さすらいの天才不良文学中年

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  小説を書く喜び

  小説を書く喜び　令和２年の簡易生命表（厚生労働省）によれば、男性の平均寿命は約８２歳、女性は約８８歳である。　他方で同じ厚生労働省による健康寿命は男性は約７３歳、女性は約７６歳（令和３年）である。　これが何を意味するかというと、男性の場合は健康寿命でなくなった７４歳から死ぬまでの８２歳までの８年間、健康に怯えながら生きていかなければならないということである。つまり、後期高齢者とはそういう人種である。　まったくとんでもない時代になったものである。　団塊の世代に目を当てると、彼らは今年、７３歳から７５歳である（準団塊の世代のおいらは年男だから、誕生日が来れば７２歳になる）。ま、後期高齢者とその予備軍と考えてもいい。　その大量にいる団塊の世代が晩年の８年間を健康だけに気を付けて生きているとは情けないではないか。　だから、という分けでもないが、この世代をモチーフにした小説を書いてみたいという衝動にかられ、今年に入ってから毎日、かかさず最低でも２時間を割いて執筆してきた。　おいらたち団塊の世代がテーマであり、結果的に老人へのオマージュとなる作品に仕上がった。昨夜、原稿用紙９2枚の完成稿が出来上がった。　この小説は今月末が締切の某公募小説に応募予定のため、これから２週間弱推敲を重ねる。　ところで、深夜遅くまで原稿を書いていると昼夜逆転になる。それに寝るまで書いているので頭がフル回転していることから、布団に入ってもなかなか寝付けない。これは普通の生活ではない。　そういうこともあってか、昨夜はテレビのリモコンを限りなく小さくしようと思って、音量のマイナスボタンを押し続けたら、テレビが大音響になった。家人が寝静まっての深夜の話しだから大迷惑である。音量のプラスボタンを押し続けていたと気付くまでに少し時間が必要であった。アクセルとブレーキを踏み間違えたのと同じである。　やれやれ、老人を題材にした小説を書いているのに、自分が老人だということを忘れている。

  April 18, 2022

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  霊感は歳と共に

  霊感は歳と共に　団塊の世代は、霊感など信じない世代である。　それは、戦後の教育が科学万能を前面に打ち出していたからである。特に迷信への排斥はひどいもので、科学的に証明できないものは皆打ち捨てられた。　だから、土俗的な言い伝えや宗教的なもの、特に霊感などは非科学的とされ、誰も相手にしないのである。　ところが、おいらが敬愛する佐藤優のエセーを読んでいたら、彼の考えはそれに真逆に近いものであったので、のけぞったのである。　迷信はともかくとして、言い伝えや過去からの伝承（例えば、友引など）はそれなりの理由があって成立しており、それを非科学的として否定すること自体が非科学的であるとして止めた方がよいという考えである。　おいらはそれで目から鱗が落ちた。　科学万能も行き過ぎると滑稽である。実際、科学で解決できないものはこの世に五万とある。　今更なぜこのようなことを述べるかというと、母が他界してからどうも母が身近にいるのではないか、とふと感じるようになったからである。　このようなことは若いときにはなかった。父が亡くなったのはおいらが大学４年のときだが、そのような記憶はない。　他方で、後年、会社生活で大変お世話になった方が他界されたとき、その方から後日「おい元気か」と云われたような気がし、霊を身近に感じたことがある。　仏教では四十九日まで魂があり、それ以降は仏になるという考えがあるようだが（ただし、浄土真宗では魂そのものの考えはなく、亡くなるとすぐに阿弥陀如来の救いで仏になる）、魂は例えばその後も背後霊となって子供や孫を守るなどの考えもある。　おいらはそれを信じるものではないが、否定もしない。ただ、霊感は生まれたばかりが一番強く（生前に最も近いから。だから、子供は幽霊を見る）、また、歳を取るにつれてあの世が近くなるから霊感が復活するという考えもあるようだ。　古来、霊感は第六感と云われることがあり、また、予知能力とも云われるため、三島由紀夫は自分に霊感がないことを生前こぼしていたというから、それはそれで面白い話しである。　霊感、どうもこの世にあるような気がする。おいらが歳を取ったせいからかも知れない。

  April 15, 2022

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  母の死と家族葬（後篇）

  母の死と家族葬（後篇）　ここからは、家族葬について述べる。　母を家族葬としたのだが、費用面からいうと家族葬は一般葬とほとんど変わりがなかった。半分、詐欺のようなものである。　どういう意味かと云うと、家族葬は参列者が少ないだけで、葬儀の内容は一般葬とほとんど同じだからである。祭壇もあるし、僧侶も呼ぶし、葬儀の段取りは全く変わりない。　要は、家族とごく親しい知人が少人数集まって執り行う、小規模な葬儀のことを家族葬というに過ぎない。　ここで注意が必要なのが、家族葬は「密葬」（親族だけで小規模な葬儀を行い、後日、一般の参列者を招いた「本葬」を行う）や最近流行の「一日葬」（通夜を行わず、葬儀のみを行う）、それに「直葬」（火葬のみを行う）とは根本的に異なるということである。　つまり、「一日葬」や「直葬」であれば費用が大幅に安くなるのだが、家族葬は一般葬と同じ儀式だからそのコストが安くなるというわけではない。　具体的に云うと、家族葬も一般葬も同じ手順の儀式だから葬儀にかかる固定費は変わらない。ただし、参列者が少ないので、その分飲食代などの比例費が少なくて済む。しかし、参列者が少ないので逆に香典が少なくコスト高になるとも云える。　イメージとしては、家族葬の祭壇や葬儀の手順は割安になるのではないかと思うが、家族葬だからといって祭壇の生花の費用が安くなるわけではない。同様に湯灌の費用が安くなるわけでもない。　おいらは葬儀社の担当者と打合せをしながら、一般葬と同じ仕組みに少々たじろいだ。しかも、葬儀場を貸切っての貸切葬である。上乗せになっても仕方がない。　ただし、良いこともある。家族葬は気心の知れた家族だけで行うため参列者への接待や挨拶など儀礼的なことに忙殺されることがない。また、亡くなった母とずっと過ごすことができるため、ゆっくりと母とお別れをすることができた。　さらに、参列者の数があらかじめ把握できたので、通夜や告別式の食事や返礼品の必要数が事前に把握できたことはメリットであった。　こうしてみると、家族葬とは最近の葬儀の呼称に過ぎないということが分かる。　少子高齢化にコロナが追い打ちをかけている現代である。長寿の人間が亡くなるときは世間との希薄化が進み、家族葬が当たり前の時代がすでに到来しているのかも知れない（この項終わり）。

  April 13, 2022

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  母の死と家族葬（中篇）

  母の死と家族葬（中篇）　先月の１８日早朝、施設から家内に電話が入った。　母が意識不明で、危篤の恐れだという。　母は朝方にはヘルパーさんとトイレに行っており、そのときは元気だったから、その後、急変したという。施設が直ちに主治医に連絡したところ大学病院に救急入院させるようにとの指示があり、母は救急車で搬送された。　家内はタクシーで病院に急行し、おいらも追って母に対面した。本来は面会できないのだが、ICUから病室に移送する間隙を縫って面会させてもらうことができた。　CTスキャンした救急医の話しによると、脳内出血が脳幹に及んでおり、若い人でも手術をしての回復が見込めないという。９４歳の母では様子をみるしかなく、早ければ今日中に亡くなるかも知れないとの所見である。　そのときの母は顔色もよく、心地よい寝息を立てていたので、看護師さんもこのままだとまだ大丈夫ですよと云われるほどであったが、夕方、呼吸が荒くなりそのまま帰らぬ人となった。　当然だが、家内は茫然自失である。　急なことではあるが、おいらが葬儀社の手配を始めとして一連の葬祭手続きをすることとなった。　まことに死は突然やってくる。　おいらの母が広島で亡くなったのは７年前のことであり、そのときはおいらが喪主を務めた（一般葬）。当時、葬儀社は母が入会していた某グループの積立互助会に依頼すると決めていたので心の準備ができていたが、今回は違う。　だが、いざというときのことを考えていなかったわけではない。実はこのブログでも書いているが、過去に葬祭セミナーに参加していたこともあり、こちらでの不幸の際の対応を考え始めていた。　実は、２年前に拙宅の近所に家族葬専用の貸切会場が新しく出来たのである。　そこで、昨年の１１月にそこが主宰する葬祭セミナーに家内と参加していたのである。しかも、母が生前、葬祭のために積立てをしていた広島の積立互助会がこの葬祭場と同じ系列の互助会と判明したため、その費用が充填できるという。虫の知らせという他はない。　そのとき、母の葬儀は家族葬にしようと家内と決めていた。母は広島から単独でこちらに来ているので、親戚は皆、遠方である。しかも、揃って高齢である。また、付き合いのあったご近所の方々もわざわざ神奈川までお見えになる分けではない。だから、いざとなったら、首都圏にいる身内だけで葬儀を済ませる他はない。　したがって、おいらはその葬祭場で母を家族葬にすることとした（この項続く）。

