血行障害を防止し、老人では肩関節運動も行わせる
2週間ほどで良肢位の固定とし、循環の改善のため指の運動を行わせ、拘縮予防を図る
3週間を過ぎると固定を外してマッサージ手技、電気療法、温熱療法を施した後、再び固定し、4~5週間で固定を除去、運動療法を行い、6から12週間で治癒する。
来週の授業も今回の失敗を考慮して同じくコーレス骨折です。