大学教員からのMessage

[社会問題] カテゴリの記事

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  偽装か誤表示か

  付加価値をつけるための誤表示問題。消費者にとって味の違いを認識しづらいにもかかわらず，出所の確かさをブランドとして認める傾向があります。ブランド価値が認められる産地は非常に狭い地域に限定されます。風評被害はコインの裏表の裏の部分です。不確かな情報をもとに買い控えが起こる産地スケールが大きく取られます。この間、大阪市の料亭「船場吉兆」（廃業）の牛肉産地偽装（発覚０７年）、同市の米穀加工販売会社によるカビが生えるなどした「事故米」の食用転売（同０８年）など数々の食品偽装が摘発され、０９年には消費者庁が発足した。読売新聞 10月27日(日)消費者にどう品質の良さをアピールするかが高級品訴求の市場では求められます。一方で経営の観点からは利益追求のための経費節減が求められます。通常高級品訴求市場では高い粗利率の割に高い販管費率のために差し引く営業利益率は低くなってしまします。一企業が複数の事業部を傘下に持ち，複数の市場をターゲットとする場合，それぞれの市場に対応した組織の利益構造をしっかり見極めなければ，低価格市場に対応したローコストオペレーションのみを優先しがちになるのではないでしょうか。

  2013.10.26

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  福島巡検

  福島第一原発事故被災地での現在の放射線量と住民の生活に参加しました。福島の人々の暮らしが分断されるなかで地理ができることを考えたいと思いました。コース福島駅（西口バスプール）―伊達市小国町：特定避難勧奨地点，市民参加による詳細放射能測定水田圃場，仮置場（遠望），日本最初の農業協同組合創立の碑（モニタリングポスト）など―飯舘村役場 （モニタリングポスト，心和ませ地蔵：　役場で菅野哲さんのお話），までいな家，チップボイラー見学―比曽東ゲート→山木屋地区　菅野源勝邸（源勝氏のお話）―阿武隈茶屋（渡辺とみこさんのお話）―福島駅放射性物質の仮置き場の前を通りました。きれいな景色，澄んだ空気，豊かな自然，おいしい作物，温かい人たち。しかし，目に見えない汚染が人と自然の関係を分断しているという厳しい現実。

  2013.09.30

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  圖解　台灣史

  台湾土産。圖解　台灣史。今回の旅では，個人的には順益台灣原住民博物館の最初の映像ガイド（日本語）が見ごたえありました。台湾原住民はどこからやってきたかはっきりわかっていない部分も多いですが，有力な一説が解説されていました。一説にはもともと最終氷河期で陸続きのときに大陸から渡った人たちがいたといいます。孤島になってからまた大陸から今の人類が船でやってきたらしいです。その時混血したのかどうなったかは不明。とにかくオーストロネシア語族は台湾を起点にフィリピンからニュージーランドまで広がったんだそうです。南北を逆さの地図にすると移動経歴が推測しやすくなります。大陸で人が多くなったとか食糧難とかでどんどん南方へ開拓していったんだそうです。台湾人のルーツを紐解く史前時代的台灣にしっかり触れていました。この本を買う決め手になったのは以上の移動のプロセスを地図付きで解説していたことです。台湾の歴史は，それこそ歴史的な経緯から教科書に載ることはほとんどなかったのです。光復を果たした戦後は漢民族中心の歴史が語られるのみで，以前の状況は知るすべがなかったようです。

  2013.09.23

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• わがまちに医師を～地域医療と霞ヶ関の半世紀

  ETV特集です。国民皆保険制度成立の背景には，当時不安定だった医師の収入を増加させる目的もあった。当時の開業医は貧乏人からは少なめにとり，金持ちからは多めにとって全体としての収益を確保するよう努めていたが，収入が上がらないために夜逃げをするものまで現れた。当時の厚生省はイギリスをモデルとした医療制度の構築を目指した。1942年のビバレッジ報告「ゆりかごから墓場まで」の福祉国家を実現したいとの思いがあった。新しい国づくりをしようという意気に燃えていた。イギリスでは行政がほとんど国有の病院に無料でかかれるように整備していた。農村や山間地の医療は行政が関与しなければ，保険あって医療なしという状況は容易に想定された。1950年当時の医療整備計画には，都道府県立病院を全国に整備し，それらをもとにして医師を適正に配置することを考えた。都会でも過疎地でも医療が受けられる仕組みを整えるために，保険だけではなく，医療も関与すべきであるとの考えが官僚にはあった。それに待ったをかけたのが第11代医師会会長の武見太郎である。国民皆保険そのものは避けられない流れであるが，役人の介在が多すぎて医者の職業的自由を侵すものだと考えていた。＝プロフェッショナルフリーダム守ろうした制度は自由開業医制で，歴代の医師会長に引き継がれていった。第15代日本医師会長の坪井栄孝もその一人だった。病院をつくる主体は民間であるべきで，民間病院を開業するために，低金利貸付の医療金融公庫の設立に奔走した。1960年に医療金融公庫が設立され，民間病院の開設が容易になった。その結果，医療費の支払いなど保険は国民皆保険制度によって行政が公的に整備する一方，どこにどれだけ病院を配置するかについては民間主体の自由開業医制に基づくといった独特のシステムとなった。このころの整備状況が地方の医師不足の根源になったとの見方がある（吉原健二元厚生事務次官）日本医師会はそれとはまったく異なって必要なところに必要な医療を提供しようとする医師は必ず出てくるという見方をしている。過疎地では補完的に国保の診療所が整備されてきたが，医師は強制的には連れてくることはできない。そこで必要な医師について文部省に働きかけて，医学部の定員増加を図った。必要医師数の算定基準は，人口10万人当たり医師150人という当時の国際基準だった。こうして始まった医師の増員。一県一医大構想が1973年に打ち出され，これまで医科大学がなかった都道府県に医学部が設置された。医師の数は着実に増え，1960年から20年で1.5倍（15万人超え）になった。しかし，地域医療を担う人材は過疎地勤務が嫌われたためになかなか増えなかった。地域医療に影響を与えた動きは，全共闘における医学部生のインターン制や医局講座制への反対運動だった。地域医療の即戦力を目指したインターン制度は，GHQの指導のもと聖路加国際病院によって導入されたが，日野原重明氏がそのリーダーシップをとっていた。ところがインターン制度の現状は，理想とは異なり，医局講座制の構造に支配されたもの（労働収奪機構）だった。医局の教授は自分の研究に熱心であるが，学生への教育には熱心ではなかった。学生の反対を抑えきれずに1968年にインターン制度は廃止される。しかし，徒弟制度に似た医局講座制は残った。医局は医師の勤務先を決める人事制度でもあり，医局に入ると研究発表や論文執筆に追われ，他の分野には関わる機会はなかった。昭和50年代の高齢化の進展を受けて，イギリスをモデルとした家庭医制度の導入を急いだ。家庭医は大病院の患者の数を減らす役割も担っている。結局は医師会が反対して頓挫した。そこで官僚は新たに間接的に医師の配置に関与しようとした医療法に目を付けた。医療法改正は自由開業医制には触れずに，過疎地域に民間病院を誘致する苦肉の策だった。ここでは必要病床数を二次医療圏ごとに行い，過剰と判定された地域は都道府県知事が新たな病床増加をやめさせたり，病床廃止を勧告することができる。しかし，過疎地での効果はあまりなく，むしろ駆け込み増床によって，過剰病床地域のさらなる増床を招いた。国民皆保険と自由開業医制が両立している現状では，効果的な地域医療対策は打ち出せない。予想を超える医療費の増大によって，いかに医療費を抑えるか＝医師数の抑制が国の課題となった（吉村仁氏の医療費亡国論）。1986年に医学部定員を10年で10％削減することが決まった。1986年当時全国平均では国際基準の人口10万人当たりの医師数150人を初めて上回った。しかし，東北地方などまだ150人以下の地域が数多く存在した。それにもかかわらず医師数の抑制が始まった。インターン制度の理念を復活するべく，新臨床研修制度が導入された。これによって医局制度とは関係なく自由に研修先を選べるようになった。この制度もまた，医局から医師派遣を渋るという副作用をもたらした。医局自体が医師不足に陥っていたからである。増田元岩手県知事は秘策として外国人研修制度を利用して，日本語の堪能な中国人医師を岩手県医科大学病院に派遣して，日本人医師を地方に派遣してもらうことにした。しかし，この秘策も焼け石に水で岩手県内に入院できない医療機関が出て住民が反発した。東日本大震災は医師不足に拍車をかけた。原発事故後に福島県内ではおよそ125人の医師が退職した。岩手県の陸前高田市では新たな取り組みが始まっている。長年医師不足に苦しんできた県立高田病院では，高台に移転した後，新臨床研修制度で訪れる応援医師が増えている。常勤で働きたいという医師も現れた。

  2013.04.19

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  保険選び

  はじめての民間保険。どんな種類があって，限られた予算内でどれだけの保障を求めるべきか一から勉強しました。本も何冊か読みましたが一番参考になったのは以下です。【送料無料選択可！】だまされない保険 安心できるおトクな商品はこれだ! (単行本・ムック) / ...価格：1,365円（税込、送料別）日本人は世界一の保険大国と言われるほどの“保険好き”です。しかし、どれだけの人が加入している商品の中身について理解しているでしょうか。商品設計はわかりにくく、その種類はいわば無数にあり、専門家でも正確な商品比較はできない状態です。しかも、パンフレットは誇張と言葉のレトリック、数字のマジックにあふれ、ごまかしセールストークも横行しています。売る側にだまされないため理解しておきたい、保険の基礎、料金体系、保証内容の要諦、そして売る手口に鋭く迫った1冊。自分が万が一の時のために残された家族への生活保障として収入保障保険や介護保険。自分自身のために，医療保険という組み合わせが最適だとわかりました。生保代理店にも行きましたが複数の保険会社を無料で横断紹介できるのがウリです。しかし，会社によって代理店に入る手数料収入が異なることから，収入や家族構成などに合った中立な商品の提案より実入りのよい商品を売ろうとする動機になっているという批判があります。ネット生保の暴露で高まる。保険代理店への手数料開示圧力｜ダイヤモンド・オンラインソニー生命やメットライフアリコは手数料収入が高いようです。というわけで，何の知識もなく進められたプランをうのみにすると，自分にとって本当に必要な保険ではないリスクもはらみます。金融庁も規制に乗り出そうとしています。営業担当者が保険商品を勧める際にその理由をこれまで以上に丁寧に説明することや、社員教育を徹底するなど、販売体制の整備を図る。「来店型」保険ショップ 金融庁が規制強化へ　NHKニュース今回は複数の代理店を回って，比較検討してみました。最初の代理店は何の知識ももたずに訪問したこともありますが，担当の方の説明に疑問を感じるところが多々ありました。まず，終身払込型の保険は避けるべきです。払込期間は○○年，○○歳までといろいろタイプがありますが，退職するまでに払込が終了し，かつ一生涯の保障が約束される終身保険にすべきです。勉強する中で，貯蓄性商品は現在の低利率とインフレリスク，解約返戻金の戻り率の低さや戻るまでの年数などを勘案するとあまりオススメできないことがわかりました。また，会社が倒産してしまうと，契約継続の場合，返戻金が相当減らされてしまうことがあることもわかりました。現在では貯蓄のための保険で入ることは本来の保険の目的からすると，本末転倒です。定期預金などででいつでも解約できる状態のままで堅実に貯蓄していった方が賢明かもしれません。あとは月々の保険料の安さだけに目を奪われがちですが，払込期間が終わるまでのトータルの保険料を比較しなければなりません。当然同じ保険プランでも払込期間が短いほど，一度に払う保険料（年払い，一時払い）が高いほどトータルの保険料は安く済みます。というわけで，余裕があれば，払込期間を60歳など短めにしたうえで，1年払いを検討した方がよいかもしれません。標準利率（予定利率）1.0％で生命保険料が値上げされるが2014年からは値下げされます。標準利率（予定利率）1.0％で生命保険料が値上げされるが2014年からは値下げされる | はじめて生保据え置きする会社もありますが，保険料収入の不足分は責任準備金から取り崩すことになるので経営圧迫要因になります。保険会社の健全性を測る指標としては，格付け会社によるランキングや，ソルベンシーマージン率がよく挙げられます。これらもある程度参考になりますが，会社の経営状態を正確に評価できるわけではありません。ある本は，責任準備金のみに注目しています。収入保険料に対する責任準備金組み入れ額の割合が高いと健全性が高いという目安になります。収入保障保険は遺族年金や定年後の国民・厚生年金のみでは足りない部分を補う側面があります。医療保険はさまざまなプランが出ていて同じ条件で横並びの比較をするのが大変難しいです。医療費抑制が不可避となれば，公的医療保険でカバーされない分野の民間参入と結果としての逆選択がいっそう進みそうな気がします。TPPが狙っているのはここらへんかと思います。今のところ，健康体で若い自分は保険会社にとっていいカモかもしれません。それでも万が一のときでもお金で心配しない安心感を得るために，どれだけのお金をトータルでつぎ込むかという考え方で選びました。代理店には何回か足を運び，前回説明を受けたプランをしっかり調べて，次回には代替プランを持ちかけてみるといったことをして，比較を十分にしました。おかげでかなり中立的な意見をもらえたと納得しています。