  April 11, 2022

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  母の死と家族葬（前篇）

  母の死と家族葬（前篇）　母（おいらの義母）は、広島で２年前の３月まで一人で暮らしていた（当時９２歳）。　一軒家での高齢者による独居であったが、週数回のヘルパー訪問と３週間に１回による妻の帰省介護によって何とか一人暮らしが可能であった。　しかし、間質性肺炎により入院となり（コロナ禍直前で、入院できたのは運が良かったとしか云いようがない）、ベッドでの寝たきりによって足腰が弱り、母は車椅子生活となったのである。　病状は改善したものの、入院して３か月以上経つと自動的に病院から追い出される羽目にあうので、この間、家内とおいらは退院後に母が入所できる施設を探し続けたのだが、コロナ禍の影響もあって新規入所先を探すのは困難を極めた。　だが、同年７月、幸いなことにおいらの自宅（神奈川県内）から車で２０分程度のグループホームに母を入所させることができたのである。　実はその２年前、母が９０歳になったのを契機に母をこちらに引き取ろうとして、拙宅近くにある「サ高住（サービス付き高齢者向け住宅）」の手配をしていたのだが、母は人生の晩年を知らない土地で暮らしたくないと頑なに入所を拒否し、うまくいかなかったことがあった。　だから、グループホーム入所時もその二の舞とならないよう慎重に対応し、最終的には母も自分の置かれている状態を理解してくれ、９２歳になってこちらに来ることに同意してくれたのである。　そのときのおいらの考えは、「母の晩年。されど自分の晩年とどこが違うのか。自分ができることは全てやり遂げてあげたい」であり、その考え方は今でも変わっていない。　母のグループホームでの生活は、個室である。一番の利便は、炊事洗濯などの家事から解放され、時間を気にせず個室で一人自由気ままに暮らすことができたことである。　特に、９０歳を越えて昼寝の時間が増えていたので、好きな時間にベッドで休むことができたことはよかったのではないかと思っている。　ただ、若いときは社交的な母であったが、晩年はやや引っ込み思案になり、集団生活になじむかどうか当初は心配であった。　しかし、それも杞憂であった。実際、食事はダイニングルームで入居者と一緒であったが、向かいの席に座る女性と親しくなったり、イベント開催時は皆さんと楽しく過ごすなどそれなりに母らしい生活ができていたようだ。　だが、心残りもある。　それは、母をこちらに引き取ったにもかかわらず、コロナで十分な面会ができなかったことである。まことにコロナとは質（たち）が悪い。　ただし、こちらのグループホームでは、病院での完全な面会謝絶とは異なり、施設の玄関越しでの面会（母が施設内、当方が外側でガラス越しの面会）を認めてくれたことである。だから、２週間に１回のペースで面会させてもらうことができていた。　その母が入所して２年にも満たない先日、前触れもなく他界した（この項続く）。

  April 8, 2022

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  団塊の世代とは何だったのか

  団塊の世代とは何だったのか　前回も書いたが、団塊の世代とは昭和２２年から２４年生れの世代のことである。おいらは昭和２５年生れだからスレスレであり、団塊の世代と考えてもよかろう。　では、その団塊の世代とは一体何だったんだろう。　おいらはずっとそれを考え続けていたのだが、諸々の文献を漁ってもその解答を見出すことができなかった。ウイキペディアを参照しても表面的なことに終始しているだけに過ぎない。　しかし、最近になって団塊の世代の本質が分かるようになった。　その解答のヒントを見つけたのが、前回の「６０年代と７０年代」である。　結論から述べると、団塊の世代とは志をなくした世代である。しかも、思想がない。思想とは、例えば、天下国家を論じるとか、世のため人のためとかなどの考え方であり、それらが欠落している世代である。　こう書いてしまえば身も蓋もないが、団塊の世代も６０年代まではまともであった。　それまでは、見るもの聞くもの考えるものなどの全てが新しく、全てが刺激的で、全てが面白い時代であった。それは、明るい未来を夢見ることができる時代だったからである。　その団塊の世代が７０年代になって、１８０度変わったのである。７０年代初頭の挫折によって、おいらたちは自ら進んで世の中の歯車になり、小市民生活を理想としてそれに甘え、自分の身の回りさえ身綺麗であればそれでよしという風潮に染まったのである。　それを一言で表せば、現状肯定、事なかれ主義、小利口な世代である。　団塊の世代の小学校、中学校、高校では一クラス５０人という巨大集団で育ち、その中だけでトップを目指せばよいという教育を受け、団塊の世代もまた井の中の蛙という考えしか持たなかった。　いわば、ゴミ焼却場は町内に必要だが、自宅のそばに誘致するのだけは嫌だというエゴでもある。　そういう世代が働き盛りとなった４０代から６０代を迎えた時代が１９９０年代から２０１０年代の平成である。この時代に日本は見事に沈没した。　おさらいになるが、１９８９年（平成元年）の「時価総額上位ランキング」を見よう（表。日経より転載）。　この表から分かることは、２０１９年の日本企業のトップはトヨタの４１位でしかなく、今や上位２０位までに日本の企業が全くいなくなったことである。　平成元年には上位２０社中１４社が日本社であったことを考えれば、世の中はハッキリと変わったのである。　経済同友会の小林喜光氏が「平成の三十年間を振り返ると、日本にとっては『敗北の時代』だった」と述べているとおりである。　要するに、団塊の世代が働き盛りであった平成３０年間に日本は沈没したのである。　結局、団塊の世代とは、変化を好まず（変化を恐れ）、判断基準は経済合理性と損得勘定であり、結果的に現状維持を追い求めた世代である。　とほほ。かくも魅力なき世代、団塊の世代。

  April 6, 2022

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  これまでの人生で一番刺激的な時代

  これまでの人生で一番刺激的な時代　分かりにくいタイトルだが、団塊の世代であるおいらが今までの人生で一番刺激的な時代は、１９６０年代（昭和３５年からの１０年間）ではなかったかと思う。　余談だが、団塊の世代は昭和２２年から２４年生れである。おいらは昭和２５年生れだからスレスレであり、団塊の世代と考えてもよかろう。　では、なぜ６０年代なのか。　それは、日本の高度経済成長と被（かぶ）るからでもあるが、その時代は混とんとしていて、野蛮で、悪趣味で、決定的だったのがダサいということであった。　しかし、この時代の特徴として国民全員が夢を持っていた。日本全体が日本を良くしようというエネルギーに満ち溢れていた。何より自由であり、６０年代は自由を象徴する時代であったと思うのである。　その前の５０年代は終戦後まだ５年しか経過していない時期から始まっているため、混とんとしていた時代である。日本の土俗的なカルチャーが反映されていた時代であり、まだまだ生きるために必死の時代であった。　１９５６年に経済白書が「もはや戦後ではない」と語ったが、本格的に経済が成長し始めるのは、おいらが１０歳のとき、そう、池田勇人内閣が「所得倍増計画」を発表した６０年からである。　池田は、１０年間で国民総生産（GNP）を倍以上に引き上げ、欧米並みの生活水準と完全雇用の実現を目指すとしたのである。　そこに６４年開催の東京オリンピックが重なり、そのために東海道新幹線や東名高速道路、首都高などのインフラが整備されることになった。家庭では、テレビ・洗濯機・冷蔵庫の家電製品が三種の神器と呼ばれ、皆がこぞって揃えたのである。消費社会の幕開けでもある。　そして、ついに６８年には日本の国民総生産（GNP）が西ドイツを抜き、アメリカに次ぐ世界第２位（資本主義国内）となったのである。　つまり、６０年代はイケイケの時代だったのである。貧乏人が夢を見て、その夢が叶い始める時代だったのである。だから、やることなすことがダサい（つまらない話しだが、当時は学生服以外に着る私服はないも同然であった。VANは革命だった）。野蛮でもある。ときとして悪趣味にもなる。しかし、この時代には夢がある。エネルギーがある。何より自由がある。つまり、６０年代は自由の象徴である。　それが７０年代になってどうなったか。　世界中が挫折したのである。日本では７０年安保の挫折、米国はベトナム戦争の泥沼化（ベトナム戦争６５年～７５年）、海外の学生運動も鎮圧され、皆が転向したのである。　それを象徴するのが、ロックバンド「イーグルス」の「ホテルカリフォルニア」の詞である。“We haven’t had that spirit here Since nineteen sixty nine”（＝６９年以降、私どもはSPIRIT（酒、心意気）を持ち合わせていません）　つまり、おいらたちは６９年を最後に心の自由を捨て去り、世の中の判断基準を経済合理性とカネの損得だけに切り替えたのである。　だから、経済が成長し、金持ちになっても（おいらの場合はなり損ねたが）命以上に大切なものがカネになったことにより、人生がツマラナイものになったのである。　世の中には、命以上に大切なものがある。６０年代はそういう意味で自由であり、世の中がまっとうに刺激的な時代だったのである。

