生保受給問題
常々日本では犯罪者の人権への妙な優遇や弱者が持つ権力へのマスコミの遠慮、などにより「弱者こそが強者になる社会」と言われてきました。もちろん、今でもそういった側面はあるのですが、最近になって生活保護の不正受給などにより、一部の「得をしている弱者」に対するバッシングが増えてきました。これは「今、日本は不況で皆苦労しているのに、はたらかないでラクしている人間は許せない」という一般大衆の気持ちを生保不正受給者への怒りにメディアが誘導しているのでしょう。もちろん、本当の不正受給は問題です。しかし、それを追求するなら同時に「生保打ち切りになって餓死した人もいる。生保の審査は厳正に行うべきだがそのせいで本当に必要としている人まで生保を受けられなかったり打ち切られることがあってはならない」というバランスのとれた世論が必要ではないでしょうか。私はメディアの報道には作為を感じます。何故なら不正受給をことさらに取り上げている際、まっとうな受給者の存在が無視されていること。もう一つは不正に得をしている他の分野の人たち(利権にかかわるあらゆる人たち)にたいする批判が弱者のフリをして得をしている人たちに振り替えられていることです。このやり方は大阪の橋本市長と同じやり口ですね。確かに役人は無駄使いが多い。でも、全てにおいて役所が無駄なことをしているわけではない。でも、一部のムダをあげつらって全体を否定する。そうすれば自分は役所のムダを正す正義の味方、というポーズをとることができます。メディアも根っこは権力に抑えられている。だから最高権力は批判できない。でも、生活保護の申請、受理を担当しているのは都道府県や市役所、区役所など地方行政機関の福祉課です。地方を叩くのは簡単です。メディアも批判には遠慮がありません。そして「地方の行政は腐っている。だから強いリーダーが必要だ」的に地方改革から中央を狙っているのが橋本氏ですね。メディアの行政叩きも革新派(歌う人)には大いに利用できます。繰り返しますが不正受給自体は問題です。しかし、世の中にはもっとありとあらゆる問題があります。わかりやすい問題をことさらに取り上げるのはマスコミの常套手段ですが、それを利用する人がいることも頭に入れておきましょう。