  2013.03.12

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• 先延ばしの政治

  政治は国民が短期的に喜ぶことをしてきた。それを許してきたのは，国民自身ではなかったか。古代ローマも経済原理に倒れた。国民も政治に無関心になり，現状を変える努力をしなかった。いわば，国民は現状維持バイアスと損失回避バイアスに寄りかかっていた。現在の日本は古代ローマの後期といえるのではないか。日本の人口が減少しているならば，経済成長に頼らない社会の在り方を模索していかなければならないのかもしれないが，現状維持バイアスと損失回避バイアスがある限りは，自らの身を削る行為は難しい。国の借金が1000兆円。個人の金融資産1400兆円を超えるのが2014年。財政破たんという全世界にとってのかなりのショッキングな事態を回避できるのでしょうか。

  2013.01.29

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• 新政権に望むIT戦略

  今日の日経10面に関口論説委員による中外時評が掲載れていました。　今回の選挙でも脱原発の精神論ばかりが唱えられ，スマートグリッド（次世代送電網）などIT戦略を公約に掲げる候補者はいなかった。　民主党では税と社会保障改革のための番号制度を議論したが，IT政策という点では空白の３年間だった。　日本の情報化が最も進んだ時期はいつか。官邸に「ＩＴ戦略本部」が設けられた森政権と次の小泉政権の時である。　高速インターネットで先行する韓国に対抗し、「e-Japan戦略」を立案。日本も一躍、ネット先進国に躍り出た。（中略）　内閣には「ＩＴ担当相」が置かれ、情報化が政府の重要施策となった。　ところが２００６年の安倍政権から風向きが変わる。　科学技術担当がＩＴ分野を兼務し、ＩＴ担当相の名前が消えたのだ。　たとえば06年の「IT新改革戦略」では，レセプト（診療報酬明細書）を10年度までにすべてオンライン化するはずだったが，医師会の反対で麻生政権が骨抜きにしてしまう。　小泉政権で閣議決定していた「通信と放送の融合」も進んでいない。（中略）　一方，海外の政治や行政のリーダーたちはITを経済政策に上手に使おうとしている。　夏季五輪を終えたロンドンでは今，キャメロン首相の肝いりでハイテク都市づくりが進んでいる。　ロンドン五輪は3D（3次元）放送やネット中継に力を入れ「デジタル五輪」と呼ばれたが，そこで構築した通信インフラを使い，新しい企業を育成しようという計画だ。　ゲーム産業で日米に次ぐ第三極を目指すカナダ政府は，ベンチャーの育成や日本など海外からのゲーム企業の誘致に全力を注ぐ。　優遇税制で政策にかかる人件費の4割近くを政府が負担。映像分野も入れると，5万人を超す産業に育った。　オバマ米大統領も環境政策ではつまづいたものの，高速ネット戦略は米国の通信インフラの底上げを促し，情報活用を促すオープンガバメントやビッグデータの流れを作り出した。　そこで安倍新政権に何を望むか。まずは歴代政権が放置してきたＩＴ戦略に再び光を当てることだろう。　実はIT瀬一作は自民と民主でほとんど差がない。選挙の争点にはなりにくいが，逆に言えば一緒に政策を推進できる数少ない分野だ。（中略）　国民番号制度の実現も待ったなしだ。携帯端末時代を迎え，ネット選挙の解禁や電子教科書の導入も必要だろう。さらに情報活用を促すクラウドコンピューティングやビッグデータの環境整備も喫緊の課題だ。　安倍新首相にはＩＴ担当相のポストを復活してもらい、成長を促すＩＴ戦略の立案と実践にぜひとも取り組んでほしい。---------------------------普段スポットが当たりにくいIT分野の政策課題を整理しています。医療のIT政策については気にしていますが，他の分野にしても民にできることは民でというスローガンは政権が変わろうとも変更されないようです。また日本の場合はセキュリティの確保に対する配慮が他国以上に求められている，というか政府が気にしています。万が一のときに引き受けなければならないリスクがあまりにも多いと判断して及び腰になっているように見受けられます。また，ITの費用対効果についてもよく語られますが，IT投資に対してこれだけコストが下がるということを明示しにくいところが予算折衝しにくい要因でもあります。研究においてもまた然りです。これだけインターネットが普及している現在，使わないことによる不利益が大きくなっているように思います。IT技術者など高度人材の獲得競争に打ち勝つためには，政府がその誘致に向けた投資や税制緩和・撤廃を積極的に進めなければ頭脳流出が止まらなくなると思います。いまこそ，トップダウンの決断が求められるところだと思います。

  2012.12.23

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  夕日

  昨日思わず写真に収めた夕日。大きな橋とその向こうに広がる赤い夕陽のコントラストが絵になります。冬の澄み切った空気だからこそこんなにきれいなのかも。

  2012.12.21

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  野田総理の街頭演説

  先週五反田で野田総理の演説を聞きました。ヤジや怒号なども飛び交ってました。聴衆の間には何とかしてほしいという悲壮感のような雰囲気が漂ってました。今日が選挙公示日。東京都は都知事選とダブル選挙。トリプル選挙のところも。年末のあわただしい時期になぜという批判も，日程が決まってしまえば真剣に考えざるを得なくなります。争点はいろいろあるようだし，世論調査も各マスコミが行っていますが，これだけ多様な選択肢が増えてくると，自分のこうあるべきという軸がないと決めきれないと思います。決めきれない人は，顔や知名度，ポピュリズムに走るか，白票を投じるか，選挙に行かないか。このような状況はまさに私たち一人ひとりの価値観を反映したものと思います。

  2012.12.04

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  進化する宅配　便利さ競うスーパー

  日経の記事に（正確には日経パソコン）ネットスーパー比較が載っていたのでメモ代わりに紹介．図1　ネットスーパーの形態は、既存の店舗にある商品を店員がピックアップして届ける「店舗配送型」と、ネットスーパー専用の配送センターを持つ「センター配送型」の2種類がある店舗配送型はイトーヨーカ堂，イオンなど先行企業によって全国展開が図られている．センター配送型は設備投資コストのせいで，東京や横浜など提供範囲は一部にとどまる．センター配送型をとると安定した在庫を確保しやすく，サミットネットスーパーが導入している．表1　全国規模で展開している3社と首都圏で展開する1社のサービス内容をまとめた。2001年にサービスを始めたイトーヨーカ堂に、イオンが配送料を抑えたサービスで対抗しているイオンの場合は、Webサイトで生鮮食品の産地を「○○県などの国内産」と表記している。イトーヨーカ堂のネットスーパーは、レシピの数が豊富。材料を一括注文する機能もあり、買い物の手間を減らす工夫が施されている西友は価格勝負のシンプルなサイト構成。サイトには、アマゾンのような分かりやすさがあるサミットはきめ細かい配送体制が売り物。お得意様に対する割引にも注力している関東地方を中心に利用できるパルシステム生活協同組合連合会は、産地直送の生鮮食品の提供にこだわる。送料は200円前後オイシックスは生鮮食品の鮮度にこだわり、注文を受けてから収穫して届ける。注文してから商品が届くまでに3日以上かかるが、近年利用者が増えている。送料は3000円未満の注文だと770円かかるが、4000円以上で170円に、8000円以上だと無料になる大地を守る会が提供する食品は、無農薬、有機肥料で育てた農産物が約7割を占める。「ウェブストア」の配送は注文してから2日後と、有機食材を扱う宅配の中では早い。送料は390円からコンビニのネット通販は、書籍や音楽CDなど価格差の生じにくい商品を購入し、最寄りの店舗で受け取りたい人によく使われている。最寄りの店舗に商品が届くには注文後3～5日かかるが、店舗受け取りなら送料はかからないローソンのネット通販では、ヤフー、食品宅配の「らでぃっしゅぼーや」、高級スーパー「成城石井」、音楽CDショップ「HMV」などが取り扱う商品も購入できるセブン-イレブンのネット通販では、1500円以上購入すると宅配の送料が無料になる。西武百貨店やアカチャンホンポなどの商品も購入できるが、送料は別途必要 カタログ通販業者が手掛けるネット通販サービスでは、ネット経由で注文や決済を行うが、定期的にカタログが届き、充実したコールセンターの対応など、従来のサービス内容も残されているカタログ通販大手の「ニッセン」は、ネット通販でもファッションや雑貨、家具など常時2万点以上の品ぞろえがある。全品検査を行うなど、商品の信頼性を高めるための体制を整えている「ベルメゾンネット」は、ファッション、雑貨、家具、グルメ、育児用品など3万点以上の品ぞろえ。高品質の割に値ごろ感を持たせたという------------------------------という具合に各社ともネット＋リアル，配送料，画面構成，安全性アピール，割引率などで差別化を図っていることが読み取れます．配送料がお得になるためには一定の購買量が必要になってくるので，最初は集客のために相当の投資が求められるのでしょう．アマゾンはそこを追求したのだと思いますが，生鮮品という鮮度劣化の激しい商品を扱っている難しさがあります．これらをいかに安く高鮮度で届けるか，食品流通業の永遠のテーマであると思います．

  2012.11.19

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• アメリカ大統領選挙

  僅差の戦いといいつつもあっさりとオバマが再選を果たしました．どのような人がそれぞれの候補に投票したのか．NHKでは情報分析会社による以下の傾向を紹介していました．ジャガー・ポルシェなど高級車に乗っている人は共和党支持，スバルに乗っている人は民主党支持など民間会社が保有自動車のメーカーから政治的傾向を予測。個人情報が徹底的に選挙活動に利用されている。また，ニューズウィーク日本語版では人種による投票行動の違いを紹介．結局、共和党のロムニーに「人種バブル」は起きなかった。６日に投開票された米大統領選の出口調査結果によれば、ロムニーは白人票の59％を獲得した。目標とした60％に若干届かなかったものの、上々の出来だ。ただ白人票を60％獲得したとしても、一般投票数で勝利はできなかっただろう。　その理由はこれまで通り、共和党支持者に人種的な広がりがなかったからだ。極論すれば、ロムニーに投票したのは白人だけだった。　もちろん、すべてが白人だったというわけではない。ただロムニーの得票率は48・１％で、そのうち白人は42・５％。つまり、彼に投票した人の88％は白人だった。ちなみに黒人は２％、ラテン系は６％、アジア系は２％、そしてほかの人種はすべて合わせても２％だ。　一方、オバマに投票した有権者の内訳は白人が56％、黒人が24％、ラテン系が14％、アジア系は４％。その他の人種は２％だった。背景は白人と黒人、ヒスパニック系アメリカ人の所得格差が過去最大にまで拡大したが，白人の有権者層が少数派になったことが挙げられます．オバマはラテン系有権者の71％を（ロムニーは27％）、アジア系有権者の73％を（ロムニーは26％）をそれぞれ獲得．高級車＝共和党支持，一般車＝民主党支持はおおかた合っているのだと思います．

  2012.11.10

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• 若者離職率を初公表 業種で大きな開き

  朝日新聞デジタルより厚生労働省は３１日、若者が入社してから３年以内に辞める離職率を、業種別や規模別に初めて公表した。２００９年３月に大学を卒業して就職した４３万人のうち、２８．８％にあたる１２万人が３年以内に辞めていた。もっとも高い業種は教育、学習支援業と宿泊業、飲食サービス業で、いずれも４８％、次いで生活関連サービス業、娯楽業が４５％などと、サービス産業で高い．一方で低い業種は電気・水道・ガスなどインフラ系と製造業．詳しくは厚生労働省の若者雇用関連データへ離職率の高い業種＝第二新卒でも何でも替えがきくとの認識の下，従業員の労働環境に気を配らないようないわゆるブラック企業の割合の多い業種については，若者は労働条件の悪さに見切りをつけるのかもしれない。就活の際にはこうした事実も踏まえて，替えの効かない人材として自分を生かせる企業探しをする必要があるかもしれません．

  2012.11.01

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• 海外旅行保険

  最近領土問題をめぐる動きが活発です。特に尖閣諸島の領有権を巡って中国との関係が悪化する懸念が高まっています。上海では日本人社員が危害を加えられる自体に至っています。これから中国に行く日本人は気をつける必要がありそうです。海外旅行保険については，いまのところ保険金自体は変わらないものの，免責事項が増える可能性があるとのことです。物損については変わらず保証はされます。しかし，本人に対して何らかの危害を加えられた場合には保険金が支払われないケースが出てくるかもしれないとのことです。