  April 4, 2022

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  知られざる赤穂事件（後篇）

  知られざる赤穂事件（後篇）　回向院での休息を断られた一行は、泉岳寺に向かうルートを通常の両国橋とはせず、永代橋経由とした。　１２月１５日が諸大名の登城日であったためである。当日の両国橋は往来が激しいことが予想されたことや無用な混乱を避けるためである。　実際、赤穂義士の討ち入りの話しは早くも当日の朝には知れ渡ることになる。永代橋の際にある「ちくま味噌」の店主竹口作兵衛もその一人であった。　竹口作兵衛は文人でもあり、宝井其角（服部嵐雪、向井去来と並ぶ「蕉門十哲」の一人）の句会に参加していた。その句会に義士の一人である大高源吾（浅野内匠頭の「中小姓（ちゅうごしょう）」。大石内蔵助に最も信頼された一人。俳号、「子葉（しよう）」。辞世は「梅で呑む茶屋もあるべし死出の山」）が入っており、作兵衛は彼と親しくしていたのである。　折しも当日は、ちくま味噌の増築中である建物の上棟式を開催する予定であった。棟梁などに出す祝い酒や料理を朝から準備していたのである。　そこに討ち入りの知らせが飛び込み、しかも親交のある大高源吾が本懐を遂げて店の前を通るとあれば、一行に休息してもらい、一同をもてなすことを考えたのである。　ここが回向院との違いである。のちに「江戸中の手柄」として討ち入りは仇討ち物語として日本全国に噂が広まることになるが、このときはまだそうではない。作兵衛も同罪になる恐れがある。　しかし、仇討ちは大高源吾を始めとする義士たちの願いであり、本懐を遂げることができたのなら武士の鑑だ。万一失敗しても、義士一同が切腹し、なき主君の下へ行くという覚悟だったろうから、これほど溜飲が下がることはないと作兵衛は考えたのである。　すぐさま作兵衛は上棟のために用意した酒と料理を義士に振る舞うよう店の者に指示を出し、大高源吾は内蔵助の了解を得て、義士全員をちくま味噌で休息させることにしたのである。　竹口作兵衛の公儀を恐れぬ心意気には感動だねぇ。作兵衛は三重松坂出身であり、この当時江戸に出てわずか１５年目であったが、江戸庶民の心意気をよく理解している。　大高源吾は作兵衛のもてなしに感激し、木片に墨で「四海遍く　ちくま味噌」と揮毫し、店主は大いに喜んでその場で棟木に打ち付けたという。この木片が評判になり、数多くの江戸っ子がちくま味噌に見物に来たという（残念ながら木片は関東大震災で焼失）。　こういう店が繁盛しないわけがない。その後、ちくま味噌は勝海舟の後援者となったり、西郷南洲もちくま味噌をよく訪ねたという。歌舞伎にまでちくま味噌は取り上げられ、「道理で味がいい。味噌はちくまに限るのぅ」と云わせている。　ちくま味噌あっぱれである（写真上は、そのちくま味噌にある石碑）。忠臣蔵、まだまだ知られざる美談がある。　最後に、本ブログでお馴染みの笑角亭朝生師匠のご内儀の妹さんがこの竹口家に嫁いでおられ、師匠とはご親戚の間柄である。世間とはまことに狭いものである（この項終わり）。

  April 1, 2022

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  知られざる赤穂事件（中篇）

  知られざる赤穂事件（中篇）　おいらが何故このようなことを云うかというと、赤穂義士はひと昔前までは、赤穂浪士、つまり、赤穂の浪人だったのである。　それを作家の大佛次郎がそれまでの浪人としての四十七士像を義士に大転換させる小説「赤穂浪士」を書いたことによって赤穂義士が一般的になったのである　さて、ここからが本題となる。　吉良上野介を討った赤穂義士は、亡き主君である浅野内匠頭の墓前に吉良の首を供えるべく、内匠頭の墓がある泉岳寺へと向かった。内匠頭の墓前に上野介の首を供え、一同焼香するためである。　吉良邸への討ち入りは元禄１５年１２月１４日(1703年1月30日)、寅の上刻(翌朝午前４時)過ぎである。吉良邸には約１００人の家臣達がいたが、彼らが住んでいた長屋の戸口は鎹（かすがい）で打ちつけられ閉鎖されていたため、実際に戦ったのは４０人程度だったと云われる。　討ち入りは約２時間で終わったが、吉良側の死者は１５人、負傷者は２３人でほぼ全員が死傷した。一方、赤穂義士は死者０、負傷者は２人であった。　味方の負傷者の数が少ないとは云え、相手方を多数死傷させたことを考えれば、疲労の度合いは相当のものであったことが容易に推察できる。　そこで、一行は吉良邸のすぐそばにあった回向院で一時の休息を求めようとしたが、関わり合いになることを恐れた回向院は門を閉ざしたままとした。　つまり、回向院は公儀を恐れ、義士たちの討ち入りに目をつむったのである。冷たいようだが、先に述べたように幕府は仇討ちではないとしていたのだから回向院を責めるわけにはいかない。　実際、討ち入りの報告を受けた幕府は浪士等の処分を議論し、切腹と決めた。赤穂義士が「主人の仇を報じ候と申し立て」、「徒党」を組んで吉良邸に「押し込み」を働いたとしたからである。　幕府としてはあくまで赤穂浪士達自身が「主人の仇を報じる」と「申し立てて」いるだけであって、討ち入りは「徒党」であり仇討ちとは認めないという立場を通したのである（この項続く）。

  March 30, 2022

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  知られざる赤穂事件（前篇）

  知られざる赤穂事件（前篇）　おいらは忠臣蔵の大ファンである。それは、おいらの座右の銘「義理と人情とやせ我慢」にぴったりと符合するからである。　折しも今月の３月２０日は、赤穂四十七士が切腹した命日でもある。　そこで今回は、赤穂義士が本懐を遂げた後、主君浅野内匠頭の墓がある泉岳寺に向かったまでのことを取り上げてみたい。　何故なら、忠臣蔵では討ち入り決行前の息詰まるサスペンスや討ち入り当日のチャンバラ、そして切腹が決まるまでの紆余曲折などが有名なのに対し、討ち入りをした後から泉岳寺に向かうまでのことについてはほとんど語られていないことに気付くからである。　でもどうしてそうなんだろう。　その答えは、赤穂四十七士の仇討ちが江戸時代に云う「仇討ち」に当たるのかどうか、言葉を変えれば当時、仇討ちが単なる「復讐」ではないかと揉めていたことが一因である。　少し分かりにくいので深入りすると、当時の「仇討ち」（実態は復讐）は「子が親の仇を討つなど、目上の親族のための仇討ち」のみに限られており、主君の仇を討つという、つまり、相手が親族以外は仇討ちではなかったからである。　これは云われてみるとよく分かる。いかに江戸の世とはいえ、復讐の本質は私的なリンチである。それを許さないのが権力（国家）というものである。封建主義でもそうしないと世の中が成り立たないのである。　だから、赤穂四十七士の仇討ちも考え方によっては、浅野内匠頭の刃傷において吉良上野介は無抵抗で逃げただけであり、その実態は内匠頭の一方的な暴力に過ぎない。したがって、そもそも上野介を仇討ちの対象にするのはおかしいという理論が成り立つ。　そうなってしまえば、赤穂義士の行動は単なる押し込みと変わらない、いや、徒党を組んでの行動だけに重罪であるという見解も成り立つ。　そこで、内匠頭は吉良を傷つけただけなのに切腹という処罰をした幕府が悪いとして、赤穂義士は吉良を恨むのではなく幕府を怨むべきと考え、彼らは赤穂城に籠城し、幕府の使者と一戦を交えるべきだったという過激な意見まで出る始末である。　つまり、当時の幕府の公式見解は主君の仇を討つことは仇討ちとはされていなかったのである（この項続く）。

