テーマ:障害児と生きる日常(4433)
カテゴリ:障碍児の保育園生活
朝から曇り空。予報ではくもり、のち午後から雨。
今にも泣きだしそうな空の下、娘の保育園最後の運動会が開催された。 おみこしをかついでの入場。 年長そろっての開会宣言。 自分の出番までクラスで待機できるようになったところなど、去年より立派、大したもの。 竹馬、鉄棒などを含めた競技もそれなりにこなし、 いよいよフィナーレを飾る年長によるリレーがやってきた。 娘は朝からリレーの話ばかりして、 「ドキドキする…」「ちゃんとせんのとおりはしれるかな…」と心配していた。 実は、最後の練習のとき。 娘は線を大きく内側に走り、相手チームにクレームをつけられたのだ。 「だって、はやくはしりたかったから…」 笑顔でお手振りして走っていた最初の練習のときから、こんなにも変わるものなのか。 骨が出てしまうほどヒドイへん平足で装具をはいている娘の足。 どうやっても今の段階では、これ以上速くは走れない。 コースを逸脱してでも速く走りたい娘の気持ちを思うと切なくなる。 ボロ負けして帰ってくるか、最後の練習のようにコースを逸脱してしまうか。 どちらに転んでもいい。 娘が喜んでいたら一緒に喜び、娘が泣いていたら一緒に泣いてやろう。 「次は、年長さんのリレーです。」 リレーを盛り上げる音楽が高らかになり、私の心臓がどくっと波打った。 午後までまだ時間があるというのに、雨がパラ…パラパラ…と落ちてきた。 雨の向こう、入場している娘をみると、顔面蒼白。 きっと、私の2倍、いや5倍は緊張しているだろう。 入場して落ち着く間もなく、第一走者はスタートラインに。 娘はこぶしを握って、前を向いている。 大きな旗が娘の前をふさぎ、「よーいどん!」 旗が振り上げられると同時に、2人の子どもが走りだした。 最初から相手は娘より1mリード。 が、案外、その差はひらかない。 が、最初のコーナーをまわるとき、娘は大きく遠回りをしてしまった。 そのまま2人は向こう正面へ。 相手は距離ロスなく順調に走る。 娘は観客席近くまで大きく大きくふくらんだまま直線に。 なので、差は開く一方。 娘は必死な泣き出しそうな顔で走る。 コース沿いに近づくものの、相手との差は決定的。 もう、最終コーナーをまわっていってしまった。 私は向こう正面のストレート、カーブ手前でカメラを回していた。 観客席よりから、しだいにコース沿いに走る場所を戻して走っている彼女を、 カメラにおさめていたのだが、しだいに…ん?? どんどんコース沿いに近づき、コースをまたぎだし、 そのままカーブを大きくショートカットして次の走者へバトンタッチ。 相手との差を縮めてしまった。 走り終わると、決められた場所までヨロヨロと歩き座って待機していた。 そこは素晴らしいが…。。 レースはそのまま、相手チームのリードで進んだのだが、 娘のショートカットもあって、その差はあっという間に娘のチームが挽回。 もともと娘以外は速い子で構成されているので、 娘で差がつかなければ圧倒的に強い。 アンカーでは、ますます差がつく一方で、 娘のチームのアンカーがゴール前の直線を走っているとき、まだ相手チームのアンカーは、 最後のカーブを回る手前であった。 勝利を確信した娘のチームのアンカーは、 直線で腕をグルグル回しながら横にステップ、皆に勝利のアピール。観客にもアピール。 そのまま…なんと、ガッツポーズをしに先生のところへ行ってしまった。 皆が騒いでいることに気づき、慌てて走りはじめたが、もう遅い。 相手チームのアンカーがゴールし、大きくガッツポーズ! 娘のチーム唖然…アンカー大泣き…。 …で、娘のチョンボは、歴史に残る『うさぎとカメリレー』顛末のおかげで消えたのだった。 そんな顛末自体、よく分かっていないだろう娘は、リレーが終わると走ってかえってきた。 私を見るなり一言。 「ズルしちゃった。。」 でも、とびきりの笑顔。 「ズルしちゃったね。」 と、私も笑顔。で、雨に濡れた娘の体を抱きよせた。 「ママ、ドキドキしちゃった。」 「△△(娘の名前)も、すーーーーんごいドキドキちゃったよぉ。。」 このドキドキは、きっと日常のどんな場面でも経験できない素晴らしい財産で、 娘の体中隅々に行き渡って、これからの娘を支えてくれる栄養になることだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.10.21 03:19:17
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