  2012.09.14

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  「あなたらしい老後と死は？無縁社会の中で」

  特報首都圏をみました。世界に類を見ないスピードで進む日本の「超・高齢化」。同時に社会との“縁”を失った、単身世帯の高齢者が急増し、「孤立した老後」と「尊厳なき死」が深刻な問題となっている。社会とのつながりを失った末の『孤独死』が続発、遺品整理業者への依頼は引きも切らない。医療費抑制と高齢者の自立という下で、社会的入院が認めらなくなり、病院にも居場所を失った高齢者たち。自宅で暮らせず高齢者福祉施設にも入れない高齢者の新たな居場所として、ＮＰＯが設立した「３畳一間」の施設に高齢者が押し寄せる。こういった社会の急激な変化に私たちはどう向き合い、今後、どう解決へ向かうべきか？専門家と一緒に考えていく。出演：内橋克人さん(経済評論家)､竹下景子さん(女優)､宮本みち子さん(社会学者)-------------------地縁，血縁がなくなるなかでは，自助ではどうしようもないところまできていることがわかりました。地域をベースにした助け合いというものの，だれが担い手になるのか，NPOやボランティアに適正な報酬を得てもらうサポートのあり方を議論すべきです。既存の介護保険ではカバーしきれないニーズがそこにはあります。今問題になっているのは高齢者ですが，同様の問題はすでに非正規雇用の若年層や外国人労働者など低所得層にも広がっているのではないか。どこにどのような問題があるのかを明らかにしていくことは大事ですが，そのうえでどのような解決策がありうるのかを積極的に提案していく必要性も感じます。

  2012.06.29

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• ポイントカード考

  ポイントカードは顧客囲い込みの手段であるとともに，顧客の購買行動を分析することで，DMや割引券を効果的に出すなど，二次利用によるマーケティング効果が大きいと思います．消費者にとってはポイントカードを次回購入時の割引に使えるし，ほしい商品の割引券などが出てくれば，店舗に行くインセンティブがいっそう高まります．しかし，このポイントカードは自社独自のものと思っていたら，いつの間にか，他社のポイントカードと提携したり，脱退したりと入れ替わりが激しいのが分かりにくいです．この間まで使えていたポイントが使えなくなって貯めた分が無駄になったり，他社発行のポイントカードしか使えないのでカードを持っていないと即座にカードを作ることができなかったり．ドトールはTポイントカードが使えます．これは便利なのですが，近場のドトールにはかなりの高齢者の憩いの場となっていてTポイントカード自体を持っていない人が多いようです．Tポイントカードを作るためには，TSUTAYAに行かなきゃいけないので，結局こうした人たちはカード難民になってしまいます．さらに，彼らはファミマなどTポイントが共通して使えることを知らないので，ポイント共通化による恩恵を受けられないままです．ポイントカードの中の購買履歴情報は，個人情報保護との関連で問題にされることが多いですが，これらをクリアしたうえで，誰もが使いやすいようにする必要がありそうです．

  2012.06.14

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  太平洋ゴミ

  海流の関係でずっと一定の場所にとどまり続ける太平洋ゴミ。プラスチックをはじめとして様々なごみがただよっているそうです。黄色い点々がゴミだそうです。カラフルなプラスチックを餌と勘違いして食べてしまう鳥もいるようです。プラスチックは海でも溶けて海の汚染につながってしまうとのことで，海は何十年にもわたって現在も汚染され続けていることになります。アメリカのカリフォルニア州で2011年に捕獲されたマグロからセシウムが検出されました。CNNによると，セシウム１３７は半減期が約３０年と長いため、１９５０年代から６０年代にかけての地上核実験で放出された放射性物質の影響が今でも残る。一方、セシウム１３４は半減期が２年半と短いことから、スタンフォード大学の研究者ダン・メディガン氏は「福島第一原発のものであることは間違いない」と断言する。原発の問題も個別の国では対応できないグローバルな課題です。海には国境がないからです。この難しい課題をクリアしなければ地球の存続はありえません。

  2012.05.29

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  グレープフルーツ

  実家からグレープフルーツが届きました．1ダース．早速食べてみました．みずみずしくて甘酸っぱくておいしかったです．ビタミンCがたくさん補給できそう．

  2012.05.05

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• 橋下市長、小中学生の留年検討を要請

  橋下市長、小中学生の留年検討を要請読売テレビ　NEWS&WEATHER　大阪市・橋下市長は２２日、小中学生が目標の学力水準に達しない場合、進級させずに留年させることを検討するよう市の教育委員会に要請したことを明らかにした。　橋下市長「ついていけない子供たちがいるわけですから、一律に学年を進級させることのほうが子供にとっては本当にかわいそうなこと。この留年制度について問題提起をして、教育委員会がどのような論理的な反応をしてくるのかしっかり確認したい。理解できていない子供には、しっかりとわかるまで教えてあげるのが本来の教育だと思っています」　今回の要請のきっかけとなったのは、２０日付の読売新聞大阪夕刊に掲載された教育評論家・尾木直樹氏の記事で、「（橋下市長の教育改革に助言するとすれば？）留年させても府民の子供の力をつけてもらう、というのを橋下さんが出してきたら、ボクは大喝采します」と書かれている。橋下市長はこの記事を読んで、学力の底上げ策として、市の教育委員会に留年制度の検討を要請したという。　しかし、突然の話に教育委員会は困惑している。文科省によると、義務教育課程での留年は校長の判断次第で法的に可能だが、実際にはほとんど行われていないのが現状だという。　尾木氏は記事について、「今の状況で留年制度をそのまま取り入れたら、システムとして子供たちが大変になる。到達目標を設定して、そこに到達しなかったら留年してでもやりましょうという意味です」と話した。　橋下市長は２２日夜、市役所で教育委員と懇談会を開き、協力を求める方針。(02/22 19:20)-----------------------------分からないまま進学してしまうよりはいいかもしれません。西欧では当たり前のように制度化されているようです。大学も卒業するのが難しいとか。一回留年して卒業年齢が最短でなくなることが，就職の不利につながらないか心配です。あと留年が認められるのなら，飛び級も同時に認めてあげてもいいのではないかと思います。

  2012.02.22

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• フェアトレードチョコ

  キフチョコ，チャリチョコの動きは去年も注目されていました。寄付、チャリティなど自分が買ったものがなにかのかたちで社会に還元させたいという人に受けてるようです。ことしのバレンタインデー 被災地支援に一役買うチョコレートも販売されているそうです。昨年に続いてフェアトレードのチョコをもらいました。ピープルツリーとプレス・オールターナティブです。ピープル・ツリーは人と地球にやさしい貿易の仕組み（フェアトレード）の専門ブランドです。アジア，アフリカ，南米の生産者の手仕事による衣料品やアクセサリー，雑貨，食品などを扱っています。ピープル・ツリーのフェアトレード・チョコレートはボリビア，ペルー，エクアドル，コスタリカ，ドミニカ共和国などの生産者組合からフェアに取引されたカカオを使って作られているそうです。プレス・オールターナティブは，チョコレート生産者団体や原材料の生産地・加工地を訪問し，作る人たちの努力の過程とこの製品が世界各地でどのような問題解決に役立っているかを食べる人に伝え，チョコレートの購入を通じて，生産にかかわるすべての人たちを応援しているそうです。チョコレートの原料となるカカオは，生産国の1つであるドミニカ共和国で共同プロジェクトを始めたということです。両団体ともスイスが原産国となっています。包装紙の裏には原産国の状況から品質向上への取り組みまで書かれています。ほかにも，それぞれの流通過程での取り分なんかもオープンになるともっといいなと思います。

  2012.02.11

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• 医療崩壊の町を津波が襲った～岩手県宮古市～ －　被災地　再起への記録　－

  改めて録りためていた番組を見ました。2011年5月2日にNHK総合で放送した番組です。番組内容紹介大震災で三陸沿岸各地の病院が機能不全に陥った。その多くが、震災前から深刻な“医療崩壊”に見舞われていた病院だ。医師たちがこの事態にどう向き合っていくのかを取材。東日本大震災により、三陸沿岸各地の病院が機能不全に陥った。その多くが、震災前に既に深刻な“医療崩壊”に見舞われていた病院だ。日々の繁忙な業務に疲弊していた医師や看護師たちは、震災で自ら被災者となり、それでも、ばく大に増えた患者と向き合わざるを得なくなっている。番組では、岩手県立宮古病院と宮古市立田老診療所を主な舞台に、医師たちが、この事態にどう向き合っていくのかを取材する。-------------------岩手県内の被災した病院や診療所の医師の奮闘が描かれています。各病院の当時の被災状況をメモ。県立宮古高台にあったため，津波の被害は免れた。患者が集中して，DMATは10チーム入った。震災前から50人→27人と医師が半減。内科医は1人に。循環器内科医不足で命にかかわる病気をみられる体制がない。救急車やドクターヘリで盛岡に搬送するしかない。県立山田津波で1階が使えず。40人余りいた入院患者は退院か転院せざるを得ない。もともと2人しか医師がいなかった。泊まり込みの医師は体調を崩した。県立大槌津波で家を失った医師が多く，高校で寝泊まりしていた。医師団に任せて，いったん解散した。4月25日，町の集会所に仮設診療所を設置，当面は外来診療のみ行う。宮古市田老地区の診療所は津波に流され，仮設で診療。医師（黒田医師）も被災し，避難所暮らし。外来と入院，訪問診療をかけもってきた。特養老人ホームふれあい荘にも週1で出かける。カルテが流されても患者の状況はすべて把握していた。宮古市に辞表を提出していた。何年も医師の増員を要請していたが受け入れられず，10年勤務していた田老診療所を2012年3月で去る予定。宮古病院付属重茂診療所60年間常勤で1人の医師が働いていたが，2011年12月で退職して，無医地区となった。応援の医師が引き上げた後の支援体制が求められる。このように，医療崩壊（医師不足）というのは震災前からすでに顕在化しており，震災を機に一気に問題が一刻の猶予もなくなっていることが改めてわかりました。

  2012.01.14

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• 不適切発言

  大学の教授から一般市民に至るまで，FacebookやTwitterなどSNSでの発言が炎上したり，自分の身を危うくする事態にまで発展することがあります．特に社会的な影響力をもつ人が発言する場合には言動に注意する必要があるというか，自分の言動に責任を持つ必要があるということなのでしょう．気軽に意思を伝えられるのが最近のSNSの特徴なのでしょうが，つぶやいてはいけない一線というのがどこかにあるのでしょう．どこかというのも実にあいまいなもので，国家権力やメディア操作によってそうした世論がつくられて既成事実化するケースもあるように思います．ふとつぶやいたことが，本当に不用意な発言だったために，誰かを傷つけることになってしまったら，謝罪したうえで個人が責任を負うしかありません．問題と感じるのは，一度の失言のために後で記述を削除したうえで謝罪もしたにもかかわらず，批判が収まらなくなることです．ちょっとした間違いが特定の人の多くの批判にさらされてしまいます．そこには恐ろしく許容度の低いラインと怒りを通り越した感情が存在します．その一線に触れてしまったら最後，取り返しがつかないほど個人情報まで晒されてしまいます．ここまでいくとどちらが正しい行動なのかわからなくなります．．ネット上では一部の言動が正しい行動として固定化されているのではないかと感じることもあります．

  2011.12.08

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• 研究は社会が求めるものだけを追求すべきなのか

  研究は実社会に役立たなければ意味がないという傾向がますます高まっています．特に3.11震災以降にその風潮が強まっているように感じます．すぐには役立たないけれど専門分野の知識を生かしながら論理を追求する基礎的研究や人文科学などもあります．具体的には哲学や文学，言語学，歴史学などでしょうか．そこにはしみじみと納得させられる独自の理論が展開されています．かといってすぐに社会が求めている課題を解決することにはならないかもしれない．果たして本当に社会が求める研究だけを推進してよいのでしょうか．社会の要請が100％人間の幸福につながるものでは決してありません．だいたい社会の要請とはなにか．市場原理に代わるシステムを生み出すことか．国際競争力を高めることか．文明を発展させることか．自然と共生しながら持続可能な社会を実現することか．このときにいう社会とは何か．社会とは人間中心の自分の人生に関わる範囲内のことに過ぎないのではないか．その社会の変化もまことに早く拙速に今よりもベターな答えを探し出す風潮があります．研究成果もまたすぐに出すよう求められている気がします．そうした成果はあらかじめ結論が決まっていることも少なくありません．それは社会（といいつつ一部の意思決定者）の判断の際の都合のいい理由づけとして使われてはいないか．狭く深くじっくり時間をかけながら専門分野を極める作業が軽視されてはいないか．今は社会の役に立たないと思われている成果がのちになって役立つこともありえる．役に立つと思われていた成果が役に立たないこともありうる．すべき研究がただ現在の社会の要請という基準だけで決められるとするならば，横並びでつまらない成果にとどまってしまうのではという危惧を覚えます．

  2011.12.06

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• イオン基準

  講義では食の安全・安心について議論しているので，以下の話題に触れざるをえません。イオンさん、グリーンピースに褒められて嬉しいですか？ : FOOCOM.NET - 科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体50～500Bq/kgのグレーゾーンが出ちゃうと。これでは被災者いじめになるのでは。中途半端？な値が検出されるとイオンに出荷できずかといって補償もない。ちなみにグリーンピース批判としてはこちらを参考にしました。放射能に敏感すぎる流通業界と政府の鈍感｜食の安全｜JBpressイオンの広報戦略の背景を冷静に見つめる必要があると思いました。議論といっても講義中にグリーンピースの対応とイオンの対応についてどう感じるかを聞いたぐらいです。前者では暫定基準値以下なら追加情報は購入の際の基準にならない，後者ではやはりイオンの対応は過剰だというものでした。しかし，乳幼児を抱えたお母さんはノーリスクを求めるのではと消費者が求める基準もさまざまだと付け加えました。イオンがここまでするのには消費者の不安を解消するための安全性のアピールがあるのだと思います。科学的根拠があいまいであり，リスクが少しでもあるならゼロを求める過敏な消費者に対応しようとの姿勢は理にかなっている。ここでノーリスクを求める日本人の心理を説明するため，「安心」と「安全」は違うということを説明しなければならず，社会心理学の山岸先生の議論を引用しました。日本人は集団主義的な秩序が与えてくれる安心感に頼ることで，リスク回避してきたといえます。消費者自身でリスクテイクできない以上，消費者が感じるリスクを極力排除することがイオンにとっての社会的責任になる，云々。ノーリスクなんてありえないのに。イオン基準の50Bq/kgとて科学的根拠が不明ですよね。