  March 28, 2022

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  パソコン復旧す

  パソコン復旧す　ご心配をおかけしました。　新しいパソコンで今、この文章を入力しています。　パソコンがダウンして丸２週間が経過していますので、おいらの身に何かあったのではと心配していただいた方もいらっしゃいます。ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。　顛末を一言で云えば、新しいパソコンを家電量販店で購入せず、「必要なスペックのみのパソコン」（例えば、ウインドウズ１１搭載、メモリやHDDの大きさが一定以上、マイクロソフトH&O搭載、DVDドライブ内蔵など）をメーカー直販にオーダーしたからです。　理由は、店頭で売っているパソコンは無駄な機能（付加価値とも云う。例えば、テレビが映る）が満載の高価なものばかりで、しかも、それが４，５年もすると機能が古くなり、壊れるからです。今や、パソコンは耐久消費財ではなく、消耗品だと思います。　そこで、前回の購入に引き続き今回もオーダーメイドにしたのですが、どうやら半導体不足の関係からか到着が４月早々になると昨日メールで連絡が来ました。　これは誤算でした。前回は１週間で納品されたため、それと同じであればとっくに到着しているはずでしたが、今回は１か月近くもかかることになりました。　これには、まいりました。　実は、２７日（日）午後、おいらが参加している「吉田類のオンライン句会」が開催されるからです。　家内のタブレットで参加することも可能ですが、プリントなどの作業もあり、できればパソコンで参加したい。　そこで、本日、贔屓にしている家電量販店に行き、久しぶりにデスクトップのパソコンを新たに購入することにしたのです。　おいらはもともとデスクトップとラップトップの２台のパソコンを使っていましたが、定年後いつの間にかラップトップ１台だけにしていましたので、今回は元の２台方式に戻すことにしたわけです。　散財かとも思いましたが、いやぁ、デスクトップのパソコンは画面が大きいので素晴らしい。　しかも、今のデスクトップは昔と違って大きな弁当箱（CPU）などないし、すべてワイヤレス。パソコンの立ち上げもかなりイージーになっていましたので、時間がかかるもののほとんどストレスを感じなくてすみました。　いやはや、これならおいらのようなヘビーユーザーならやはりパソコンは２台持っておくべきだったと反省しています。　しかし、これでまた、書斎で机に向かうおいらの時間が大幅に増えそうです。　なぜなら、「最新鋭のパソコンとは、高級玩具と見つけたり」。　なお、３月２８日（月）より通常どおり、週３回のペースでブログを再開する予定ですので、皆様、どうぞよろしゅうに。

  March 27, 2022

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  パソコン壊れる

  <font style="font-size:20px;">パソコン壊れる 　パソコンが壊れましたので、ブログの一時休止をしています（このブログの作業は、愚妻のタブレットで行っています）。  　それにしてもパソコンとは簡単に壊れるものですね。症状は、電源を入れてもうんともすんともいわなくなった、です。使用し始めてまだ４年目ですが、おいらはヘビーユーザーなので寿命でせう。パソコンは今や、消耗品です。 　サポートセンターに連絡しましたら、故障ですから修理が必要だと云われました。修理代が６万円と云われ、買い替えです。 　新しいパソコンが入り次第、ブログを再開する予定ですので、今しばらくお待ちください。 　なお、旧友からは時節柄、おいらがコロナに罹患したのではないかと心配されましたが、コロナにかかったのはパソコンのようです。 　それでは、どうぞよろしくお願いします。  

  March 15, 2022

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  社会学者マクルーハンがいたら何というだろう

  社会学者マクルーハンがいたら何というだろう　ロシアのウクライナ侵略である。　毎日のようにニュースは非人道的な映像の連続である。　こういうことは戦後、なかった。湾岸戦争のときも毎日爆撃の映像がテレビゲームのように流れたが、あれは軍と軍との戦いであった。　だが、今回は違う。湾岸戦争のときと違ってロシア軍による無差別の殺戮は生身の市民が標的である。おいらは今年７１歳だが、こういう理不尽な映像が垂れ流しになる毎日の経験は今だない。　おいらの心は痛むばかりか、プーチンとヒトラーとどこが違うのかと思うようにまでなっている。　しかし、そういうことを云っても始まらない。　おいらが危惧するのは、ウクライナの惨劇を報道した直後の日本のテレビの対応である。　それは、平和的なＣＭであったり、そのＣＭに続いて流される芸能ゴシップや美味いもん番組である。　おかしくはないか。　これは民衆がパンとサーカスを求めた古代ローマの再来のようでもある。　だって、ドンパチやった後に暖かい家族の団らんのＣＭだよ。それを子供が観ていたらどう思うのだろうか。子供の精神衛生に悪い影響を与えないはずがない。　非人道的な映像の後に、幸せな家族が美味しいものを食べるＣＭ。　世の中は、狂っているよなぁ。　ところで、それで思い出すのが、メディア研究で名を馳せた社会学者マクルーハンである。　日本では今は亡き竹村健一が紹介し、団塊の世代は誰もが知っているホットとクールの理論である。　彼の理論によれば、第２次大戦はラジオによる報道で米国の熱が上がったが（これがホット）、逆にベトナム戦争はテレビで画像が流れ、米国は厭戦になった（これがクール）。　その理論が正しければ、今は非人道的な映像が毎日流され、クールの真っただ中である。　何が云いたいのか。　世界中がロシアによる非道な映像を毎日見せられている今、たとえそれがロシア国内では閲覧できないとしても、もはや世界中が反ロシアとなっているのではないか。　おいらはクールの力を信じたい。プーチン政権が終わり、戦争が早期に終結することを祈る。

  March 9, 2022

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  こういうときこそ冷静な判断を

  こういうときこそ冷静な判断を　ロシアの侵略（「侵攻」ではない）に苦しむウクライナの人々のことを考えると心が痛むばかりである。　プーチン大統領の行っていることは戦争犯罪だと思う。国際法では、国連加盟国の紛争は武力で解決してはいけないとされている。　また、原発への攻撃はジュネーブ条約違反であるが、プーチンはその禁も破った。全く何でもありである。　しかも、ロシアのやっていることが許されるのであれば、力の弱いものは力の強いもののいいなりになるということである。こういうことはあってはならないからこそ、ウクライナの力になれない自分の非力に歯がゆい思いをするのである。　ところで、ロシア研究の第一人者と云えば、佐藤優氏である。産経新聞への寄稿を期待していたが、先週の週刊新潮で「『プーチンは狂人でもナショナリストでもない』　佐藤優が読み解く『暴君』の“本当の狙い”」という見解が初めて表わされた。　さすがに佐藤氏のことである、眼から鱗の落ちる名解説である。　ネットでも配信されている（デイリー新潮編集部、3/6(日) 5:59配信、「週刊新潮」2022年3月10日号掲載）ので、是非とも参照をお薦めする。　その中で光っている部分をそのまま抜粋すると、「侵攻の２日前、２月２２日の映像では、ロシア軍の戦車と兵員輸送車に「Z」という識別符号が記されていました。ロシアとウクライナは同じ車両を使っており、何らかの形で区別する必要がある。これを見て私は、ロシアはウクライナに入る肚（はら）だと確信したのです。」「コメディアン出身のゼレンスキーは２０１５年に主演ドラマ「国民のしもべ」が大ヒットし、１９年４月の大統領選で初当選しました。ところが、当初は７０％以上あった支持率も、政界に蔓延（はびこ）る腐敗を正せずに急降下、1年後には３０％ほどに落ち込み、現在はさらに低迷しています。そこで支持率上昇のために、反ロシア感情を高め、領土の回復を試みようと動き始めました。　１４年に親ロシア勢力が一方的に独立を宣言した東部の「ドネツク」「ルガンスク」両“人民共和国”の人たちは、多くがロシア語を話し、ロシア正教を信仰し、自らをロシア人だと認識しています。すでに７０万人がロシア国籍を取得しているともいわれ、この地を取り戻そうとするゼレンスキーに対し、プーチンがそれを許せば国民を見捨てることとなり、政権が瓦解する可能性もある。そこで軍事介入というオプションを選んだのです」「彼（プーチン）がもくろんできたのは非共産主義的なソ連の復活です。つまりはベラルーシ、ウクライナ西部、トランスコーカサス、そしてカザフやキルギス、タジキスタンなども勢力圏に置くというもので、それがあるべきロシアの姿だと考えています。ただし、完全に版図に組み込むわけではなく、ロシアの強い影響下にある状態を望んでいる。国境を線ではなく「面」で捉えており、各国がそれぞれバッファ（緩衝地帯）でなければならないと考えているのです」「今回の軍事行動は、ロシアと事を構えない融和政権がウクライナで樹立されるまで続くでしょう。現在ウクライナの軍事施設は壊滅的な被害を受けており、これを再建できないようにした上で、マッカーサーが戦後日本で行ったように、自衛のための軍隊だけを認める。それらが達成されたのち、ロシアは手を引くのではないかと思われます。　実効支配していた「ドネツク」「ルガンスク」の両人民共和国は、それぞれが位置する州全体を支配することになるでしょうが、ロシアが占領するとしてもこの２州にとどまり、全土には及びません。あくまでロシアに迎合した政権が「自発的」に誕生するのを待つのではないでしょうか」　プロの見方は冷徹である。タイトルに書いたとおり、こういうときこそ我々には冷静な判断が求められる。　具体的には、ロシアが全く許せない敵だとだけは考えず、同時にウクライナも完全な正義とは考えないことである。　いかにして双方が戦争を終結させることができるかという方法をひたすら模索し、場合によっては日本が第三国の一角として仲裁の補助役を務めることも検討するなどあるありとあらゆる選択肢を研究すべきと思う。それが、第三者の責任であると考えるのである。

