批判を『帆』に受け前進するために
斎藤茂太(2006)「これで人生がうまくいく」中経文庫.「批判を『帆』に受け前進するために」現代社会で自己を通し,正当な評価を得ようとするならば,他人の批判に強い人間になるように自分をトレーニングする必要がある。褒めているようで巧妙に的をはずしている批判,けなしていながら励ましているもの,第三者を批判しながら隣のものをあてこする言い方,敵意ある批判,ちゃかすだけのもの,事実をゆがめた毒のある批判,笑っている当人の恥になるだけの批判など。批判がどのタイプに分類できるものかを見極める。そして,どう対処すべきか,無視すべきか,受け入れるべきか,闘うべきかを決めるのが,世渡りというものである。批判から逃れられない社会に生きている以上,批判に強くならなければならない。それにはまずまっとうな批判を真正面から受け止め,そこに学ぶもののあることを信じなけばならない。まっとうな批判に慣れたならば,他の流れ弾のような批判や,横槍型の批判や,ためにする批判などの矢弾から身を守る知恵も備わってこよう。親,友人,兄弟のうちから自分を批判してくれる相手を選び,批判対処法をトレーニングしてみるのは有益である。それには,次のような原則がよい。1.批判する相手の正面に座り,まっすぐ目を見る2.冷静に,冷静にと自分に言い聞かせる3.相手の批判をちゃかしたり,笑ったりしない4.相手の批判の問題点をすりかえたり,相手の言葉尻を捕まえて逆襲してはいけない5.相手が自分をやっつけることだけを楽しみにしているなどと考えない6.「あなただって過ちはあるでしょ」などと逆批判の気持ちを抱いてはならない7.「あなたが私を責めるのは,誰かが告げ口をしたからでしょ」などと言ってはならない8.「あなたが怒っているのは,ほかに何かいやなことがあって,その八つ当たりでしょ」と考えない9.相手の批判の中心点を見つけ,自分の落ち度を理解する10.相手の批判の中心が分からなければ,率直に問い直す11.相手の批判を理解したら,合意か合図を示す12.反省すべき点を認めたら,口に出して言う13.反省すべき点に後日思い至ったら,遅れてもそのことを相手に申し伝えてみる14.批判した相手に批判で返そうとして,あら捜しをしない15.批判されることを恥としないこのような,まっとうな批判を真正面から受け止めるトレーニングを積めば,まっとうな批判と,ためにする批判の違いが分かるようになる。--------------------------引用はここまで---------------------------批判されるとついカッとなって冷静な対応ができなくなることがあります。あら捜しをされてるのではないかと思って腹が立つこともあります。どんなに信念を持って発言したコメントでも,批判されるべき点というのはあります。相手の批判の内容と意図を冷静かつ瞬時に理解できれば,まともな返答ができるのにといつも後になって思います。こういうことはすぐにはできることではなくて,何回も同じ場面を体験して慣れていくしかないのかもしれません。ブログランキングに参加中。毎日1回クリックで応援よろしくお願いいたします。