  2011.11.27

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  上海地下鉄事故

  怖い事故がまた起きてしまいました．2週間前はその現場近くにいたし，タイミングが違って下手をしたら事故の電車に乗り合わせていたかもしれません．上海万博を機に一気に地下鉄が整備されました．事故が起きた10号線はその象徴で，1～2年前のガイドブックには掲載されていません．すでに網の目のように張り巡らされた地下鉄網．上海といっても広いので東京よりはまだ粗い印象で，たしかに交通渋滞が日常化する中では移動手段を電車に頼らざるを得ないかもしれません．今回もまた，会社側のちぐはぐな対応が批判を招いています．NHKより．中国の上海で起きた地下鉄の追突事故で、上海の地下鉄公社は、２８日の始発から見合わせていた列車の運行を安全対策を強化したとして、この日の夜から再開しましたが、国民の間からは、事故原因の究明や再発防止策が不十分だという批判の声が収まらない状況です。この事故は、２７日、上海の中心部を走る地下鉄で、うしろから来た列車が前の列車に追突し、２８４人がけがをしたものです。上海の日本総領事館は、この事故で日本人５人がけがをして病院で手当てを受けたとしています。事故のあった地下鉄の路線は、事故当日は発生からおよそ４時間後には運行が再開されましたが、２８日は一転して、事故が起きた区間の関連施設を点検するとして、一部の区間で始発から運転を見合わせました。ところが、上海の地下鉄公社は夜になって、安全対策を強化したとして運行を再開し、これに合わせて、担当者が規則に従って運行管理を行っておらず、事故の原因は人為的なミスだったという調査結果も発表しました。運行が再開された地下鉄の乗客は「大きな事故が起きたあとだけに、乗るのは怖いです。きちんとした点検を行い、利用者を安心させてほしい」と述べ、不安を訴えていました。また、インターネット上には「人の命を何とも思っていない」とか、「他の路線でも同様の事故が起こらないとは限らない」などという書き込みが寄せられ、不安を打ち消したい当局の思惑とは裏腹に、国民の間からは事故原因の究明や再発防止策が不十分だという批判の声が収まらない状況です。------------------------------人災とのことですが，そもそも手動運転に切り替えた裏には信号機の性能ミスがあることは明らかです．こうしたシステム上のトラブルを解決しない限り，再び同じことが起こるリスクは以前として残ります．公共的なインフラでも競争がなければ，組織の腐敗と隠ぺい体質が当たり前になってしまうと危惧します．日本でも東電は独占企業であり，また天下りを多く受け入れていたことが批判の対象となっていることと似ています．

  2011.09.29

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• Twitter・Facebookからリアルな関係へ

  今回の学会ではTwitter上で相互フォローの関係にあった人たちとリアルな友人関係になることができました。ネットからリアルへの変換ですね。初対面なはずなのに初対面な感じがしない。それはいつも何をしているかというつぶやきがチェックできるから。普段連絡をとらないリアルな友人よりも近況を知っていることも多いです。海外では有名な学者さんをFacebookでは友人申請をしていて，このたびの国際学会でリアルに会ってこれました。Facebook上では友達なんですよといったら驚いて笑っておられました。使いようによってはネット上の交流が現実でも意味のある交流へと変換できる可能性がいくらでも広がります。ただ，顔が見えない状態での交流から始まるリスクにも留意しておかないといけません履歴はいくらでも詐称できるし，その人の当事者性は公開度によりある程度しかわかりません。ネット上の情報を鵜呑みにせず，本当の情報を見極める必要があります。本音はリアルに会ってみて初めてわかることもあるため，まずは会ってみる勇気が必要かもしれません。

  2011.09.28

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• 大卒という資格

  大学と居酒屋と夏の日のキミにというブログにおもしろい論考がありました。ここに書いてある内容は共感できる部分も多く必ずしも言い過ぎではないと思います。このブロガーさんが立ち寄った居酒屋と郊外のバーでバイトしている学生はX大学に在籍していました。しかし，X大学の知名度はあるのですが近年は少子化のせいもあってかどんどん落ち目で、いわゆる「答案用紙に名前を書けば受かる大学」とのこと。以下，転載。毎朝決まった時間に講義に顔出すこともできない人間を製品として社会に出荷すればただでさえ落ち目の大学の名にさらに傷がつきます。しかもこのご時勢、定員割れして学費が集まらずにヒーヒー言うくらいなら今のお客様に留年していただいて学費をせしめるほうがお得のはずです。というのは学校側の目線ですが、では学生側の目線で見るとこうとも言えます。 答案用紙に名前を書いただけでOKしてくれたのは紛れもなく大学側。 それでOKが出るとわかれば、そのあとも楽勝と考えて当然だろう？ 講義に出席？レポート？試験？追試？ナニソレ？スッピンでもなんでもバイト明けで眠い目こすって講義に出るとか、試験の前に友達と集まって一夜漬けするとか、先輩のコピーでもなんでもいいからレポートをガリガリ書いて締め切り5分前に提出してホッとするとか、それでも単位落としそうになって獣のような目で追試に挑むとか、とにかくそういうヤバイ局面をなんとしても切り抜けようとする緊張や、そもそもそういう局面にならないようにしようとかいう意識が、無い。----------------------------------その後，マックが採用しているクルーについても記述があります。実は、マクドナルドの面接には今でも普通の日本人の20代の女の子もそこそこ来るそうです。 しかし、そこにおばあさんとか中国人とかが来ると、おばあさん、中国人、日本人の女の子、の順に採用するのだそうです。なぜか？「おばあさんは時間通りにちゃんと来るから」です。昭和20年代生まれに遅刻早退無断欠勤はありえません。丁寧な日本語しゃべれるし、だから即採用。 次に採用するのは中国人。日本語に難がありますがガッツはあります。マクドのバイトを1ヶ月やれば中国奥地の平均年収を稼げるのだから当然です。 ----------------------------------というわけで，ガッツのない日本人学生は，アルバイターとしても魅力に欠けると。でもこうなった責任を学生本人だけに求めるのも無理があるような気がします。少子高齢化で選ばなければどの大学にも入ることが可能になりました。その分，一生懸命受験勉強して入学してくる学生の集まる大学と，そうでない大学との間の学力や意識の格差は広がるでしょうし，同じ大学内での学生間の格差もまた大きくなるのではないかと思います。

  2011.09.02

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• 石井裕・MITメディアラボ副所長――独創、協創、競創が大事、屈辱感がエネルギーになる《世界で活躍する研究者の条件》(1)

  東洋経済より　「無国籍、グローバル、知的集約的、しかも実績主義」なのが研究者。欧米の一流大学では、それが徹底している。トップレベルの研究者に、世界で活躍する条件を聞いた。――研究者として生き残るための条件は何ですか。　いちばん大事なのは「独創」。新しい価値を生み出すための飛躍がなければならない。ただし真空地帯からは何も生まれない。既存の知識やアイデアを、新しい視点と方法で組み合わせることによって、オリジナルな価値が出てくる。　二つ目が「協創」。会社組織、学校などでは、人々が力を合わせることで初めて大きなことをなしうる。ある分野の専門家だけで集まるのではなく、アート、デザイン、サイエンス、エンジニアリング、ビジネスなど違った角度から光を当てると、気づきやひらめきを得られる。　三つ目は、「競創」。周りと仲良くワイワイと研究するのもいいが、それだけではダメ。進歩を生むのは、健全な競争と、切磋琢磨し合いながら互いを成長させる緊張感だ。――個人としてはどのような力が求められますか？　「出杭力」「道程力」「造山力」の三つ。人と違うことをやるのは勇気がいる。出る杭を嫌い、釘を打ちつけてしまう組織もある。ただ、出すぎた杭は打たれない。中途半端に出ず、徹底的に出る力が「出杭力」。　「道程力」とは、誰もいない原野に一人分け入って新しい道を造り、その道を孤独に耐えて全力疾走する力。すでに存在する100メートルのトラックを誰がより速く走るのかを競うのは真の競争ではない。　三つ目が「造山力」。1995年に私がMIT（マサチューセッツ工科大学）を選んだのは、頂が雲に隠れて見えない高い山だったから。でもそれは幻想だったと後で思い知った。山など初めから存在しなかった。海抜ゼロメートルから新しい山を造り上げ、世界初登頂をすること。新分野をゼロから作る「造山力」こそが、MITで生き残るための条件だった。――ただ、出すぎた杭になるまでにはつらい日々が続きます。　　エネルギー源となるのは「屈辱感」。研究を始めたばかりの時は誰でも無名で誰にも相手にしてもらえない。その悔しさを、いつか見てろという前に進むエネルギーに変換する。屈辱感を胸にため、人より何倍も努力するエネルギーにする。　次に「飢餓感」。シベリアの強制収容所で地獄を見た私の父は、魚を骨以外、目玉も内臓も全部食べる。目の前のものが食べられるかどうか0・5秒で見極め、次の0・5秒で食らいついている。研究者にも、目の前の面白い素材やアイデアに即、食らいつく飢餓感が欠かせない。　最後は「孤高感」。真にクリエーティブなことをやると周りに理解してもらえない。論文も通らず、研究資金も来なくなり、厳しい孤独感を経験する。それでも、そういう状況に行き着くことを目標とすべきだ。いしい・ひろし1956年生まれ、北大大学院修士修了。電電公社を経てMITに。手でデジタル情報に触って操作できる「タンジブル・ビット」の提唱者。（撮影：山内　信也）-----------------------------------大変な時代になったなぁ．でも独りで山を作りながら疾走し，他の分野の人たちとも協力するってなかなか大変なことだと思います．ただ上記のようなことはなんとなく今の立場でも感じていることです．これまでは同じ分野の人と限定されたテーマを扱っていてもなんら問題はなかったと思います．わざわざ外へ飛び出していく必要はなかった．しかし，今後は自ら軸を決めたらそれに向かって孤独でもどんどん突き進む勇気が求められそうです．メジャーリーグに立ち向かう日本人選手のようです．そのなかでオンリーワンの成果を出さなければ，評価してもらえません．思い悩むことは重要ですが，そのなかでスピード感を持って臨むことはもっと重要だと今感じています．

  2011.08.26

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• 消えゆくアメリカンドリーム―加速する“超格差”の実態

  消えゆくアメリカンドリーム―加速する“超格差”の実態米国では、いまだに、誰でも頑張ればいつかは成功できるという「アメリカンドリーム」の神話が根強い。以前、知り合いの米男性知識人に、米国は理想と現実で成り立っている国だと言ったら、「たとえ数パーセントでも希望があるかぎり、米国人は夢を見続ける」と反論され、たじろいたことがある。----------------------------------現実に苦しむ人たちは夢を失っている．理想を語る勝ち組は新自由主義のなかで，社会的経済的な不公平を自己責任であると訴え私腹を肥やす．政策に反映されやすい意見は後者の方なのだろう．巨額の資金で政治的発言力を有するロビー団体は政府首脳部とつながっている．教育，医療，軍需とあらゆる分野に大企業が参入し格差を助長しているように感じる．ここまで機会の不平等と貧富の格差が広がった今，いつまでアメリカンドリームというドリームの主張が通用するだろうか．