  March 7, 2022

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  ７１歳は、まだ若いか

  ７１歳は、まだ若いか　自分がなって初めて分かること。　７１歳になって初めて分かったこと、と云い替えようか。　ひと昔前でなくても、今も新聞などで「ナンノタロ兵衛（７１歳）」と表示されていれば、立派な老人である。　それは、高齢者の定義が世界中で６５歳以上とされているからである。実際、わが国でも６５歳から前期高齢者となる。　ところが、それはWHOが１９６５年に発表した見解に基づくものである。おいおい、５７年前の基準が今も生きているのかよぅ。　この当時の平均寿命は、男性が６６歳、女性が７２歳であった。WHOは６５歳以上の人口が７％を超えると高齢化社会と定義づけたのである。　ところが、最新のデータによれば、男性の平均寿命は８２歳、女性は８８歳である。　これを単純に考えれば、今の年齢は昔の８掛けという計になる。（６６÷８２＝０．８０５、　７２÷８８＝０．８１８）　すると今の７１歳の８掛けは、５７歳である（７１×０．８＝５６．８）。　では、何歳からが老人か。これも単純計算によると、６５歳を０．８で割り戻すと８１歳前後、つまり、今の老人は８０歳からが妥当ではないかという計算になる。　ただし、日本老年学会は「７５歳（後期高齢者）からが老人」と提唱している。今の７５歳と昔の６５歳が相撲を取ると、引き分けになるということである。　だが、おいらが云いたいのはそういうことではない。　今の世の中は、「年齢フリー」（年齢不問）と考えるべきではないか。　一定年齢になれば一律に老人というのではなく、それは個々人の体力によったり、心の年齢によるのではないかと云いたいのである。　だから、おいらはもう７１歳、いやまだ７１歳だが、この年になるともう年齢は関係ない、つまり「年齢フリー」と思うようになったのである。

  March 4, 2022

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  エプソンプリンターには腹立たしい（後編）

  エプソンプリンターには腹立たしい（後編）　次に腹立たしいのは、「廃インク吸収パッド」である。　プリンターのヘッドやノズルのクリーニングをしたためか、「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に達しました」というエラー表示が出たのである。　これでプリンターは、うんともすんとも云わなくなった。いや、動かなくなったのである。　廃インク吸収パッドの吸収量を超えると、プリンターを横にしたりするとインクが漏れるのだそうだ。だから、プリンターを動かなくさせたということらしい。腹が立つ。全くおためごかしである。　この表示をなくすためには１　修理する。ただし、修理費用が約1万円。前にも書いたがプリンターは消耗品なので買い換えた方が安上がりである。しかも、修理期間中にはプリンターが使えない。したがって、この選択肢はない。２　緊急避難でネットでエプソンにコンタクトし、一時的にプリンターの使用を認めさせるというもの。ただし、インク漏れなどによる事故は自己責任だという。　おいらは、深夜にこの「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に達しました」という表示が出たため、半徹夜でこの解除のためのリセット作業をする羽目になった。トホホ。　しかし、何とかクリアしてプリンターが作動するようになったのも束の間、何枚か原稿を印刷したら再び、「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に達しました」というエラーが出た。ご臨終である。　なお、競合であるキャノンはプリンターのコンパクト化に取り残され、もはやエプソンの対抗馬ではなくなっている。このため、エプソンのこの乱暴なやり口にわれわれは我慢するしかない。　しかも、プリンターは物書きであるおいらにとって必需品である。　重い腰を上げて、先週、家電量販店に出向いた。　最初に考えたのは、アマゾンで購入することであった。安いからである。しかし、プリンターは意外に初期不良が多く、印刷できない以前に紙がうまく入らないやヘッドが動かないなど輸送中が原因と思われる事故が多いらしい（アマゾンはその場合、交換ではなく修理。冗談ではない）。　また、ワイヤレスだと印刷までに時間がかかったりすることもある。　そこで、従来どおりケーブルも使用でき、まともな代替品インクがあり、最後に廃インク吸収パッドの交換が自前でできる上級機種を条件にプリンターを買い替えることにしたのである。　あ～あ、結局、またエプソンを買う羽目になってしもうた。くやしいが、エプソンとはこれからも当分付合いを続けなければならない（この項終わり）。

  March 2, 2022

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  エプソンプリンターには腹立たしい（中編）

  エプソンプリンターには腹立たしい（中編）　結局、プリンターのインクは純正品でなくても問題ないのである。　そこでプリンターの世界でどういう現象が起きているかというと、最近のエプソンは新型のプリンターに新型のインクを採用し、代替品のインク会社がすぐには開発できないような逃げ切り作戦に転じているのである。　だから、エプソンプリンターのインク売り場に行くとカメとかクマノミとかイチョウとか訳の分からない名前のインクが所狭しと並んでいるのだ。　そのため、家庭用プリンターの最新機種は上級クラスでも５万円程度なのだが、代替品が出きていないインクは純正インクを購入しなければならず、結果的には高額な商品となるのである。　こういうことをするメーカーは、いずれ消費者からシッペ返しを受けることになるとおいらは思う。だって、最初からリーズナブルな値段設定をすればいいだけの話しだからである。　閑話休題。　ここからは、おいらの苦い経験を話す。　おいらはエディオン製代替品インクで味を占めたが、それでもまだインクの値段は高価である。一本約７００円もするのである。　そこでこういうときの解決ツールとしておいらはアマゾンを検索したのである。おいらはアマゾンプライムユーザーである。　すると代替品インクはあるわあるわ、しかも値段が安い。一本約２００円程度のものまである。早速おいらはそれに飛びついたのである。　しかし、好事魔多し。　廉価の代替品インクをセットすると直ちに「純正品ではありません」という表示がプリンターに現れた。　それがなんぼのもんじゃい、である。　ところが、印刷すると「安かろう悪かろう」の典型である。色ムラやカスレが出るのである。　安いわけだ。　結局、また、まともな代替品インクに買い替えたのだが、ヘッドやノズルのクリーニングなどをしなければならず、これがまた大量のインクを使うことになるのである。やれやれ。　だけどねぇ、廉価の代替品インクであってもアマゾンだから信用したのだよ。　アマゾンが扱う商品には一定以上の基準があってそれをクリアしている業者だけが参加しているはずだと思っていたが、どうもそうではないようだ。　アマゾンも信用してはいけないことが分かった。　プリンターの忌まわしい話しは、まだ続く（この項続く）。

