イギリス下院で、EU離脱合意案が否決されたけど・・・のお話。
トライス:それでは、今回の気になった話題は何かあった? レム:イギリスって、マズいか? トライス:食べたことはないけど、フィッシュアンドチップスとか、正直あまりおいしくないという評価が多いみたいだよね。 レム:そっかぁ、それはちょっと残念・・・って、食べ物の評価じゃないって。国としての評価の方。 トライス:なんだ、もしかして、ブレグジット(イギリスの、ヨーロッパ連合(=EU)からの離脱)の話かな?そういえば、イギリスってレムの母国だったよね~!それは、立場によって変わるかもしれないけど、少なくともイギリスがEUから離脱した後は、少なからずよくない影響が出るだろうね。特に、経済の面では。 千里:本日16日のニュースとなりますね。イギリスの議会下院で、メイ首相が提出していたEU離脱合意案の内容の採決を行いましたが、投票結果は賛成202票、反対432票と(定員は650)と、大差で否決されました。 トライス:それにしても、ダブルスコアでの否決って、よほどのことだよね。イギリスのメイ政権は少数与党だったのか? 数希:民主統一党が閣外協力しているから、ギリギリ過半数だった感じだね。だから、少数与党ではないといえるかな。 レム:じゃ、それだけ法案の内容がいい加減でマズかったのか・・・。 数希:(法案の)内容だけど、EUに妥協しすぎって思った議員が多かったんだろうな。 レム:でも、どこがまずかったんだ? トライス:レム、もう少し母国のことぐらいしっかり把握しようよ・・・。じゃ、千里、説明をお願いね。 千里:今回、否決になった主な原因は、アイルランドの国境管理の問題です。イギリスの正式名称をご存じですか? レム:お、またクイズかな?確か、UKじゃなかった? トライス:それ、略語! 千里:イギリスの正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)」ですね。グレートブリテン島やアイルランド島の北部などから構成されているので、この名称となっています。イギリスが、アイルランド島の北部で、隣国のアイルランドと地続きになっています。2019年1月現在、イギリスもアイルランドもEUに加盟しています。EU域内では関税同盟の関係で加盟国同士で貿易を行っても関税はかかりません。ですが、2019年3月29 日、グリニッジ標準時(GMT)で午後11時(日本時間では3月30日午前8時)にイギリスはEUから離脱する見込みですので、それ以降はEU加盟国ではなくなるので、貿易における関税の取り扱いを含め、新たに決めていく必要があります。ですが、現在は双方でまだ納得のいく結論が出ていないので、解決されるまでは仮に、イギリスがEUの関税同盟に残留するという条項を協定案の中に入れています。合意がないまま離脱してしまうと混乱を引き起こしかねないので、いわば安全策ではありますが、EUから離脱したいと考えている強硬派の議員にとっては、これでは将来もイギリスがEUの規則に縛られ続けてしまうのではないかと反発していました。 レム:そっか、確かに、EUからイギリスが離脱しちゃうと、EUにとどまっているアイルランドとは貿易とかも違う扱いになるけど、地続きがあると貿易する時、そこの関税はどうなるのかってことにはなるよね・・・。でも、そもそもなんでイギリスはEUから離脱することになったんだ? 数希:直接の理由は、2016年6月23日のイギリスでのEUからの離脱の是非を問う国民投票の結果。投票率は約72%で、開票の結果、僅差ではあったけど、離脱支持が約52%の17,410,742票と、約48%で16,141,241票だった残留支持を上回ったためだね。 トライス:でも、そうなった原因は、イギリスがEUに対して不満を持っていたことかな。一つは、拠出金の問題。ドイツを筆頭に、イギリスなどの先進国はEUに拠出金を納めていたんだ。でも、そのお金って、同じEU域内のより経済的に貧しい国に優先的に配分されていたので、イギリスにあまり還元されず、国民が不満に思っていたんだ。拠出金をEUに払うくらいなら、EUから離脱して、同じ額でイギリスのために使えばいいのにって考えが出てきたんだ。 翔:そして、もう一つが、移民と難民の問題ですね。EUは2019年1月現在、28か国で構成されています。その中には、経済水準の低い国があります。EUでは、域内の移動を自由に認めていますので、経済所得の高いイギリスに経済所得の低い国の人々が仕事を求めて移動してきます。そこで、イギリス人の中には、移民によってイギリスに元から住んでいる人間の仕事が奪われているとして、反感を持っています。また、難民について、日本とは違い、イギリスではドイツと同じように寛容な政策をとっている(公共サービスの利用やイギリス国内での労働が認められている)こともあり、公共サービスを受けることに対し、納税を行っているイギリス人から不満が出ていることも確かですね。 レム:そんな感じなんだな・・・。でも、確かに、ぱっと来た人がいきなり権利を主張するのはどうかと思うよね。 数希:だからこそ、EU離脱で進もうとはしたけど、今回の法案で否決されたから、さあ大変、という状態に。ここからの選択肢だけど、1月21日までに首相が代替案を提出して採決をするか、国民投票を再度行うか、いっそのこと下院を解散するか、離脱の時期を延長するとかいくつかあるけど、いずれにしても厳しいことは確かだろうね。 【・・・ということで、はたしてメイ首相の次の一手は?】