  2011.08.21

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• 善良で空気の読める人たちがブラック企業をつくる

  善良で空気の読める人たちがブラック企業をつくるより転載．「自分の子どもや親戚に、自分の勤めている会社を勧められるか？」この質問の答えを考えた時、答えは明らかにNOだ。http://anond.hatelabo.jp/20110813184706を書いた元増田だが、話が発散するので書かなかったけど、もう一つ言っておきたいことがある。「善良で空気の読める人たちがブラック企業をつくる」ってことだ。ブラック企業をつくるのは、・私利私欲を肥やしたいおっさん・既得権益を手放さない老害・話の全く通じない上司・労働者を大切にしない社長だけではない。こういういかにも悪そうな連中がブラック化の原因ならば解決は見えている。近づかない、関わらなければ良い。（仕事上、そうはいかない人ごめん！）だけど身の回りをみると、こんなわかりやすい連中、はっきり言って少数派ではないだろうか？私利私欲を肥やすことに一生懸命な部長とか、見たことあるだろうか？　俺は正直ない。なのにこんなに日本中にブラック企業が溢れ帰っているのはなぜだろうか？それは、いち平社員である我々がブラック企業化の根本原因であり、日本中そんな連中で溢れているからだ。善良で空気の読める我々がブラック企業をつくっているのだ。なぜ我々がブラック企業をつくるか朝から晩まで我々は一生懸命仕事をする。突然メールで仕事がふられても、すぐやっとかなきゃ忘れるからといって、メインタスクを中断してまで対応する。上司から「悪いけどこれやっといて」と言われたら、「いいですよ」なんて気軽に返答する。気がつけば、夕飯を食うタイミングを逸して、空調の切られた熱帯雨林のような居室でパソコンを叩いている。仕事の進みが悪ければ「すみません、休日出勤させてください」って謝りながら申請しに行く。みんな引き受けすぎているんだ。基本的に頼み頼まれたら断らない。丸抱えする。できなければ、一人で悩み、自分の能力が低いせいだと絶望する（特に若いやつは）。これは上司だって同じだ。上司の上司に対して「できない」なんて言えない。「いいですよ」なんて気軽に答えて、部下に仕事をふると「いいですよ」なんて答えてもらえる。悪いなと思いつつも、できるって言ってるんだからやらせてみるか、と思っているはずだ。こうやって善良な人々は、抱える荷物の大きさに疑問を持ちながらも「仕方ないよな」って具合に荷物を増やしていく。人事からコンプライアンスだ、なんて言われれば遵守を証明する書類を書き、情報部から情報セキリティの審査だ、なんて言われれば、セキリティソフトでPCを使いづらくし、総務から節電だなんて言われれば、5時以降の暑さを耐え忍び、知財から特許ノルマだと言われれば、絶対使えないだろう特許でもなんとかひねり出し、エンジニアなのに、肝心の技術開発の使う時間がガシガシ削られる。その技術開発も納期が厳しく、ほとんど最小限の手間でやっている状態だ。試行錯誤なんて夢のまた夢だ。おかしいな、と日々感じている。けれど、みんな我慢しているから俺も我慢しないと。と日本人の9割は考えているんじゃないか？　我慢大会の参加率9割だ。みんな空気を読んで、休みたいのに休まず、誰かの期待に応えようと健気に仕事をする。……これがブラック化だ。ブラック化の根本悪いやつはそんなにいないんだ。でも俺らはシステマティックに、実に見事に会社をブラック化しているのだ。総務だって知財だって上司だって鬼じゃない。人件費をけちって人を増やせないのではない。上司の上司の期待に応えるために、人件費の増額を打診できないのだ。無理そうなんだけどなんとかやりくりしてみよう！　と無限の努力を試みているだけだ。無限の努力を示してくれる善良な人々が、悪意なきダンピングを9割の参加率で行っている。それが日本社会における、ブラック企業育成システムの根本だ。自分の子どものために幸せな社会を築く、という視点に立ってみる今、自分が置かれている会社なり立場というものが、やがて自分の子どもに引き継がれるとしたらどうだろうか？日が変わらなければ帰ってこれない会社で働いてもらいたいだろうか？夕食を一緒に食べない日が家族が当たり前で良いだろうか？善良な私たちの子どもは、親の世代が我慢したのだから私たちも我慢しないと！　とブラックシステムの歯車になってしまわないだろうか？それが嫌ならば、やり方を変えないといけないだろう。空気を読むことに労力を割いている場合ではない。蛇足そしてやっかいなことに、今の俺らはバブリーな時代ではなく人口が減って経済活動が縮小していくような閉塞感のある先進社会に生きている。バブリーな頃はあらゆる矛盾や我慢が、お金の力によって解消されてきた面がある。英国の暴動ではないが、閉塞感のある社会ではそういった矛盾が一気に顕在化し、俺らをさらに苦しめかねない。やり方を変えないといけないと書いたが、滅私奉公しても給料上がんない、あんまり景気の良い時代じゃないよねってことも念頭にやり方を考えないと。-------------------------------大学生はだいたいブラック企業のアルバイトを経験しています．人を駒のように扱うブラック企業で働いていることから，将来の就職に希望がもてなくなっていることもおおいにあるようです．一生懸命働いて上司から怒鳴られてもらえる給料はたかが知れていると．その中でも上昇志向があり，実際に自分の能力を認め，かつ空気を読める人はキャリアアップしていく．そうした人々のなかには，過去の自分がそうであったように，イエスマンの部下を積極採用することでブラック企業を育てていくケースもあるのでしょう．人を育てるとは，空気の読める幹部候補をつくることというといいすぎでしょうか．その一方で認められたことがなく，上昇志向のない人もまた，みな空気をよむことを大事にしています．自分の意見は極力言わない．しかし，仲間同士でつるんだときには強い．認められようとして他人のいうことを聞くけれど，中には秘めたる不満がある．空気を読みたくない人は，内向きになれば引きこもる，外向きになればいじめる．万能感と無力感が同居しています．自分はできるはずなのに，その能力を認めてくれる社会ではない．その鬱屈した不満があるように思います．不満は外に出さず，諦めの気持ちがそこには見え隠れします．格差というのは，一部の勝ち組と大多数の負け組といった二極化した人たちが意識レベルで相互に理解しあえることがないところからますますひどくなっていくように感じます．

  2011.08.18

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• 大学とは

  高校とは違って積極的な授業への姿勢が求められます。しかし，これまで受け身で授業を受けてきた学生にとって大学は高校の延長にすぎません。そもそも受験を推薦やAO入試で，担当の教員からの勧めなんかで入ってくる学生も多いようです。偏差値が低いとさらに自分の学力に自信がなく，卑屈になっているような気がします。さらに行動の仕方も友人と常に一緒で主体性がないケースが多いです。その場合はゼミや講義も友人に誘われて受講します。すべてが受け身の態度となるので，積極的な態度に切り替わることなく卒業することもできます。これでは社会に出た後に困りそうです。一方で大人として選択の自由を謳歌するものの，ついて回る責任をできるだけ回避しようとします。ゼミではできるだけ主体的な態度で臨むよう仕向けています。まず高校と大学ではどれほど学生生活や社会との関わりが違っているか。しかし，受け身の学生はそもそも講義やゼミの出席率が悪いので困ったことです。

  2011.07.20

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• ファーストリテイリング：震災対応「首相がブレーキ」　柳井会長兼社長、早期退陣促す

  　ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は２３日、毎日新聞のインタビューに応じ、東日本大震災からの復旧や福島第１原発事故の対応に絡んで「政府が役割を果たしていない。（退陣表明後も居座る）菅（直人）首相は自分がブレーキになっていることを自覚すべきだ」と批判した。個人資産から１０億円の義援金を出すなど、被災者支援に力を入れる柳井氏は今の政局優先の政治が我慢ならないようで「（首相が代われば）今よりは（政治は）良くなる」と菅首相の早期退陣を促した。【久田宏、谷多由】　同社は震災後、フリースや肌着など約７億円相当の商品を支援物資として被災地に送った。また、同社のグループとその従業員から計約３億８０００万円の義援金を募り、柳井氏個人も１０億円の寄付を決めた。　柳井氏は「事業経営とはお客様のため、広く言えば社会のためにやるということ。震災がすべてを破壊し、本当に困っている方がいるので、少しでもお役に立ちたいという気持ちだった」と振り返る。　柳井氏自ら先頭に立って被災地支援に尽力してきただけに、政治の混乱で復旧・復興が遅れかねない現状へ危機感を募らせる。柳井氏は「地方自治体の力では余りある事態なのに、政府が役割を果たしていない」と政府の震災対応を批判。一代でユニクロを育てたベンチャー経営者としての経験を踏まえ、「部下のそれぞれの役割を明確にし、進行をチェックするのがリーダーの仕事。スタンドプレーであっちこっちに飛んで行っても、何も動かない」と、原発や被災地などの現地視察を繰り返す菅首相のリーダーとしての資質に疑問を呈した。　柳井氏は、今国会の会期延長や特例公債法案の成立などを巡り、与党の民主党と自民、公明の野党がいったん３党合意しながら、菅首相が覆した騒動にもふれ、「権力の延命ばかりだ。（首相が代われば、最悪の今よりは（国政は）良くなる」と話した。毎日新聞　2011年6月24日　東京朝刊-----------------------リーダーに求められる資質はなんでしょうか。柳井氏の発言はしごくまっとうです。組織ガバナンスについてリーダーは常に考えなければならない。その大前提として組織の方向性が決まってなければいけないわけですが。そして何より決断と実行のスピードが求められます。一刻を争う事態に対して，どんなに優れたアイデアもタイミングを逃すと効果も半減，的外れになってしまう。そしてそれぞれのポジションにいる部下の役割を明確化してパフォーマンス最大化を目指す。その大前提として組織の方向性，リーダーの事業ビジョンが共有化されていなければならないわけですが。これらができないリーダーはリーダーとしての資質に欠けており，早晩組織全体がつぶれてしまいます。悩ましいのは国のリーダーとしての資質を備えた人が現れていないことです。

  2011.06.24

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• 北東アジアの港湾競争、震災きっかけに加速

  秋田港では４月から、週５便だった定期コンテナ航路を週７便に増便。従来の韓国・釜山航路に加え、一部は中国・上海まで延伸されるようになった。新潟でも県内の主要港と空港の輸出入が２～３割の伸びを示した。仙台など被災した太平洋側の港湾の機能を日本海側の港がある程度、代替した格好だ。　阪神大震災後に神戸港が低迷し、韓国・釜山港にアジアの主要港の座を奪われたのは復旧に手間取っただけでなく、世界の市場動向への対応や関連産業の勢い、価格やサービスなどの総合力で差をつけられたことが影響したとされる。　港湾をめぐる北東アジアの動きは急だ。韓国だけでなく、中国では大連や天津、連雲港などの港湾都市が競ってインフラ整備を進め、リスク分散のため工場の海外移転を検討する日本企業の誘致にも積極的だ。来年、ウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）首脳会議を開く極東ロシアではエネルギー輸出や自動車関連の新事業などを見据えた港湾・物流施設の整備が進み、開放が遅れた北朝鮮さえもが中国との協力で日本海側の羅津港周辺（羅先市）で大規模な経済特区の建設に乗り出した。　東北の港湾の復旧・整備には周囲を見渡す幅広い視野と、地域の長期的発展につなげる戦略の策定が不可欠だ。-----------------------------------グローバル競争は震災復興を待ってくれません。阪神大震災の時に神戸港が扱っていた貨物は隣の堺や釜山港などに流れて返ってこなかったといいます。これまでなんとか維持していた国際物流拠点としての地位が今回の震災でますます凋落していきそうな勢いです。アジアの中でコンテナ船の基幹航路ネットワークに生き残るためには，ハードとともにソフト面での整備も重要です。日本の主要港湾のうち，スーパー中枢港湾が決定されました。しかし，この震災を機に東北地方の港湾のあり方を見直さないまま現状の港湾戦略を突き進めて言っていいのでしょうか。見直すとしたらどのような青写真が描けるでしょうか。東北地方というミクロなスケールで見ても，日本海側と太平洋側の港湾間競争がし烈です。日本がグローバルな港湾競争に否応なく対応しなければならない局面では，各港湾の役割をもっと明確化して投資の集中と選択を進める必要がありそうです。

  2011.06.23

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• 「健保」初の破綻、好況ドイツでなぜ

  「健保」初の破綻、好況ドイツでなぜ 海外とっておき　ベルリン支局・菅野幹雄2011/6/19 19:12　年率３％ペースの経済成長を続けるドイツ。「欧州の病人」とも呼ばれた長期不振を抜け、雇用や消費もすこぶる調子がいい。そんな中でひとつ嫌なニュースが市民をざわつかせている。日本の健康保険組合のモデルであるドイツの「疾病金庫」が2007年の制度改革後、初めての経営破綻に追い込まれ、「次はどこか」と疑心暗鬼が広がっているのだ。　疾病金庫は国民の９割近くが入る公的医療保険の中核だ。契約者から保険料を集め、受診時に契約者に代わって医療機関側に医療費を払う機関で、日本の健康保険組合に似ている。地域や企業、職種を単位に４月現在、155の金庫がある。　今年５月、ハンブルクに本部を置き16万8000人の契約者がいる疾病金庫「シティＢＫＫ」が事実上の破綻を宣言、７月１日の閉鎖を発表した。集まる保険料と支払う医療費のバランスが崩れて収支が悪化。義務付けられた準備金も積めず、経営改善もできずに資金繰りが行き詰まった。疾病金庫の過剰債務や支払い困難は昨年から公表されていたが、閉鎖に追い込まれるのはシティＢＫＫが初めてだ。　契約者は別の疾病金庫に入り直す権利がある。支払い関係も新しい金庫に円滑に引き継がれ、損をするわけでもない。連邦政府のホームページもシティＢＫＫ問題のバナーを設けて平静を呼びかけている。だが、地元メディアの報道では破綻金庫の業務量が膨れあがり、６月末までの引き継ぎが思うように進んでいないとも伝えられる。心配はないと言われても、煩雑な手続きを強いられるのに変わりはない。「20を超す金庫が準備金を積めずにいる」。連邦保険庁は最近、個別名を挙げずに財政が厳しく改革が必要な金庫がさらにあると明かした。しばらく落ち着かない状況が続きそうだ。　ドイツでは基本的に契約者が疾病金庫を自由に選べる。07年の改革で、皆保険を導入するとともに、金庫間の競争を促す仕組みにした。契約者が効率よく給付をする金庫を契約者が選べば保険料が還付される可能性が増し、逆に効率が悪い金庫には追加保険料を払わねばならない恐れも出てくる。シティＢＫＫのような金庫は若い健康な契約者が敬遠する一方、高齢で給付の多い人が残るので財政が一段と悪化、優良な金庫との優劣の差がはっきりしてしまう。疾病金庫の統合や集約なども模索されるが、そう順調ではないようだ。　破綻する金庫がある一方、公的医療保険を総括する基金では今年20億ユーロ近い剰余金が生まれるという。好況で所得水準が上がり、保険料の収入が増えた要因が大きい。　競争を促して勝ち負けをはっきりさせる制度が局所的に混乱を起こしているのは確か。だが全体では、人口の高齢化に合わせて医療保険の収支のバランスを整えないと制度が維持できなくなってしまう。　一部の疾病金庫の破綻は悩ましい現象だが、将来に向けて社会保障の制度全体を改革する試みも止められない。思い切った制度改革に踏み出せない日本にとっても、ドイツの例は考えさせられる例になるのではないか。---------------------ドイツはギルドが発達し職能別の保険組合も発達している。労働者の地位もそれなりに認められてきた経緯があるという。しかし，ここで起きていることはそうした職能別に細かく分かれた保険組合の淘汰と集約のプロセスである。どうしても医療費ニーズの高い高齢者を多く抱える疾病金庫は破たんのリスクが大きい。多くの疾病金庫の中で年齢構成や所得構成にバラつきがでていると，どうしても財政バランスの二極化が生まれる。破たんして疾病金庫同士の競争の中で起きることは何か。どうしても高まる医療費支出を抑えるために，相対的リスクの高い高齢者を被保険者からはずすことです。アメリカではそうして低リスクかつ富裕の若年層が獲得する保険者間の競争が活発です。保険者間の集約は効率的経営のためにはやむを得ない。しかし，そのなかで，高リスクとされる医療ニーズの高い高齢者をどう支えていくのか。どの国においても課題として残されているのではないか。

