ボウリング・フォー・コロンバイン
ボウリング・フォー・コロンバイン#デラックス版マイケル・ムーア監督のドキュメンタリーです。コロンバイン高校で起こった銃乱射事件をきっかけに,アメリカの銃による死者が多い背景を探っています。犯人はKマートで弾薬を買い,銃は合法的に手に入れたそうです。銃を乱射したハリスの噂について近所に聞き込みをしたり,武器メーカーのロッキード社にインタビューしたりしています。当時の救急電話のやり取りと逃げ惑う生徒を映した防犯カメラの様子が流れます。他にも,連邦ビル爆破,6歳同士の銃乱射,Y2K,殺人蜂などを取り上げ,あらぬ噂に翻弄される人々がいると訴えます。容疑者はいつも黒人に仕立てられます。郊外白人は黒人を恐れています。実際は郊外若者の銃のほうが怖いことは隠されます。結局,メディアによってアメリカ国民が恐怖感を植え付けられいるといいます。全米で人気の全米警察24時「COPS」などでも黒人が逮捕される場面が多く映し出されます。視聴率が稼げる映像を製作者は流しています。さらに,銃の所有率が高いカナダでは,なぜ銃による犯罪が少ないのか検証しています。カナダでは,メディア,政治家が恐怖を植え付けません。話し合いで解決しようとします。コロンバインの銃乱射事件の被害者は,弾丸を売っているKマートに弾丸を売らないように訴えます。それでも解決しなかったため,彼らはムーアとともにKマートの弾薬を買い占めます。それがメディアに取り上げられ,Kマートは弾薬中止を発表します。最後に全米ライフル協会(NRA)の会長に,6歳同士の銃乱射が起きたフリントやコロンバインに,事故直後に演説を行ったことを批判します。----------------------------------------ムーア監督は,アメリカでいかにメディアや企業(銃を販売),政治家がアメリカ人に恐怖を植え付けようとしているかを暴こうとしています。アメリカ人は歴史上,自分たちが恐怖から逃れるために,銃でアメリカを開拓し,黒人を酷使してきたことをアニメーションで訴えます。アメリカは貧困問題に目をつむる代わりに,テロ対策のための防衛費に多額の予算をつぎ込んでいることも示します。銃の所有が認められるアメリカで,自国批判につながる作品をつくること自体が珍しいと思います。アメリカ人が信じてきた理念=銃の所有は社会の不安を取り除くという考えそのものを否定することにつながるからです。このドキュメンタリー自体もつくられたものではあります。しかし,この作品は少なくとも,アメリカ人には示されない都合の悪い情報が隠されていることを明らかにしています。ブログランキングに参加中。毎日1回クリックで応援よろしくお願いいたします。