史上最高記録を更新した、温室効果ガス濃度のお話。
トライス:さてさて、今日はこのお話にしようかな。 数希:史上最高記録を更新した、温室効果ガスの濃度が今回のお話かな。 千里:世界気象機関(WMO)によりますと、2017年の主な大気中の温室効果ガスについて、世界平均の濃度がいずれも史上最高記録を更新しました。 レム:そういえば、温室効果ガスってどんなものがあるんだ? 数希:一般的には、二酸化炭素やメタン、亜酸化窒素やハイドロフルオロカーボン類(いわゆるフロンガス)など6種類が挙げられているかな。ちなみに、フロンガスの一種の「フロン11」は温室効果ガスだけでなく、オゾン層を破壊する物質でも有名だね。このフロン11だけど、30年近く前の1989年から規制されているはずなのに、東アジアの地域でいまだに生産・排出されている影響で、まだ大気中で結構残っているんだ。 レム:それにしても、ちょっとした疑問だけど、なんで温室効果って悪いことなんだ?冬でも温かいわけだし、暖房をそんなに使わなくてもよくなるからいいんじゃないの? トライス:まあ、これからの冬のことを考えるならいいかもしれないけどね・・・。でも、逆に言えば、夏は今よりも暑くなるかもしれないなるわけだけど?今年の夏は埼玉県熊谷市で、日本国内の観測史上最高となる41・1度を記録したのをはじめ、全国的に記録的な高温になったのを覚えているだろ? レム:あ、そっか。そういえば、そういうこともあったよね。 アトラ:温室効果によるデメリットは、気温上昇による熱波、海面上昇のリスクがあります。干ばつによる水資源の不足や食料不足の問題もあります。 トライス:今年は、大型の台風が何度も本州に上陸したけど、これも温室効果による可能性が否定できていないわけだ。日本近海の海水温が上昇して、台風の勢力が強いまま本州に直撃する可能性が、これまで以上に起きやすくなるかもしれないんだよね。もちろん、台風の接近によって、高潮や沿岸部の洪水のリスクも上昇しやすくなるわけだし・・・。 数希:2015年に第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催されたフランス・パリで採択された「パリ協定」では、世界的な平均気温の上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑えることを設定しているけど、まだまだ目標達成までには課題が多いわけだけどね。 千里:そうですね。目標達成のためには、特に温室効果ガスを多く排出している国による協力が不可欠です。ですが、2017年には、アメリカのドナルド・トランプ大統領が自国の産業や労働者の雇用を守ることを名目に、この「パリ協定」からの離脱を宣言しています。 トライス:まあ、アメリカなんてそんなもん。かつて、1997年に開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)で採択された、気候変動枠組条約に関する議定書でも、先進国には排出削減について法的拘束力のある数値目標などを定めていたんだ。だけど、2001年に当時のアメリカ・ブッシュ大統領が経済の成長を阻害するからって理由で離脱を表明した前科があるわけだからね。でも、その分アメリカで温暖化が緩和されず、今年も大型ハリケーンの直撃や森林火災が相次いでいるような気がするんだけどね・・・。 数希:自国の利益だけを追求して、後でそのとばっちりを周りが受けるという状況がなくなるといいよね・・・。