  February 28, 2022

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  （号外）かくして戦争は始まる

  （号外）かくして戦争は始まる　とうとうロシア軍がウクライナに侵攻した。　株は暴落である。全くプーチンのバカ野郎。　さて、昨年からおいらはこのブログで新帝国主義の危うさに触れてきたが、昔の帝国主義と今の帝国主義は質的に異なり、そう簡単には戦争は起こらないと決め込んでいた。　なぜならそうならないように、人類は国連などの機構を含めたハードや情報の開示を中心とした外交などのソフトによって安全装置を創ってきたからである。特に冷戦が終結して、世の中は不完全ながらも危機を避けてきたのである。　しかし、今回はそういう幻想がいかに甘かったかを知らされた。１．プーチンは、旧ソ連の領土を減らすことが自分の首を絞めると同じと考えている。　＝＝＞プーチンは、ウクライナを西側に取られるのが（ウクライナのNATO参加）自らの失政だと思われたくない。２．ウクライナは、西に付くのかロシアに付くのかを性急に決めてしまった。　＝＝＞ウクライナのゼレンスキー大統領は、時世を読み違えた。３．米バイデン大統領は、保身と自国優先を選択した。　＝＝＞バイデン大統領は、昨年アフガンから撤退した。それで梯子を外されたＥＵはバイデンを見限った。人気失墜であせったバイデンはその挽回のため、ウクライナでＥＵと協調する絵図面を書いた。しかも、戦争になれば米国の軍事品は在庫一掃になる。　また、ロシアとＥＵ（NATOと同じ）が決別すれば、ロシアへの制裁のため、ＥＵはロシアから調達している原油ルートは止め、米国からの輸入と切り替える。つまり、漁夫の利を得るのは米国である。　結局、この戦争は、ウクライナの住民を犠牲にした茶番である。　田舎芝居で云えば、ウクライナはお人好し、ロシアは極悪非道、アメリカは黒幕である。　日本は、今や三等国なのでただの通行人。中国が真の意味での大国であれば必ず仲裁に入るはずだが、あれは嘘つきなので知らん顔である。　いつの世も弱者は、個人である。ウクライナの住民には気の毒としか云いようがない。おいらも自分の非力に歯ぎしりするしかない。　しかし、これが許されるなら、結局「力があれば、何でも許される」と同じである。　しかも、プーチンは今回こともあろうに西側が対抗すれば「核」の使用まで示唆したのである（ウクライナは９４年に米国を信じて核を放棄した。皮肉な結果である。米国が頼りにならないとなれば、我が国も核保有を検討せざるを得ない）。　プーチンは、地獄に堕ちるしかない。

  February 25, 2022

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  エプソンプリンターには腹立たしい（前編）

  エプソンプリンターには腹立たしい（前編）　パソコンを使う上でおいらの場合、プリンターは不可欠である。　カメラが趣味ですぐにプリントしたいということもあるが、データのみで保存するというのに未だに不安がある。　なぜならある日、天変地異が起こり、パソコンの電源が入らなくなったらパソコンはただのハコでしかない。本当に必要なものはやはり紙で残しておきたいからである。　ま、しかし、そういうことはおいらの個人的な趣味の話しなのでどうでもよい。　本日は、ここ数週間、エプソンのプリンターに振り回されたのでそのことを書く。　さて、エプソンにかぎらず、プリンターメーカーのビジネスモデルは「プリンター本体価格と比べて相対的に高いインクを買わせ、それによって最終的に利益を稼ごうとしている」のは周知のとおりである。　例えば、個人用プリンターの売れ筋は概ね２万円台であるが、そのインク代はセット価格で５千円程度である。しかも、そのインクは年賀状であれば１年分を一回刷ってしまうともう買い替えなければならず、４回か５回インクを買い替えるともう本体価格を超える始末である。　だから、おいらのようにカメラが好きでプリントを煩雑にしているとすぐにインクを買い替えなければならず、インク代を考えたプリンターは実は相当高額な買い物である。　そこで、消費者が考えることはメーカー純正のインクではなく、代替品のインクに切り替えることである。　ただ、おいらは写真の仕上がりが悪くなるのが嫌で、今までは頑なに純正品しか使っていなかったのである。　ところが、あまりにもコスパが悪い。そこで、どうしたものかと昨年末にエディオンのインクカートリッジコーナーを見ていたらエディオン自身が代替品インクを売っているではないか。「純正品以外を使うとプリンターに問題が発生しないか」、また「写真に遜色はないか」と店員に聞くと問題がないという。　おいらは今使っているプリンターが使い始めて４年目になるのでそろそろ買い替えかもしれない（ほぼ定期的に４、５年ごとに壊れ買い換えている。プリンターは修理する方より新品の方が安い）と思ったこともあり、おいらは初めてエディオン代替品インクに切り替えてみたのである。　エディオン代替品だと純正品に比較して約３割引きになり、それでもまだ高いのだがやはり純正品はコスパが悪すぎる。エプソンのビジネスモデルに乗らされるだけでは能がない。　そこで、おいらは思い切って昨年末からエディオンの代替品に切り替えてみることにしたのである。　実際に使ってみたら、純正品以外を使用しているという警告も出ず、また、仕上がりに遜色もない。そうだったのか、だったら、早くから代替品に切り替えるべきであったとおいらは思ったのである（この項続く）。

  February 23, 2022

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  コロナワクチン３回目接種

  コロナワクチン３回目接種　コロナワクチンの３回目接種が完了した。昨日（２月２０日（日））の午後のことである。　この話し、接種券が市から送られてきたことから始まった。おいらは１回目が昨年の６月、２回目が７月の接種だから丸７カ月経過していることになる。　接種券には今月１８日以降なら接種可能と記載されていたので、ネットで昨日の午後に予約を入れたのである。　ところで、今回は少し迷った。　２回目までと同じ集団接種に今回もしたのだが、集団接種会場はモデルナ製のみだけである。　正直、迷った。けだし、モデルナ製は副反応が怖いからである。　しかし、尾身会長がモデルナ、小池都知事もモデルナを接種したということ、今までの２回はファイザー製であり、交互接種の方が抗体の効き目が強いということで最終的にモデルナにすることにした。　こういうことは、クヨクヨ迷ってはいけないのである。　結論。　副反応はこれまで同様、ほとんどない（だが、そうは云っても注射した部位は月曜日（翌日）の午前中現在も少し痛む）。　余談だが、モデルナ製のワクチンは効果が倍強いので、接種量はファイザー製の半分だという。だから、注射もあっという間に終わった。　アナフィラキシーショックなどの副反応が出ないかどうかをチェックする１５分間の待機エリアは、これまで同様接種会場の前方に設営されていた。　目の前の大きなモニターには今まで同様の待機解除を知らせる接種番号のほか、今回は某市市政５０周年を記念するビデオ放映がモニターで行われていた。気が利いている。　とまれ、副反応は上記で述べたとおり注射の部位に少々痛みがある程度で発熱もなく、今のところ何の問題もない。　モデルナ製、いいと思う。

  February 21, 2022

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  歳など取るものではない。世の中はすでにこうなっている（後編その３）

  歳など取るものではない。世の中はすでにこうなっている（後編その３）　以上、日本に多くのダメ出しをしてきたが、前回述べた三つのキーワードにこれからの世の中を救うカギがあると思いたい。　そこでおいらの経験談を述べる。　昭和６０年の男女雇用機会均等法成立に伴い、おいらの所属する部署にも女性社員が配属になった。　新人研修のカリキュラムの一環としておいらも講師を務めたのだが、慶応出身の優秀な職員であった。優秀かどうかは教えてみればすぐに分かる。　だが、おいらはその後の異動に伴いその彼女と一緒に仕事をする機会はなくなり、彼女のその後の会社生活は苦労の連続だったように聞く。　云うまでもなくそれは、会社が男世界だからである。彼女が出世するためには「男」にならなければいけないからである。　言葉を変えれば、男女雇用機会均等法を創っても会社という器が旧態依然の男社会であれば、出世する女性社員は「男」以上の女性社員であるというだけである。　したがって、日本の大手会社の人事部では、女性社員の採用で成功した例がないと云われるのである。　困ったものである。おいらがその解答を見つけたのは、紐育勤務のときである。米国ではすでに姓差は撤廃されており、マイナーな人種も一定割合以上採用しなければならないルールが徹底されていた。　だから、「女性」、「ダイバーシティ」、「高学歴」の塊であり、会社は目標に向かって進む組織として機能していた。日本の男社会のルールなど欠片（かけら）もない。　つまり、仕事が出来るか出来ないかだけが物差しであり、周りの空気を伺ったり上司にゴマをする必要もない（もっとも米国でもそうやってゴマをする社員もいたが、淘汰されるだけである）。　要は、日本の企業も器そのものを米国型に変えなければ「女性」、「ダイバーシティ」、「高学歴」を導入しても意味をなさないということである。　さて、この項が長くなったので最後にリアルとバーチャルの融合の必要性を述べて終える。　今、世界で最も強いのはバーチャル企業である。しかし、バーチャルだけでは自ずと限界がある。バーチャルはリアルの上に成り立っているからである。アマゾンが米大手小売企業を買収したのは、そういう背景があるからである。　他方で、日本の企業はリアルである。そこで、日本のリアルの強みと海外のバーチャルの強みを融合すれば新たな局面が生まれるのではないか。おいらは、日本の企業の復活を切に願うものである（この項終わり）。

  February 18, 2022

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  歳など取るものではない。世の中はすでにこうなっている（後編その２）

