これならわかる台湾の歴史
【送料無料】 これならわかる台湾の歴史Q & A / 三橋広夫 【単行本】価格:1,575円(税込、送料込)目次 : 台湾に住む人々の生活と文化/ 太平洋のかけ橋・台湾島/ 朱印船と鄭成功の登場/ 「械闘」と清の台湾統治/ 台湾民主国の独立宣言/ 日本の台湾支配の始まり/ 変わりゆく植民地台湾/ 植民地台湾に議会を設置せよ/ 台湾全土を揺るがせた霧社事件/ アジア太平洋戦争下の台湾/ 国民党が二・二八事件を引きおこす/ 農地改革と地方自治/ 「国際社会の孤児」の経済発展/ 台湾民主化の転機となった美麗島事件/ 李登輝、総統となる/ テレサ・テン(〓(とう)麗君)が唄う「何日君再来」/ 総統となった「台湾の子」陳水扁/ 日本大好き、哈日族/ 台湾の先住民として生きる台湾の歴史がコンパクトにまとめられています。少子高齢化は台湾でも進んでいます。台湾では,高齢化に対応して長年にわたって少しずつ年金制度が作られてきました。蒋介石や蒋経国の時代には,福祉制度に政府が積極的に取り組むことはありませんでした。人々を政府に依存させ,怠けさせると考えたからです。ただし例外として,外省人である政府の役人,軍人,教師たちなどには手厚く手当を支給しました。その後,民進党が地方で勢力を拡大しながら,高齢者への年金制度の確立を要求するようになりました。李登輝政権はそうした力に押されて,年金制度を出発させようとしましたが,1999年9月に起きた台湾中部大地震や政権交代によって延期されました。陳水扁政権は2008年にようやく国民年金法を成立させました。政権交代の時期が台湾経済の発展にストップがかかった時期と重なったため,予定よりもずっと遅れたのです。2005年9月,台湾東部の花蓮県にある富南国民小学では新入生が一人もいない,さびしい新学年が始まりました。このような学校が台湾各地に生まれ,廃校を迎える学校も後を絶ちません。1951年には7.04だった出生率も,2009年には,1.03と世界でも最低の水準となり,急速に少子化社会に変化していきました。台湾の少子化の原因に,女性の晩婚化・非婚化が指摘されています。学歴も高くなり社会に進出したため,女性が男性に依存することなく精神的にも経済的にも自立することが可能となったのです。さらに,食糧不足を防ぐために1960年代から実施されてきた人口抑制政策も影響を及ぼしています。ところが,台湾の場合にもう一つ見逃せない原因があります。男児をほしがる傾向がそれです。憲法では男女平等となっていますが,財産の相続が父系主義をとり,父母を養う子ども,特に男子に期待されているのです。一般に女児に対する男児の比率は生物学的には1.05ほどですが,台湾では1.1に迫る勢いです。1980年代半ばころからこのような傾向が続いてきました。女子よりも男子がずっと多く生まれているため,結婚する時期になっても相手のいない男性が増え,少子化をさらに進めています。-------------------------台湾の少子高齢化は日本よりもむしろ進んでいるようです。今後の社会保障政策が喫緊の課題であることがわかります。日本とかなり似ている医療制度ですが,受診行動は台北一極集中の傾向があるようです。地方の山間部における原住民が暮らす地域では,医療資源の不足が顕著です。こうした知識をしっかり踏まえて調査に入りたいと思います。