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眠りのG3さんの日記「海軍五省」を読んでいて、大学時代に読んだ本を思い出しました。
『最後の海軍大将 井上成美(いのうえしげよし)』です。 (楽天ブックスでは、残念ながら品切でした・・・) いちばん印象深かったのは、昭和17年に井上氏が海軍兵学校長に就任した時期のこと、 そしてその時期に彼の書いた「青年士官教育資料」です。 彼はこの時期に、英語の授業を廃止することに断固反対して、授業時間維持を貫いています。 (今考えると当然ですよね。自国語以外できない海軍士官・・・ありえへんがな! でも当時、英語の授業はどんどん廃止されていたそうで 中学生だった、私の伯母も英語はまったく習わなかったと言っていましたし 田辺聖子さんの自伝にも、英語の先生が肩身狭そうに事務を手伝っていらした・・・とありました。) さらに・・・ 彼は、校長権限で一般教養学を増やし、軍事学を減らしています。 士官候補生たちの、戦後の生き方を考えての上のことですが それは「敗戦」を自明としていたわけで(!) ・・・ひとことも口外できないけれど、実行する必要がある、そしてその価値があるとした先見の明と、 自分に可能な範囲でその「先見」を現実のものにする胆力・・・。 ・・・・すごい。日本には、こんな人がいたんだというのが、大学時代に受けた衝撃でした。 その井上氏が書いた「青年士官教育資料」を、まさに青年のころに読んだわけですが 衝撃ほどには、実行したかというと・・・・(^^ゞ(^^ゞ(^^ゞ まことにお恥ずかしい次第・・・。 ただ、(青年を過ぎた?)今読んでみても非常に役立ちます。 身だしなみ、軍服や靴の手入れといった、実際的なテクニックなども懇切丁寧にあり こういうことを学んでいたのだな~と思います。 (もっとも小冊子にするぐらいですから、それ以前は学ぶ機会のなかったことなのかもしれませんが。) ・士官として「どうあるか」に、服装が大切な意味を持つということ。 (・・・「士官」を別の言葉に替えても、同じことが言えると思う・・・。) ・時間・余暇の使い方。オンとオフの切り替え。 (どの組織でも、ユニバーサルに大切なことなんだな~~) ・上官と部下の関係(上官を上司に替えれば、もう会社と同じ・・・。) 10年前読んだ感覚と、ちょっぴり組織の中で働いてみてから読む感覚は 印象を強く持つポイントが違ってきたな~と思います。 いや、より具体的に感覚を持つようになったというべきでしょうか・・・・。 その中で、今回もっとも衝撃大きかった部分を、少し書き抜いてみたいと思います。 (引用ここから) 「私の読む本の選択は「自分の思索に役立つ」ということを考えてやっている。 思索には「素材」と「思考」すなわち「材料」と「工作力」がいる。 (中略)私は軍人、海軍軍人として軍事に関する本や、情報や刷り物はほとんど読まない。(中略) これらはみな、大根の「皮むき」だからである。 (大根やにんじんにしか役だたたない「皮むき」を持つより、 「包丁」の使い方に習熟する方がよいと思うタイプだ・・・という記述が先にあります。) (中略) また教養というものは、案外他の畑から身になるものを得らるることを考えるべきで 自分の専門とひどくかけ離れた方面のことを研究することは、きわめて大事なことであると思う。 これが案外自分の専門の方面に対する、新しい考え方を教えてくれたり (新しい技術の供給である。) また行き詰っている問題解決打開の道を拓いてくれるものなることに留意すべきである。 (新しい材料の供給である。)」 (引用ここまで) ・・・昭和19年、まさに戦争の「即戦力」が求められていた時代で まさにその「即戦力」養成所の海軍兵学校長が敗戦を見通した上で、 「即戦力」予備軍の生徒へ伝えたかったこととして受け取ると・・・・ 先導する意図と状況のギャップが、ひどく悲痛に感じられます。 そして・・・ 状況とのギャップが、比較的すくない時代に生まれた私。 受けた衝撃を、どのような形にすることができるだろうか? まずは、自分からあいまいにしている「状況と自分の境界線」をを見てみようと思うんだ~♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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