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今日は、月1回の定例の社労士会の自主研定例会の日です。
今月のテーマは、タイトルにある丸子警報器事件です。 講師の連絡によると「正規・非正規休従業員の賃金格差」とのことです。 丸子警報器は、長野県の自動車部品を製造販売する会社です。 ここに期間2ヶ月の雇用契約を反復更新する形で 数年から25年継続勤務する日給制の28人の女性パート労働者が、 正社員との差別賃金額の支払い等を請求して訴えを提起しました。 原告らが従事する業務は、女性正社員もいる製造ライン等で労働の 内容、勤務時間、勤務日数は正社員と同様でした。 正社員には、原則的に年功序列の基本給が月給として支払われていました。 ここで正社員と臨時社員の賃金格差が違法であるとして損害賠償を求めた裁判で、 まったくの同一労働であったこと、本件臨時社員の勤続が25年と長く、 長期勤務の意思があったことが前提条件としてあげられます。 つまり、同一労働に従事しているにもかかわらず、 正社員より低い賃金しか支払わないのは、 同一労働同一賃金の原則という「公序良俗」に反するという主張です。 平成8年の長野地裁上田支部の判決では、 「これまでの日本社会においては、年功序列、前歴加算、生活給などの 制度が設けられており、同一(価値)労働同一賃金の原則は 『公の秩序』とは言えない」としました。 これは、同一労働同一賃金の原則という法規範は存在しないということです。 しかし、「労働基準法3条(均等待遇)や4条(男女同一賃金の原則)は 同一(価値)労働同一賃金の原則を反映したものであり、 その根底には、およそ人はその労働に対し 等しく報われなければならないという均等待遇の理念が存在し、 これは人格の価値を平等と見る市民法の普遍的な原理と考えるべきものである。 この理念に反する賃金格差は、使用者に許された裁量の範囲を逸脱したものとして、 公序良俗違反の違法となる場合がある。」という趣旨の判示をしました。 そして「原告らの賃金が、同じ勤務年数の女性正社員の8割以下となるときは、 許容される賃金格差の範囲を明らかに超え、 その限度において被告の裁量が公序良俗に違反し違法となる」と判断し、 この事件は東京高裁に舞台を移し、争われましたが和解が成立しました。 その和解内容は、次の通りです。 1.臨時者の賃金は、日給制をあらため月給制とする。 2.通常の4月昇給とは別に、平成16年まで(6年間)毎年12月に 月額3,000円の特別増額是正をおこなう。 3.昇給・夏冬のボーナスは、正社員と同一の計算方法とする。 4.退職金は、和解成立から60歳までは正社員と同一規定を適用し、 60歳以降は従前の基準に2.5倍に改める。 しかし、この原告のうち2人は、60歳を超えた他の女性臨時職員と共に、 「雇止め」として実質解雇されました。 この解雇も、長野地裁同支部での97年10月29日判決と 東京高裁99年3月31日判決で、無効とされました。 http://www.jil.go.jp/kikaku-qa/hanrei/data/208.htm しかし、忙しい会社ですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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