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「ねぇ、まりちゃん、今日ママ忙しかったとよ。夕ご飯の用意してないとよ。ほか弁でいい?]
「うん。いいよ。久しぶりぃ~。」 たまに食べると、おいしい物で、パパが夜勤の時は、よくあると言うと、ママがvolcano化するので、たまにある。としておこう。 僕は、いつもの唐揚げ弁当をお願いすると、カウンターにダラリと体重をかけ、倒れかかるように立っている女の人が目に入った。靴は、片方脱げかけ、心なしか、髪もボサついている。その回りを僕より、一つか二つ下かなと思わせる、パッチリおめ目のおかっぱ頭の女の子がウロウロしている。 「ニカッ。」 女の子は、僕を見るなり、微笑み、僕も何となく嬉しくなった。ママも僕と同じ気持ちのようだ。 「ハイ。野菜炒め弁当上がり!」 威勢の良い響き渡る声と同時に、カウンターに置かれたその弁当に、 「うおぉ!うおぉ!!」 まるで、獣のようなウナリ声というか、絞り出すかのような叫び声が聞こえた。 「ほらっ。紙、紙。鉛筆!」 「ああっ。はいっ。」 慌てた様子で、店員さんは、メモ紙と鉛筆を渡す。 のみ とだけ、書かれたメモ紙が見える。 うーん。うまいっ。僕より出来る。 店員さんが、素早く、ご飯をはずすと、 「350円です。」 適わぬ震える手で、ガマ口の財布を開け、百円玉3枚と、五十円玉1枚がカウンターに並んだ。並んで待っている他のお客さん達は、見てはいけないだろうと、下を向いている。果たして、持てるんだろうか。僕は、子供ながらにハラハラしどおしで、よけいなお世話かもしれないが、 「持ちます。」 と言いそうなところへ、ママも今にも 「持ちましょうか。」 と構えていた。サーッ。すかさず、カウンターよりうんと下から小さな手が奪い取るかのように慣れた手つきで受け取る。さっきのあの子だ。母親かなと思われる女の人は、不自由な体を重たそうに引きずりながら、出て行く。僕とママの分と夜勤用のパパのつまみ弁当も出来上がり、その後を追う形になる。ママの車の前の軽自動車に身障者マークが見えた。 「えっ。車、運転出来ると?」 僕とママの驚きの中、助手席に乗る女の子が、ロックのかからないドアを何度も何度も締め直す。手伝いに行こうか。と、ママが半分身を乗出すと、 バタンと音がして、あっという間に走り出してしまった。しばらく沈黙。 「ママ、今日とってもいいもの見せてもらった。この頃忙しくて、イライラしてばかりだったけど、一生懸命生きるって、すごいね。パワー感じるよね。心の洗濯ができたよ。ただ、ママは、何もしてあげれんかった。」 「洗濯?手洗い?洗濯機?」 やっぱ、止めとこっ。 ママは、泣いていた。ママの涙は、お星様のようにキラキラしていた。 「今度は、BMWが欲しいって言ってたママは、なんだか恥ずかしくなっちゃった。もっと、視点をかえんといかんね。」 訳分からん事言い出したぞ。僕達は、家路へと急いだ。 次の日、広告を見ながら、くつろぐママ発見! 「やっぱり、走りにこだわるなら、Mスポーツよね。次は、これっ。」 おーい!昨日の今日だぞ。視点をかえるって、何なんだ。意味、分からん。よしっ。明日もほか弁にしてみよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jul 22, 2005 12:05:04 AM
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