地下室の手記
【送料無料】地下室の手記 [ フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス ]価格:580円(税込、送料別)【内容情報】(「BOOK」データベースより)世間から軽蔑され虫けらのように扱われた男は、自分を笑った世界を笑い返すため、自意識という「地下室」に潜る。世の中を怒り、憎み、攻撃し、そして後悔の念からもがき苦しむ、中年の元小官吏のモノローグ。終わりのない絶望と戦う人間の姿が、ここにある。【著者情報】(「BOOK」データベースより)ドストエフスキー,フョードル・ミハイロヴィチ(Достоевский,Ф.М.)(ドストエフスキー,フョードルミハイロヴィチ)1821-1881。ロシア帝政末期の作家。60年の生涯のうち、以下のような巨大な作品群を残した。『貧しき人々』『死の家の記録』『虐げられた人々』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』そして『地下室の手記』。ニヒリズム、無神論との葛藤を経て、キリストを理想とした全一的世界観の獲得に至る。日本を含む世界の文学に、空前絶後の影響を与えたドストエフスキーの世界はこの手記から始まったといわれます。ドストエフスキーは,「ロシア人の大多数」を占める地下室の住人の醜悪さ,悲劇性を直視し,それを単に観念的,哲学的な抽象としてではなく,時代と社会の禅譲きゅをになった最も具体的な人間として示すことができた。そしてそれを,絶望の中でもなお生をいとなみ,そこでさえ生を享楽しようとする人間の業とのかかわりで示すことができた。---------------------------現代の不可解な事件の裏にある人の精神的な異常さはどこからくるのかを読み解くヒントが隠されているように感じます。内容は,一貫して主人公の内面の心理を語ったものになっています。一言でいえば元官吏の自意識過剰とそこからくる引きこもりの性格です。しかし,自己顕示欲も強く,自分を人並み以上であることを認めさせたい気持ちもあります。これらは人間だれしも多少はもっている感情ではないかと思います。それが行き過ぎると主人公のように誰からも理解を得られなくなってしまうだけで。ドストエフスキーは一見すると性格のゆがんだ主人公の内面を丁寧に描くことで,理性だけでは物事は決まらないことを示して見せたのだと思います。世の中で普段起こっていることは,気ちがいじみた非合理な行動による結果なのかもしれません。しかし,その非合理的と思える行動にはその人なりの理屈があり,それらを描ききったことがドストエフスキーが評価される理由かと思います。