  2011.06.19

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• 福祉ネットワーク―在宅高齢者の今

  陸前高田市ではほとんどの医療機関が被災した。十分な医療を受けられないのが現状である。実際にどんな影響があるのか。広田半島ではほとんどの世帯で水道が復旧していない。そのなか診療所の唯一の近江医師が訪問診療を行っている。停電が続いて介護用のベッドが動かせなくなったことによって床ずれが起きている。訪問診療を続けていた20人のうち2人が亡くなった。住み慣れた場所を離れざるを得なくなった高齢者。高齢者は場所がかわるだけでも病気は多くなる。近江医師は地元の医療崩壊を食い止めるために広田診療所に赴任したのは5年前。寝たきりの高齢者がいた場合，家族は真っ暗闇の中，ライフラインが絶たれ避難所にもいけなかったという。1人の診療所の医師によって広田半島の医療は支えられている。家がある，家族がいるということで見過ごされている在宅高齢者が多いと感じる。災害時医療は，避難所医療が主体であって，わずかでも在宅医療が途切れると生命の危機につながる。家族が津波で被災したため，送迎者がおらず，通院ができなくなった在宅高齢者がいる。そうした高齢者に対して，県立陸前高田病院が訪問診療を開始した。チームには医師や看護師だけではなく，理学療法士，作業療法士，言語聴覚士，医療事務員なども同行することに決めた。在宅高齢者にもいろいろなニーズがある。これまでリハビリを行っていたスタッフに依頼して訪問してもらうことにした。被災者の暮らしありきの医療のあり方を考えるヒントとなる。陸前高田の地域在宅医療の取り組みは，被災地復興の重要なポイントである。

  2011.06.18

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  復興格差

  被災地の漁港では復興格差が生まれています。東日本大震災：発生３カ月　漁港、復興に格差（その１）　石巻の業者、塩釜に移転も　東日本大震災からまもなく３カ月。大被害を受けた岩手や宮城の水産業は復興へ動き出したが、魚の水揚げを再開した漁港がある一方、がれきの撤去も進まず、再開のメドが立たない漁港も多く、“復興格差”が出始めている。国や自治体は漁港集約も検討するが、現場の反発も強い。【永井大介、浜中慎哉】　「塩釜に客（漁船）をとられ、石巻の水産業が廃れてしまう」－－。５月２７日午後、宮城県石巻市の石巻商工会議所で開かれた「水産復興会議」。１００人以上の水産加工業者の間に重苦しい雰囲気が漂った。　県３大漁港の石巻、気仙沼、塩釜。カツオなど２００種超が水揚げされる石巻は県内最大、全国３位の水揚げ量を誇った。しかし、震災で状況は一変した。　松島が津波を防いだ塩釜は４月上旬に魚の水揚げを再開。石巻同様、壊滅的な被害を受けた気仙沼も地盤沈下した港をかさ上げし、６月中旬にカツオの水揚げを行う予定だ。　しかし、石巻では港が７０センチ以上も地盤沈下。５月末になっても加工会社元社員らが腐敗したサバやサンマの廃棄に追われた。６月中旬に廃棄のメドが立てば、漁協は規模の小さい西港で小型底引き網漁船から水揚げを始めたい考え。石巻魚市場を運営する須能邦雄社長（６７）は「水揚げ実績を作るのが大事」というが、水深の浅い西港に大型のカツオ巻き網漁船は入れない。　加工業者の不安は強い。復興会議メンバーで魚卵加工の丸信須田商店の須田紀一社長（５３）は津波で工場設備が全壊。「土地をかさ上げし加工団地を再興するのか、内陸に移すのか、方針が決まらないと手が打てない」と嘆く。国が１１年度第１次補正予算に盛り込んだ市場や加工場の支援は１８億円。宮城、岩手、福島３県で分けても１県６億円。「１社当たりはスズメの涙だ」（宮城県漁協関係者）　石巻の加工業者の中には、水揚げを再開した塩釜に工場を移す動きも出始めた。石巻市水産課の勝亦睦男課長は「２００社の加工業者がどんな魚もさばけるのが強み。業者が離散すれば、漁船は寄り付かない」と懸念する。毎日新聞　2011年6月8日　東京朝刊----------------------石巻の被害が甚大です。漁港間が近ければ近いほどライバル意識も強いのではないでしょうか。同じように復興が進まないのが現実。結果として被害が最小限にとどまったところが甚大なところのシェアを奪う構図になってしまっています。阪神淡路大震災でも復興格差が指摘されています。広がる復興格差　阪神・淡路大震災あす１６年　　阪神・淡路大震災は、１７日で発生から丸１６年を迎える。被災地では復興土地区画整理事業が完了する見込みとなり、人口増加が続く一方、地元経済は低迷し、地域ごとの復興格差は増している。被災者の高齢化や商店街のにぎわい回復に加え、震災で負傷した障害者への支援、借り上げ復興住宅の返還などが新たな課題として浮上している。　兵庫県によると、被災１２市の推計人口は昨年１０月現在、震災直前と比べて２・４％の増。ただ、１０％以上増えた西宮市などに対し、淡路３市はすべて１０％以上減った。１・２％増えた神戸市も、長田区だけでは２２・１％減だった。　経済規模を示す域内総生産（ＧＤＰ、実質）は震災前の１９９３年度を１００とすると２００９年度（速報値）は９７・２で、５年ぶりに震災前の水準以下に。神戸市や西宮市などで１００以上を維持したが、尼崎市（７８・８）、南あわじ市（７８・１）などの落ち込みが大きかった。　１８地区で行われた区画整理は、新長田駅北地区（神戸市長田、須磨区）が今年３月に完了。再開発事業は新長田駅南地区（同市長田区）で継続している。【特集】阪神・淡路大震災(2011/01/16 08:00)-----------------------------西宮と淡路や神戸市長田区，尼崎などとの格差がみられます。もう少し広いスケールで見ると，神戸港が扱っていた物流量はなかなか回復しないようです。失った分は，大阪堺など周辺の港に奪われたまま戻ってこないようです。

  2011.06.09

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• 企業情報の保存

  NHK　Bizスポより。企業の情報管理に新たな動きが出ている。データセンターはこれまで建物の中に保存するのが一般的だった。今日から幕張で始まったIT関連企業の展示会。コンテナ型データセンターに設置された300台のサーバー。「IIJ GIO」震災後にできたが，トレーラーに載せて移動でき，すぐに置いて開始できる。日本フルハーフはスピード感を売りにしている。インターネットイニシアティブは島根県松江市の松江データセンターパークで2台導入。消費電力は従来よりも4割カットしている。関東圏での問い合わせが殺到しているという。しかしすぐに持ち出せてしまうリスクはないか。これに対して壁を二重して保護しているという。-------------------------いろんなデータセンターの形が出てきました。リスクの場所による変化に機動的に対応しようということでしょうか。もっともリスクが低い場所に設置したとしても，その場所が当該企業にとって未来永劫リスクの低い場所であり続ける保証もない。現状で首都圏にデータセンターが集中しすぎていることは今夏とてもリスクになっています。パスワードを定期的に変更するようにデータセンターも定期的に変更するのがこれからの時代求められるということでしょうか。

  2011.06.08

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• 社会保障改革

  消費税は現行税率５％のうち１％が地方消費税。国分４％の使途は1999年度の予算総則で基礎年金、高齢者医療、介護に限るとし、以降、毎年この３分野に充てられている。しかし財源が9.8兆円（2010年度）不足している。予算総則が定められた1999年度当初は1.5兆円の不足であった。15年度には13.3兆円不足する見込み。そこで，消費税を段階的に5％引き上げることに。そのためには同時に，社会保障の効率化・重点化を進める必要がある。具体的には，高所得者から低所得者への基礎年金の一部振り分けと支給開始年齢の引き上げ（68～70歳の案もあり），窓口負担の引き上げ（70～74歳の1割→2割）と受診時の100円負担など。これまで医療は公平性の担保を重視してきたものの，財源不足から提供すべきサービスにメリハリ・優先順位をつけていく必要があるとされる。「共助・連帯」とのキーワードがそれである。早くも段階的に上げる消費税の3％を復興財源に充てるとの議論がなされている。もともと消費税のみでは社会保障費の伸びを補いきれないため，復興財源と社会保障財源とのバランスをどうとっていくのか難しい舵取りが迫られる。そこには，明らかに消費税増税ありきの議論が展開されている。まずは社会保障費を抑えるための政策メニューをありうる限り出し尽くしてはどうか。というか，メニューについては結構出ているが，業界団体の反発が大きくて実現が難しいのだろう。たとえば，厚生年金の給付開始年齢を段階的に65歳まで引き上げた経緯があるが，これとて実現には20年を要した。開始年齢を引き上げれば，その分，企業は高齢者を継続して雇用する必要が生じるためで，経済団体は一斉に反発する。現在の民主党政権は死に体といわれている。しかし，ともかくも内閣不信任案は否決された。その今だからこそ実績を残すためにも，やるべき改革を一気に進める必要がある。長期的に影響が及ぶ社会保障費の増加について目配せしつつ，スピーディに復興予算とその財源確保が可能になるよう，できるだけ素早い対応が求められていると思います。

  2011.06.04

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• 子どもの被ばく量20mSv／年の撤回要請

  福島県の親が動き出した。文部科学省に対して子どもの放射線被ばく量20mSv／年の撤回を要請しました。原発事故の1カ月後にそれまでの年間被ばく量の上限1mSvから引き上げました。安全性を疑問視するのは当然のことだと思います。国も自治体も専門家も誰も年間被ばく量の上限に関する正解をもっていません。同じ場所でも地表に近づくほど高くなります。結局将来のある子どもたちへの影響が懸念されます。子どもは細胞分裂が盛んなため細胞が傷つくとがんになる可能性が高いとの指摘もあります。見えない恐怖におびえることによるストレス＝心理面への影響も無視できないと思います。そして以上のことは，外部被ばくに関してです。内部被ばくへの影響は考慮されていません。二つが組み合わさった時には・・・福島市では小中学校や幼稚園・保育園で庭の土を入れ替えるようです。安全基準を示す絶対的根拠がない限り，独自にできることから少しでも被ばく量を減らす努力をするしかありません。国はパニックを起こすことを懸念してリスク開示しないことの無責任さよりも，リスクに関するすべての情報を開示したうえで，科学的根拠がある情報とそうでない情報をしっかりと区別すべきだと思います。根拠のない数字を信じさせることはパニックを起こさせないためだとしても，罪は重いと思います。

