巨大地震 備えは進んだのか
3月放送のNHK番組を見ました。以下,番組HPからの転載--------------------------近い将来、南海トラフの巨大地震が起きるとされる四国。東日本大震災から3年を迎える今、教訓は生かされているのか、備えは進んでいるのか。番組では震災を受けて各地で始まった防災の取り組みを振り返りつつ、その現状を徹底取材。「津波からの避難」「防災教育」「広域支援」など、さまざまな切り口から四国の防災の「いま」を伝え、あらためて巨大地震への注意を喚起する。--------------------------興味深い事例が出ていました。高知からは土佐清水町や黒潮町の高台移転の話。高知県では1,000億円以上の予算を防災対策に当てることで,津波避難ビルをはじめ具体的な成果が出ています。しかし,高台移転に際しては多くの課題があるとのことでした。黒潮町では最大34mの津波が想定されており,沿岸部の住民が高台へ移転する計画が立てられています。国の補助によって,町が宅地造成をしますが,道路や下水道などインフラ整備にかかる町の財政負担は少なくありません。また,高台への新たな住宅建設の費用は住民の負担になるようです。すると,1戸あたり最大で1,700万円の補助があったとしても,まだ住民の自己負担分が解消されるわけではありません。資金的に余裕のない年金暮らしの高齢者を中心に高台への移転が叶わないケースが出てくるといいます。移転計画は最低でも10軒の申し出があることが条件だそうですが,資金的余裕のある勤労世代とそうでない高齢世代とで対応が分かれてくる恐れがあります。沿岸部に残された高齢者は地震や津波で若い世代の援助が得られなくなることも考えられます。香川からは広域連携の取り組み。特に重要なのは高松空港の存在です。四国4県の中で唯一内陸の丘陵地にあるため,津波による浸水被害のリスクがもっとも小さい場所です。災害時の広域拠点に指定されています。広域搬送拠点臨時医療施設が置かれ,自衛隊のヘリもおかれます。本四架橋が地震で通行可能な状況を維持できるかどうか分からないため,空路を含めた四国外からの支援のあり方も重要な検討課題です。災害時に他地域の支援を受けられるようカウンターパート方式での支援態勢の構築が必要になります。陸路では,櫛の歯のように何本か伸びる南北の道路をいち早く復旧させる計画です。自衛隊は瀬戸内海沿岸部から太平洋側へ南北に伸びる道路をいち早く復旧させながら救援物資を送る計画です。ただ,交通渋滞が懸念されるため,一般道から高速道へ非常時にのみ入ることのできる55カ所のゲートを開けられるよう,NEXCO西日本と自衛隊が連携しています。愛媛からは愛南町の防災教育の取り組み。子どもたちが自主的に防災マップを作成しています。町では総合学習の時間などを通じて防災教育に力を入れています。小学校1年生から中学校3年生までそれぞれの学年に応じた防災教育がカリキュラムとして設定されています。また,月に一度防災訓練を事前の予告なしに行われます。場面に応じた適切な避難路を児童たちが考え,近くにいる高齢者とともに高台への避難を目指しています。子どもたちの防災意識の高まりは大人たちへの意識も変えているようです。高台になかった防災用具を設置するよう働きかけたおかげで,テントや簡易用トイレが保管された倉庫が設置されました。このように,四国の各地で防災への取り組みが行われていることが分かりました。日ごろからの意識付けを長年継続していくためには,子どものころから防災意識を身につけさせることが重要だと感じました。