下流社会 第2章
【送料無料】下流社会(第2章)価格:756円(税込、送料別)前作『下流社会』が一大ブームを巻き起こして以来、所得格差の論議は諸説明現れたが、いま注目を集めつつあるのはハケン社員、偽装請負など自治形態別の実態だ。筆者は、新たに実施した延べ1万6000人を超えるアンケート調査結果にもとづいて、職業別・雇用形態別に見た人々の価値観を検証し、「正社員になりたくない」「管理職になりたくない」など、若者の本音を次々と明らかにする。そして調査結果をもとに、近未来の雇用状況--準正社員、半正社員などの新たな職業集団の出現--も予見。雇う側、雇われる側とも必読の一冊。かなり大規模なアンケート調査によって,下流意識をもつ人の特徴を明らかにしています。気になったところだけをメモ。・女性の社会進出によって,高収入の女性は自分よりも高収入の男性と結婚しようとするので,夫婦合計の所得格差はかつてよりも拡大してしまう。・働かないのに所得があるニートを可能にしたのはおそらくインターネットである。彼らはインターネットを通じて,背取り,アフィリエイト,オークションなどで収入を得ている可能性が高い。・下流にあるのは自国への愛情というナショナリズムではなく,「反中」「反韓」「反米」というネガティブな形でのナショナリズムである。・石原慎太郎はどちらかといえば「弱者」に人気がある。何者かにすがりたい男たちが,慎太郎に期待するのだろう。そして慎太郎はそれを知っているからこそ,東京にオリンピックを誘致する。価値観が多様化する中である意識を持った人たちをステレオタイプ化することは難しいと思っていましたが,アンケートから読み解くと説得力があります。一部は因果関係がはっきりせず強引とも思える推測もありました。今回のフジテレビに対する韓流デモが起きた理由にも通ずるところがあるような気がしました。これらのデモを起こしたのは単に現実の職業世界での鬱屈した感情を吐き出したいだけなのかもしれません。そうした人たちは,上記の下流意識の強い30代パラサイト非正社員だったりするのかもしれないと思えました。佐々木俊尚氏が当事者性VSないものねだり論者でそうした人たちを区別していました。社会性がなくてもネット上でそこそこの収入が得られたとすれば,当面の生活には満足できます。しかし,そうした人も本当は社会性を求めている。結婚もしたい。コミュニケーション力をつけながら社会の一員であることを実感したい。それが叶っていない現状に,社会的に排除されたという意識が芽生えるのではないか。それを選び取ったのも自分であり,他人に干渉されることを拒み,自分の個性を大切にした結果であり,やりたいことをした結果でもあります。たしかに,残業続きの正社員がいくら所得が高くても心の病にかかって,自分の趣味に費やす時間がなくなっては何のために生きているのかわからなくなります。多様な価値観に基づいて多様な働き方が認められるのはいいことです。しかし,働き方の相違が所得格差を助長するものであってはならないと思います。もっと労働への対価の妥当性が検討されてもいいかと思います。