  歳など取るものではない。世の中はすでにこうなっている（後編その２）　では、日本に新規産業が生まれなかった原因は何か。　前篇で述べた経済同友会の小林元会長によれば答えはシンプルであり、「生産セクター、つまり企業の活力の衰え」が原因という。　これを総じて云えば、昭和の時代に急成長した日本企業のトップがリスクを嫌がり、日本企業が保守的な組織になったということである。　その証左が、企業セクターのカネ余りである。企業（非金融）の１７年度の純貯蓄は３３兆円弱にのぼり、９年連続で家計を上回る最大の純貯蓄主体になった。　リスクを取らない資本主義などありえない。高度成長期は家計の貯蓄を銀行経由で企業が借り、リスクを取って新規事業や新設備に投資したものである。　では、企業の活力を取り戻すにはどうしたらよいのか。　その答えは、ユニコーン企業を生むキーワードにある。　それは、ずばり、「女性」、「ダイバーシティ（多様性、相違性）」、「高学歴」の三つである。　まず、「女性」。現在の経済の主流はサービス産業であるが、この産業のユーザーは６割から７割が女性である。ところが日本の女性の社会的地位は１５３ヵ国中１２１位であり、これほど需給ギャップのある国は珍しい。　次に、「ダイバーシティ」。メジャーリーグを見ても分かるように世界中から優秀な野球選手が集まるから強いチームができるのである。　ビジネスの世界も多国籍の集団ほど強いのだが（ユニコーンは典型的な多国籍）、日本の企業は日本人だけで戦っているようなものである。これでは、負けるに決まっている。　最後に「高学歴」。製造業はどちらかと云うと低学歴だが、ユニコーンやグローバル企業は高学歴である。　ここで驚く数字がある。日本の大学進学率は５３％でしかなく、先進国平均（ＯＥＣＤ平均）の６０％よりも低いのである。　さらに大きな問題は、日本の大学生が勉強しないことである。グローバル企業は、たとえハーバードの学生でも成績が中以下なら決して採用しない。　理由は簡単で、ハーバードの学生だから確かに頭はいいかも知れないが、成績が中以下ということは勉強に手抜きをした証拠である。そういう人間は会社に入っても上司にゴマをすり、仕事の手抜きをするに決まっていると考えるのである。　他方で、どんな大学の生徒でも全優なら喜んで採用する。自分が選んだ大学で良い成績を上げるなら、会社に入ってからも積極的に仕事をするに違いないと判断するからである。　また、グローバル企業は大学院卒を積極的に採用する。専門分野で深堀した知識と能力を採用後に存分に発揮できるからである。ところが、日系企業はいろいろな理由をつけて大学院卒を採用したがらない。これでは国際競争に勝てる分けがない（この項続く）。

  February 16, 2022

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  歳など取るものではない。世の中はすでにこうなっている（後編その１）

  歳など取るものではない。世の中はすでにこうなっている（後編その１）　では、どうして日本は凋落したのだろうか。誰が犯人なのか。　この原因として一般に云われているのが、人口の減少とデフレである。　しかし、その答えは間違っている。　人口が半分や三分の一になれば話しは別だが、現状の人口減程度ではそのことが直ちに経済に影響することなどない。　実際、人口増加率が１％程度しかない中国でも２ケタの経済成長をついこの間までやってきた。やり方次第で経済の成長は可能である。　デフレについても、その原因は日本に新規産業が生まれず、その結果経済が活性化しなかっただけの話しである。　これもやり方次第の話しであり、デフレ下であっても経済が繁栄した例を探せば、１９世紀のビクトリア女王統治下の英国がある。　英国も日本のようにダラダラとしたデフレが永く続いたが、英国の産業や通商はこの時期に飛躍的に成長し、７つの海を支配する「大英帝国」に変貌した。　では、日本凋落の原因は何か。　答えは、前篇で述べた企業の時価総額ランキングを見れば分かる。　日本企業が姿を消した代わりに入ってきた企業、すなわちＧＡＦＡ（グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン）とその予備軍であるユニコーン企業（未上場で１０億ドル以上の時価総額を有するベンチャー企業のこと）である。　グーグルもフェイスブックも創業はわずか約２０年、しかし、フェイスブックの時価総額は何とトヨタの２倍である。　要は、ＧＡＦＡとユニコーン企業という新規産業を日本が生み出せなかったことが原因である。これらの新規産業は中篇で述べた「データ」「バーチャル」「グローバル」の権化である。　戦後の日本の経済成長をけん引してきたのは紛れもなく製造業であった。　ところが、この製造業がＧＤＰに占める割合はもはや約２０％でしかない。雇用に至っては約１７％であり、今や製造業に日本を救う力などない（この項続く）。

  February 14, 2022

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  歳など取るものではない。世の中はすでにこうなっている（中編）

  歳など取るものではない。世の中はすでにこうなっている（中編）　日本は平成と云う時代に過去の栄光にあぐらをかいた結果、欧米や中国に大きく差を付けられたのである。　それでもモノづくりではまだ日本は世界一だと寝ぼけたことを云ってはいけない。　通信の世界では今や５Ｇが主流だが、中国や欧米に完敗である。半導体の世界もかつては日本が５割以上のシェアをキープしていたが、今やその影もない。　これらの何が問題かと云うと、今後の日本は基幹的技術を海外から手に入れなければ国家が成り立たなくなるということである。　国家を成り立たせるリーディングインダストリーが自国の技術で育成できなくなれば、他国の下請け、孫請けとしてしか日本は生きていけないのである。　これを一言で云えば、日本は他国政府の意向や他国の企業の顔色を伺いながら生きていかなければならない三等国に成り下がるということである。　でもどうしてこうなっちゃったんだろう。　現実の世界に目を向ければ、「データを制する者が世界を制す（データ覇権主義）」という時代になっており、今の世の中を動かしているのはモノではなくて、データやデジタルビジネスというバーチャルな世界なのである。　しかも、バーチャルには国境がない。畢竟、グローバル化する。　もう少し分かりやすく云えば、英国による産業革命で人間は手と足を外部化してきたのだが、今やＡＩによって人間は脳を外部化し始めたのである。　ところが、日本は旧態依然の手足の外部化にこだわり、旧態依然の体制のまま旧態依然のモノづくりに専念し続けてきたのである。　こういうふうに世の中の流れを読み違えていると国は転覆してしまうよなぁ。　日本の「政治は二流だが、経済は一流」と云われた時代はとっくに去り、おいらたちが歳を取っている間に「データ」「バーチャル」「グローバル」によって政治も経済も日本は三流に落ちぶれてしまったのが今の現実である（この項続く）。

  February 11, 2022

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  歳など取るものではない。世の中はすでにこうなっている（前編）

  歳など取るものではない。世の中はすでにこうなっている（前編）「歳を取る」ということがどういうことか、ということを如実に表すデータがある。　１９８９年（平成元年）の「時価総額上位ランキング」である（上の表。日経より転載）。　ここで個人的なことを述べれば、おいらは昭和２５年（１９５０年）生れなので、１９８９年当時は３９歳の働き盛りであった。某一部上場企業の管理職であり、微力ながら世の中の一端を動かしているという気概を持ち合わせていた。　客観的には、バブルが崩壊し始めるのはその２年後の１９９１年からであり、世の中はまだブイブイ云っている時代であった。　それはさておき、上の表から分かることは（２０１９年と少し前のデータではあるが）、日本企業のトップはトヨタの４１位でしかなく、今や上位２０位までに日本の企業が全くいなくなったことである。　平成元年には上位２０社中１４社が日本社であったことを考えれば、世の中はハッキリと変わったのである。　これを、経済界トップである小林喜光氏（経済同友会元代表幹事）は、月刊「文芸春秋（２０１９年４月号）」の誌上で「平成の三十年間を振り返ると、日本にとっては『敗北の時代』だったと言えます。私がさまざまな場面で『敗北』と明言すると、周りは大騒ぎになるのですが、これは紛れもない事実であり、真摯に受け止めなければ日本の再起はあり得ません」　と述べているとおりである。　要するに、おいらたちが働き盛りであった平成３０年間の時代に日本は沈没したのである。　だが、経済の規模だけでは片手落ちなので、これをほかのデータで見てみよう。　スイスＩＭＤの世界競争力ランキングでは、日本は平成元年では堂々たる世界１位であったが、平成３１年には３０位に転落した。　また、購買力平価でみたＧＤＰは、日本の世界に占める割合もピーク時の９％から４％に半滅している。　おいらたち日本人は、かつて世界に誇った経済的豊かさを今や確実に失っているのである。　日本は、昭和後半に「ジャパンアズナンバーワン」（社会学者エズラ・ヴォ―ゲル、１９７９年の著書）と称賛され、その後、平成にうつつを抜かした結果がこれである。　では、なぜこのように日本の経済は弱くなったのだろう。　それは、おいらたち団塊の世代、いや、それよりも年寄りの世代、今で云う後期高齢者たちが無為に過ごしてきた結果なのだろうか（この項続く）。