  2011.05.23

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• 不安と安心を分ける地域の境界線

  これは普段から気になっていることでもあるし，重要な研究テーマでもあります。見方によって。仙台を訪問した時に、原さん @hararyo が仰った言葉が印象的でした。海外から見ると、日本全体が大変。西日本から見ると、東日本全体が大変。関東から見ると、東北全体が大変。東北の内陸部から見ると、沿岸部が大変。とても面白い指摘です。福島産や茨城産の農産物が売れなくなるのは，放射性物質の測定値に関する科学的な根拠とその出所がしっかりしていない中で，県外の消費者，不安を煽るような一部メディアの報道が不安に思う主観的範囲を示したものだと思う。同様に，海外の多くの人々からみれば，日本という小さな島国で起きたこととという地理的イメージしかもっていないのかもしれません。日本の観光客が減少したことも海外の日本食レストランに客が入らないことも，そして日本にいた外国人が国外へ退避したことも少しは関係しているかも。日本にアイデンティティをもつ人だって，現地の事情に通じていなければ，中国・アメリカ・ヨーロッパ・アフリカという大きなくくりでしか区別できないのではないか。日本がBSE問題で米国に全頭検査を義務付けたり，中国産の毒入りギョーザ問題で中国産の冷凍食品が敬遠されたことも構図は同じように思います。アメリカの○州だからとか，中国の○省or○市という違いは捨象されそうです。ここで興味深いのは，自分が今いる場所と，問題が起きた場所との物理的，心理的距離が近ければ，その場所と自分がいる場所をはっきりと区別できることです。逆に，物理的，心理的距離が遠ければ，問題が起こる場所と近い距離にある場所との違いが不明確になり，区別するための科学的根拠が示されない限り，相当大きなスケールでひとまとめにされてしまうということです。大きなスケールでくくられたおかげで，本当は影響がなかった地域は風評被害に苦しむことになります。では客観的事実で裏付けられた汚染農産物の生産地とそうでない生産地を明確に分けるため，放射性物質のデータを観測ポイントを増やして，また人体に悪影響を及ぼさない基準をしっかり示せばいいのでしょうか。それは必要なことであるけれど，十分条件にはならない。政府がいくら福島県産の野菜を食べて安全性をPRしたとしても，私たちがアピールする側を信頼していなければ安心にはつながらない。安心したければ，農家が直接科学的データで根拠を示しながら，消費者に直接安全性を訴えるしかないのではないか。あるいは農家でなくとも，仲介する流通業者との信頼や評判がきちんと機能していれば，きっとそこそこの安全性のアピールで安心感は生まれるものだと思う。そうして消費者の信頼を得ている主体が積極的に風評被害を減らす＝不安に思う地域スケールを小さくする努力をすれば，風評被害は最小限にとどまるのではと思う。現場からの情報をうまく伝えられる仕組みとして，facebookなどソーシャルメディアが注目されているが，生の声をその場に居ながらにして聞くことのできる仕掛けが欲しい。

  2011.05.08

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  薬局・医療機関の被災状況

  報道レベルでも被災3県の地域別薬局と医療機関の被災状況が明らかにされています。まず，薬局については日本薬剤師会がまとめています。表：被災３県の沿岸地区薬局状況4月26日現在，日本薬剤師会が各地域薬剤師会に問い合わせ集計したものです。分析は薬事日報2011年5月2日にあります。これによると，○岩手県：沿岸部83薬局のうち、46軒が津波等の被害，残存薬局は半数以下の37軒。陸前高田市と大槌町では，地域内の全薬局が消失。○宮城県：沿岸部153薬局のうち、44軒が被害を受け，残存薬局は109軒。南三陸町は全薬局が消失。石巻市や女川町でも，多くが津波で消失。○福島県：沿岸部242薬局のうち、相馬市3軒，いわき市60軒が津波の被害。原発事故の発生以後，残存薬局の実態を把握し切れず。岩手県沿岸部の津波による被害が特に大きかったことが分かります。次に，医療機関については共同通信と朝日新聞による調査がありました。共同通信による2011年4月24日の記事です。３県の１１８医療施設が壊滅　医師１１人死亡○全壊した医療施設数が多いのは宮城県の77施設。しかもうち68施設は20床未満の診療所とのこと。○仮設の診療所で診療を継続する医師がいる一方で、建物や機材が津波に流されたり、地震で損壊したりして再開のめどが立たない例も多い。○福島県では、福島第１原発の２０キロ圏内にあり、再開できない施設も含まれている。診療所がなくなった被災地では、中核病院に患者が殺到。多くの中核病院は県内外からの応援医師でしのいでいるのが現状。asahi.comによる2011年4月24日の記事も取材をして被災した医療機関を明らかにしています。被災病院、４割が診療制限　浸水・余震、復旧阻む沿岸部の医療機能状況調査は１５～２２日、３県の沿岸部の九つの２次医療圏（仙台医療圏は沿岸部のみ）の１１６病院の復旧状況や診療所、医療支援チームの動向を病院、保健所、医師会に取材している。○外来や手術、入院などの診療を制限している病院が43％に上る。○釜石・気仙沼医療圏における病院の被災が大きいことが分かる。○福島第一原発がある福島県の相双医療圏。原発から半径２０～３０キロ圏は緊急時避難準備区域になり、入院は原則認められていない。○病院が十分に機能できていない主な理由は、浸水で病床や医療機器が使えなくなったり、余震が続く中、建物の耐震性に問題があったりするため。このようにして被災状況は明らかになりつつあるが，原発問題によって，緊急時避難準備区域になっている相双医療圏はその実態すら分かっていない。地域医療の崩壊は震災発生前から進行していたが，今後ボランティアの医師が撤退した後，地域の住まい方も変わる中でどのように地域医療のグランドデザインを立てていくか大きな課題となるであろう。福島沿岸部では原発の問題に収束のめどが立たない限り，復興プランも立てられない。立てられないが実際には地域住民が戻ってきているという。当面の医療を維持していくために現場の医師もとどまって診療を継続するべきか難しい選択を迫られているのではないか。

  2011.05.07

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• 情報の正確性と安全・安心

  Twitterでさまざまに寄せられる情報。デマと正確な情報をどう見極めればいいのでしょう。どんなに科学的に裏付けされた情報であってもその情報の内容に安心を感じるかどうかは別の話です。以下の話には納得です。安全と安心特に次の部分には同意しますので転載します。逆に、安全で無くても安心を感じることはある。宗教や非科学的／エセ科学な商品に頼ってしまうのは人が科学ではなく心の安定を求めることの表れだろう。言うまでもないが、人々が安心しているからと言って、それが安全であるとは限らない。------------------------------心のつながり＝相手からの信頼を得ることで自分が安心したい気持ちが強すぎる結果起こってしまうことなのだと思います。どんなに信頼できる相手だとしてもそれが科学的に検証されていなければ安心してはならないのではないかと思っています。一方，多少非科学的でも，信頼するに足る相手（たとえば血縁，地縁，親友）であるから安心しようとすることもありえます。科学的安全性の担保，相手への信頼感から来る安心，どちらに偏り過ぎても正しい判断ができないのかもしれません。結局はそこそこ安全でそこそこ安心できる，その両者のバランスのとれたベターなものを選び取るしかない。その感覚は日ごろいろんな話を聞いて，時には失敗しながら研ぎ澄ませていくしかないのかもしれません。

  2011.05.04

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• 生命を奪う規制

  非常に重要な指摘だったので紹介します．震災時に医薬品を必要な場所に届けるうえで障害となりうる規制が相次いで撤廃されたものの，そのタイミングが遅かったり，通知がうまく現場に届けられなかったりしました．その原因を追求しています．Vol.129 連載　生命を奪う規制　第１回　阻まれた医薬品の流通Vol.130 連載　生命を奪う規制　第２回　届かない規制緩和の情報医薬品の流通については2回にわたって連載されています。第1回では医薬品融通についての通知の遅さが指摘されています。以下，抜粋です。今回、厚生労働省からなされた規制を緩和する通知は、病院・診療所間での融通については大震災発生から１週間後の３月18日、薬局・自治体同士での融通 に至っては３週間後である３月30日に行われています。医薬品は、人の生命に関わるものであり、最も優先して流通させるべきものであるはずです。第2回では通知がうまく行き届いていない点を指摘しています。以下，抜粋です。(1)通知は医療機関・薬局に届いておらず、(2)一部負担金の支払猶予・10割支払い審査機関への請求が可能となるのはどのような場合なのか制度運用が不明確であって(3)負担金を受け取ってしまった場合の対応が不明確だったことになります。折角、迅速な対応をしたのにも関わらず、これが到達していないこと及び従来の手段でしか通知しなかったことはとても残念です。大震災で通信手段が途絶えていることは、大震災発生当日に各報道機関で報道もされていました。なぜ、FAXだけで医療機関や薬局に届くと考えたのでしょうか。緊急事態に対する意識の低さが浮き彫りとなったのではないでしょうか。-----------------------今回の大震災では，沿岸部の自治体も被災してしまい，通信インフラも途絶してしまったことで情報の集約と共有がうまくいかなかった点が随所に見られました。都内の避難所への誘導においても電話が通じなくなったことで，対処が遅れてしまったようです。今通っている大学でも，地震の際には放送で避難誘導すると規定されているようですが，自家発電装置がないなかで，停電してしまえばそうした情報は流れません。情報通信手段が途絶された時の避難誘導の周知徹底が図られているかどうか甚だ疑問です。できるだけ被災地の負担を軽くするための情報の伝達方法のあり方を，twitterの活用も含め考えていく必要があるのかもしれません。

  2011.04.21

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• 御用学者

  御用学者と批判する人に対する反論でよくまとまっています．経済的利害関係の有無だけでは「御用学者」を論じることはできないことを述べています．「御用学者」とは誰のことか　西田亮介「御用学者」とは特定の利害関係に密接に関わる研究者を意味する。たとえば『週刊文春』(2011年4月14日号)は、研究者と経済界の密な関係を指摘した。（中略）産官学連携や寄付講座に関わる数字や金額は一般向けに公開されている。たとえば「東京大学寄付講座・寄付研究部門設置調査」（http://www.u-tokyo.ac.jp/res01/pdf/20110301kifu.pdf）によると、金融、製薬会社、建設、ものづくりに関る企業等も高額の寄付講座を設置している。ただ、その事実だけで「御用学者」と呼ばれるような「癒着」構造の有無を判別することはできない。産官学連携で大学と企業等が共同研究を行ったとしても、日本では研究者個人の給与や所得に直結しないからである。一般に共同研究は、大学が適切な間接経費（30％前後）を差し引いたうえで研究費として管理する。寄付講座も同様である。いいかえれば、特定企業から研究費ではなく、研究者個人の収入に直結するかたちで資金が流れていたとすると、「御用学者」云々以前にコンプライアンスに問題があることになる。----------------------------そして最後に研究者自身も税金を使って研究をしている以上，金銭的利害関係とは無関係にいっそう研究の社会的意義を説明する責任を果たすことが求められると締めくくっている．同意します．自分も国から研究費をもらって仕事をしている以上は，その成果を社会に還元しなければならないと思います．自分の懐に直接研究費が入るわけではないので，金銭的利害関係は発生しません．しかし研究費を取得しなければ，業績を積み，個人の社会的地位を向上させることが難しくなります．研究費配分を審査する側にきちんとコンプライアンスがあれば，社会的意義を有し，かつ学問の発展に寄与する研究が通るはずです．しかし，直接研究者個人の懐に入らずとも，研究費を使って自らが社会的存在だと認められていることを逆手にとって，個別企業の発展に寄与する研究を続け，自らの地位を向上させ，結果として研究費のさらなる獲得につなげるということはありえます．企業研究をしていると，書いてほしいことは積極的にアピールされ，書いてほしくないことは開示を拒まれます．当然のことです．研究者がいかに社会的に中立な立場であっても，実際に書けることと書けないことがあるのは事実です．いかに研究者としての自覚があったといえども，さまざまな利害関係の中に置かれていることには変わりありません．真理を追究したいという欲求と，実際に出せる研究成果とのバランスをどうとるか，悩むことはよくあります．

  2011.04.20

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  サプライチェーンのリスク管理

  毛利光博氏／日本IBMが2回にわたってリスク対応で見る企業の“明暗”について連載されています．“全世界生産停止”を防ぐサプライチェーン管理サプライチェーンのリスク管理、阻害要因とその克服 それぞれの記事の中から，気になった個所を引用します．複雑で長大なサプライチェーン構成の下では、いったん問題が発生すれば、サプライチェーンのスピードは問題を深刻化させるものでしかありません。ちょっとした手違いや判断ミスでも、その影響がサプライチェーンネットワーク全体に、ウイルスのように広がり、重大な結果を及ぼしかねません。今回の地震の際もそうですが、リスクはさまざまな形で発生します。可視化や協働を阻害する要因はテクノロジーの問題ではなく、むしろ「縦割り組織」「個々人が忙しい」さらには「協働そのものが重要と見なされていない」といった「人」に起因する声が数多く出ています。そのため、こうした阻害要因を排除する組織上の取り組みが必要であるといえます。図4　協働や可視化の阻害要因-------------------------結局は「人」の問題だということが分かります．だいたいアウトソーシングは複雑化・広域化・大規模化する企業活動の業務を集中・選択する過程で出てきたもので，非コア業務については他企業に管理まで含めて委託してしまうことが目的ではなかったか．その過程で，特にサプライチェーン全体を管理する企業が不在になると，有事に際して途端に情報が途絶され，モノもスムーズに動かなくなります．ICTに依存し，無駄を排除したシステムに内在するリスクをいかに排除するか，それは非常に大きなコストを含むもので，得てして日常の効率性とは矛盾することになります．厄介なのは，有事の際には個別企業による努力・対応では限界があり，企業間・関連団体との連携をも考えなければならないということです．このバランスがどのレベルでとられていくのか．喉元過ぎれば・・・にならないか，再び短期的なビジネス効率性の中にリスク管理が優先度の低い項目になってしまわないか気になるところです．

  2011.04.15

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• 地震予知は「不可能」

  地震予知は「不可能」、国民は想定外の準備を＝東大教授［香港　１４日　ロイター］　東京大学のロバート・ゲラー教授（地震学）は１４日、現代の科学技術では地震の予知は不可能であるとし、日本政府は国民に対し予測不可能な事態に備えるよう呼び掛けるべきだと強調した。英科学誌ネイチャー（電子版）に掲載された論文について、ロイターが電話取材を行った。　ゲラー教授は、地震学者が現在使用している予知器などは、差し迫った地震を予知するには不十分だと指摘。「理論的には一両日中に地震が起きると予知しようとしているが、私の考えではこのシステムは科学的に完全ではなく、中止されるべきだ」とし、「（地震の予知は）無益な努力だ。不可能なことを可能であると見せかける必要はない」と切り捨てた。　同教授は論文で、東海地域で今後想定される地震に対する日本政府の防災計画についても触れ、３月１１日に発生した東日本大地震が予測できなかったように、東海地震も予測できないとした。東海地域では１４９８年、１６０５年、１７０７年、１８５４年に大地震が発生している。同地域で新たな大地震が起きた場合、死者数は数千人、数百万棟単位での建物倒壊が予想されており、中部電力浜岡原発への懸念も高まっている。　同教授は「予知できる地震はない。これは鉛筆を曲げ続ければいつかは折れるのと同じことだ。それがいつ起きるのか分からない」と指摘。地震は予知不可能であることを率直に国民に告げる時期が来たとし、日本全土が地震の危険にさらされており、地震科学では特定地域でのリスクの度合いを測ることはできないと述べた。「われわれは（地震を予知するのではなく）想定外の事態に備えるよう国民と政府に伝え、知っていることと知らないことを明らかにすべきだ」と提言した。　またゲラー教授は論文で、東日本大震災で津波の被害を受けた東北地域では過去にも巨大津波が２度発生していたと指摘し、沿岸部の原子力発電所はそうした津波にも耐えうる構造に設計すべきだったと批判。１８９６年の明治三陸地震で起きた津波は最大３８メートルに達したほか、８６９年の貞観地震の発生時でも東日本大震災と同等の津波が観測され、明治三陸津波では２万２０００人が犠牲になったとしている。　１カ月以上にわたって放射線物質の流出が続く東京電力福島第１原子力発電所は、最大６メートルの津波を想定して設計されており、３月１１日に観測された１４メートルだけでなく、過去に発生した大津波の高さを下回っている。　同教授は電話取材で、「この地域ではこれまでに発生した大規模な津波の記録が多数残っている」とし、すべては東日本大震災で福島原発を襲った津波を防ぐには十分な大きさだったと強調した。「（高い津波が）以前にも発生していたことはよく知られており、記録もある。原発設計時には想定する津波の高さを過去と同レベルに設定すべきだった」との見解を示した。　また、日本で運転中の原発は大半が沿岸部に建設されており、大規模な津波に対応できるよう「これらの原発はすべて津波対策を見直すべきだ。冷却には大量の水が必要になる」と指摘した。-----------------------------ここまで科学が発達した現代においても，自然のリスクを正確に予測はできない．専門家ができないことはできないと正直に表明してもらえると逆に安心できます．現代科学の成果と限界を知ることができます．これまでわたしたちは科学を盲信してきたのではないか．自然の猛威を科学で解決できると突き進んできた．これからもそう信じて科学の発展への歩みを止めることはなかろう．今回の大津波は天災ですが，それにともなう二次的な人災による被害が大きすぎた．一度立ち止まって，自然に生かされていることを意識し直した方がよい．環境とうまく付き合っていく文明のあり方を真剣に考えなければならない．

  2011.04.14

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• 若者の一票で政治が変わる可能性が十分あったかもしれない件

  若者の一票で政治が変わる可能性が十分あったかもしれない件「馬鹿じゃねーのって思う。たかが一票で何が出来るよ。」本当にこう思っている若者が多いということでしょうか．年代別の投票率だけ見ると，選挙権を放棄しているとしか思えない不投票層に20～30代が多いように感じます．どうせ変わらないといった世間の雰囲気を感じてそれに同調すると，自分がまさに実際に変わらない状態を醸成する一要因となってしまうというと言い過ぎでしょうか．りかぞうさん（@izmrk）によると，石原慎太郎に投票した人261万人、それ以外の候補に投票した人341万人、投票に行かなかった人443万人。都知事選の投票者数は607万2604人。得票総数は602万5339人。引き算すると無効票は4万7265票。これでももっとも多くの有効投票数を獲得した候補者が都知事に選ばれる．多数決（少数派切り捨て）は客観的にみて妥当なシステムなのかよくわかりません．根本を問うてもわれわれが決めた既存のルールだから，それに従わざるを得ないのはよくわかりますが．

  2011.04.13

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• ジャストインタイムからジャストインケースへ

  日本と世界の供給網：壊れた鎖より2011.04.05（Tue） 　The Economist混乱の及ぶ範囲がいまだ見通せない現時点においてさえ、今回の日本の災害が製造業者の操業管理に後々まで影響を与えることは、既に確実と言えるだろうと、ボストンコンサルティンググループの最高経営責任者（CEO）、ハンス・ポール・バークナー氏は述べている。　3月末に東京を訪れたバークナー氏は、次のように語った。「今極めて重要なのは、極端な事態を想定することだ。ある程度のバッファーを確保する必要がある」　ここ10年ほどの間に、在庫を少なく抑えるためにギリギリのタイミングで部品を納入してもらうジャスト・イン・タイムの概念が世界の製造サプライチェーンの隅々まで広がっていった。　HSBCのエコノミストらは、今後、こうしたサプライチェーンは、生産中断による損害を最小限に抑えるために、「ジャスト・イン・ケース（万一の備え）」システムによって補強されるかもしれないと話している。　例えば、重要な部品や材料の市場で独占に近い状態にあるサプライヤーは、生産施設を地理的に分散するよう迫られるかもしれない。また、そうしたサプライヤーの顧客が予防措置として、発注の一部をより規模の小さい競合企業に移すことも考えられる。-------------------------------万一の備えに対して、ジャストインケースの考えをというのは重要な指摘です。しかし、在庫を極力減らすことは短期的なコスト削減には絶対不可欠です。要は常時備えるべきバッファーをどのレベルにおくか、ということでしょう。それから万一の非常事態、有事が10年に1回のレベル、40年に1回のレベル、100年に1回のレベルかでタイムスパンで考えることも大事。タイムスパンが長期にわたるほど、その被害の程度は大きく、バッファーも大きくとる必要があります。しかし、企業の長期戦略といった場合の長期はせいぜい10～20年程度ではないのでしょうか。100年に1度の大災害にどの程度備えを講じるべきか悩ましい問題といえます。重要なことは、これからは「想定外」という言葉は使えないということだと思います。備えをせずに万一が起きた時には、想定していたけど、必要なバッファーをとらない戦略を採用したという説明の仕方になるんだと思います。こうした企業の超長期戦略の策定にあたっては、社長の考えにかなりの程度依存しそうです。社長の災害にどう備えるかというスタンスが問われます。社長によって、また企業規模や利益水準の差によって対応が分かれてくるような気がします。

  2011.04.06

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• 「ひとつになろう」より「てんでんこ」がいい

  「ひとつになろう」より「てんでんこ」がいい 小田嶋隆さんの記事です。皆で一斉に逃げるために手遅れ・共倒れになることを防ぐため、個々の判断において、一人でも生き延びる知恵として生まれたものです。読売新聞で取り上げられて話題になりました。翻って、団結力などがアピールされる場面が多々あります。ACジャパンが震災関連のCMに差し替えたことが何度も流されているについても批判が寄せられているとのこと。「デマに惑わされないようにしよう」「むやみに買い占めるのはやめよう」これは、「お国は国民を子供扱いにしている」のと同じといいます。デマや買い占めが全体にとって悪いことは誰にだってわかる。一度聞けばわかること。何度もメッセージとして伝えられると違和感を覚える。問題はどうやって正しい情報を見分ける目をもつか、買い占めのもととなる不安要素をどうやって取り除くかということでしょう。お上にいわれてなくなる問題ではなく、むしろ最初に不安を煽らないよう、正しい情報提供と迅速な政府の対応がなされたうえで、個人が判断して対応するしかない。「使っていない電化製品のコンセントは抜いておこう」これは、「節電を訴える電波広告」の自己矛盾に陥っているといいます。たしかに、節電は訴えるけど、テレビそのものを消そうとは訴えられない。また、フジテレビが「ひとつになろう日本」と団結・連帯をアピールしていること、花見の自粛を都知事が訴えていることにも違和感を感じています。自粛は求められてするのではなく、個々の判断においてやるべきと思えばやればいいのだと自分は思います。過度に電気を使用せず、花見をする理由を自分の中に見出していれば、他人に花見の自粛を強要される筋合いはないのではないかと思います。「復興・支援」は、日本に求められた共通課題であると思います。それ自体は否定するものではない。しかし、それをどうやって実現するのか、それは1人ひとりの能力に応じて、さまざまな方法がありうるんだと思います。

  2011.04.01

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• （普通の）科学者と（三流の）ジャーナリスト

  (三流の)ジャーナリストと、(普通の)科学者の考え方の違いを揶揄的にまとめてます。keigomi29さんの(普通の)科学者と(三流)ジャーナリストの違いに関するツイートとそれに関する反応。 極論であるところもあるけれど、以下の記述は確かにそう思うところがありました。(普通の)科学者は誰の話を聞いても本当かどうか考える。 (三流の)ジャーナリストは話を聞く前に本当かどうかを決めている。当事者に報道された内容について事実関係を問いただすと、「実は誤りの部分がある」「本当に伝えてほしいところは書かれていない」とか伝え方について不満を聞くことはよくあります。何が普通なのかもわかりませんが、平均的なｈということなんでしょう。（三流の）科学者と（普通の）ジャーナリストを比較したらまた違った見方ができるのかもしれませんが。科学者にも御用学者と呼ばれたり、結果をねつ造・改ざんされたりする方もいますので。ここのところ、報道のあり方が大いに議論になってます。やっぱりインターネットで複数の記事を容易に比較できるようになった影響は大きいですね。

  2011.03.31

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• ロジスティクス

  この間、ロジスティクスの必要性が認識されつつあります。ロジスティクスと物流は厳密には定義が違います。最初にロジスティクスという用語を目にしたときには何をイメージしていいかわかりませんでした。以下の記事はよくまとまっているし、考察も鋭いと感じます。「兵站と局所合理性について」ロジスティクスは軍事用語であり、直訳すれば、「兵站」、すなわち、戦っている最前線の部隊へ物資を供給したり、必要な連絡線を確保する後方支援の役割と訳されます。これを経済的活動に応用し、「使用者の活動目的や消費者のニーズなどに応じて、原材料・半製品・完成品などの物品、およびサービスや関連情報のライフサイクルの全過程を最適化するための総合的活動を指します。適所に適時に適量というジャストインタイム物流に近いかもしれません。今回の地震時の政府のロジスティクス軽視と、日本陸軍の兵站軽視は相通ずるものがあるという指摘に納得してしまいました。大本営は現場の兵士任せで、必要な物資は回さない。見捨てられた前線の兵士たちは何を思っただろうかと証言VTRをみるたびに思います。福島第一原発では、東電や政府はただちに健康に影響を及ぼさないとのアピールを繰り返す。一方で現場の作業員たちは被ばくの危険を冒して冷却作業に取り組んでいる。物資輸送においては、官の初動が遅かったことが指摘されています。特にガソリン不足と情報・交通インフラの切断が大きかったようです。そこでいち早く民間レベルでのロジスティクスが展開されたようです。医薬品の場合、今回なかなか必要な物資が届かなかった理由は、医師や病院自体が地震や津波の被害を受けたり、卸の通信インフラも切断されて、必要な情報がどこにどれだけ存在するか把握できなかったことにあります。仙台の卸では、取引先の2割の病院と連絡が取れなかったため、病院に緊急時に用意しておいた自社バイクを用いて訪問し、必要な医薬品を聞き出していました。ロジスティクスを実現するには、これではあまりにも被災地における負担が大きいと感じます。どうしても官による非常時における強力な命令指揮系統が必要だと感じます。今回の震災では三陸海岸の南北広域に被害がおよびました。より効果的なロジスティクスを実現するには、交通の寸断されていない被災地手前に広域拠点をつくり、生産側は必要な物資をまずはそこへ運んだ上で各地へ分散させる必要があります。いつどの医師がどんな医薬品どれくらい必要としているのか、日本医師会や薬剤師会、赤十字など各種団体が集約して拠点から生産工場へ伝える仕組みが必要です。どちらにせよ、政府が迅速に必要な物資は送ることができるように後方支援しなければ、民間だけの力では限界があると感じます。せめて災害時の物資輸送に関して、法律上障壁となる制約があるならば、即座に緩和する措置をとるリーダーシップがほしいと思います。さらにツイッター上ではそうした措置に関する文書が現場に周知されていない例もみかけました。ロジスティクスでは、現場のニーズに関する情報をいち早く現場に伝えるという情報管理能力が問われるように思います。

  2011.03.26

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