  February 9, 2022

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  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（後編その５）

  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（後編その５）　それでは、２０２２年「おいらの年賀状大賞」敢闘賞の発表である。　５点の敢闘賞を考えていたが、今回は４点の敢闘賞とする。そのうち２点が初受賞である。　まずは、シード作品のＨさんの作品から。　今年の干支が虎なので、タイガースと天敵のカープというユーモア溢れる賀状である。　Ｈさんは、１２年、１７年の２回年賀状大賞入賞という輝かしい成績である。　そこで、今回は１７年に入賞された作品を掲載する。　続いて、２０年の敢闘賞に引き続き、今回も敢闘賞のＫさんの作品　このブログでも紹介しているＫさんは、山中湖に自宅山荘をお持ちであり、その自宅山荘から観た富士山である。　富士は毎日顔を変える。その二度と同じ顔をすることがない富士が山荘の窓を開けると毎日、アップで観られるのである。贅沢！　前回２０年の敢闘賞の富士がこれ。　さて、敢闘賞の３作品目は、今回初受賞のＭさんの作品。　前回も書いたが、水墨画の名手であられる奥様の手によるものと思われる。文句なしの敢闘賞。　敢闘賞の最後は、これも初受賞のＹさんの作品。　　　Ｙさんとは同じ会社の同期であり、同じ釜の飯を食った間柄であるが、カメラが好きだとは知らなかった。この写真も一目観たら、もう一度観たくなる作品である。　以上で、２０２２年の年賀状大賞を終える。今年も力作揃いであった。来年の年賀状が今から愉しみである（この項終わり）。

  February 7, 2022

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  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（後編その４）

  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（後編その４）　それでは、２０２２年「おいらの年賀状大賞」の入賞作品発表である。　まずは、Ｓさんの「橋本の干し柿」。　惜しくも年賀状大賞を逃した作品であり、Ｓさんの入賞は当然である。　Ｓさんの入賞を心より嬉しく思います。　続いて、前回も入賞されている広島在住Ｏさんの作品。　シード対象であり、大賞候補としても問題ないと思うのだが、実は、昨年の作品（写真下）の方が完成度が高いように思う（ただし、これには好き好きがあると思うのでご容赦願いたい）。　そうは云っても、今回の作品が力作には違いない。入賞に全く問題なし。　Ｏさんの写真については、毎回云うのだが、本当に重みがある。おいらは思うのである。来年こそは、年賀状大賞を期待しています。　Ｏさんも入賞おめでとうございます。　入賞作品の最後は、Ｓさんの作品。　２０１３年に「カワセミが飛び立つ」で入賞、昨年も「カワセミと南天」で佳作入賞しておられるが、今年の作品は特に構図が良いと思う。　文句なく入賞であり、Ｓさんの来年の年賀状もまた愉しみです。　Ｓさん、入賞おめでとうございます（この項続く）。

  February 4, 2022

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  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（後編その３）

  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（後編その３）「柚木惇２０２２年年賀状大賞」の３点目は、大賞候補作３番の水墨画「西善寺」（橋本喜八氏）である。「なかなかの水墨画である」と前回書いたとおりである。　さて、橋本喜八氏をネットで調べたが、検索できなかったので、おいらの菩提寺に連絡を取ってみた。　作者のことを聞いてみたのである。　ご住職のお話しによると、大崎上島（同じ広島県内）で菩提寺の遠縁にあたるお寺の門徒さんだという。つまり、橋本喜八氏は大崎上島在住の水墨画の愛好家ということである。しかし、これだけの腕前である。セミプロと評してよいだろう。　この水墨画、畳半畳ほどの大きさで額装してあるという。おいらの菩提寺の境内に飾ってあり、誰でも鑑賞可能という。　今年、コロナが治まったら母の七回忌を菩提寺で開催したいと考えている。だから、そのときに拝見させていただけると思うと今から愉しみである。　皆さんの大賞受賞おめでとうございます。３作品とも素晴らしい、の一言である。　以上で、今年の年賀状大賞は終わりである。　ところで、惜しくも大賞受賞を逃したのは、大賞候補作４番の「橋本の干し柿」である。　前回も書いたが、これが大判に引き伸ばされて額に入っていれば間違いなく大賞受賞である。　しかし、年賀状なので写真の掲載の仕方には、人それぞれの考えがある。これはすなわち年頭にあたり、メッセージと写真のどちらを優先するかという問題である。Ｓさんのお考えは、恐らくメッセージ優先なのだろう。ただ、これは作者の心の領域の話しなので何とも云えない。　年賀状大賞の発表は以上で終わりだが、入賞３点と敢闘賞５点が残っている。次回は、それを（この項続く）。

  February 2, 2022

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  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（後編その２）

  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（後編その２）　それでは、「柚木惇２０２２年年賀状大賞」を発表する。　今年は、実力派揃いである。選定に随分と迷ったが、３点を「柚木惇２０２２年年賀状大賞」としたい。「柚木惇２０２２年年賀状大賞」の一番目は、大賞候補作1番の星加海さんの作品。　ノミネートで「文句なし」と書いたとおりである。絵に迷いがない。版画の彫りの線が躍動している。刷りの質感も抜群。このまま額縁に入れておきたいと思う作品である。　ところで、彼女はこれまで３回大賞を受賞している。それがこれらの作品である。　第１回（２０１２年）　第２回（２０１７年）　第３回（２０１９年）　いやはや、いずれも唸るばかりである。　おっと、今年は一皮むけたかのぅ。　今後も大化けを期待したい星加海さんである。「柚木惇２０２２年年賀状大賞」の２点目は、大賞候補作２番の濱田慎吾さんの「冬の横浜港」。　２０１９年に続いて二度目の大賞受賞である。　この絵、写真では少し見づらいかも知れないが、右下に「20.1.2　横浜港ハンマーヘッド地区」とサインがある。まだ、コロナが猛威を奮う前の作品だと分かる。　この水彩画を観ていると、ふっとこの絵の中に吸い込まれてしまいそうな気になる。画面右の並木道をおいらが歩いているのである。　濱田さんも前回（２０１９年）の受賞を掲載しないと片手落ちである。　静寂の美。　手元にこういう趣のある葉書があって、それをいつでも鑑賞できるというのは、ある意味で至福である（この項続く）。

  January 31, 2022

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  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（後編その１）

  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（後編その１）　いよいよ「柚木惇２０２２年年賀状大賞」の発表である。　例年なら、大賞発表の前に選外佳作を発表するのだが、今年はそういうケチなことはしない。大賞から発表するので、今回はそのノミネート作品４点を紹介する。　それでは、大賞候補作1番。　星加海さんの作品。文句なしである。　大賞候補作２番。　アマチュア実力派ナンバーワンの濱田慎吾さんの作品である。いつものグリーンと違ってブルーの基調が冴える。　大賞候補作３番。　菩提寺の墨絵である。何度観ても飽きない。作者をネットで調べたが、検索出来なかった。墨絵を趣味とする地元の画家かも知れない。今週末にも菩提寺に作者を確認する予定である。　大賞候補作４番。　橋本の干し柿である。これが大判に引き伸ばされて額に入っていれば相当の迫力があるとみた。　それではいよいよ来週、以上４点の内から「柚木惇２０２２年年賀状大賞」を発表したい。いずれの作品が受賞するか、乞うご期待（この項続く）。

  January 28, 2022

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  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（中編その２）

  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（中編その２）　続いて入賞候補の４作品である。　まずは、Ｓさんの作品。Ｓさんは１６年に敢闘賞、１８年には準年賀状大賞受賞の実力派である。　フットワークのいいＳさんは、これまで海外（しかも、ニッチな海外。例えば、１６年はボリビア。１８年はミャンマー）の写真などが中心であったが、今年はコロナの影響もあって国内の和歌山県橋本市である。橋本は、柿の名産地だから干し柿の絶景だと思う。　実は、Ｓさんは広島時代に大変お世話になった、おいらの元上司である。体育会系のお方ではあるが人情味溢れ、しかもセンスがよい。写真の腕前は、プロ並みである。　余談であるが、広島時代の仕事場は人材が揃っていた。トップがユニークなＨ本部長。その補佐がＳさんであった。その二人を固める役割がＫさんとおいらであった。　人事の妙と云えば、Ｈ本部長とおいらが型破り派。ＳさんとＫさんが堅実派で、この４人のチームは絶妙のバランスが取れていた。　この中で、Ｓさんは名番頭であった。おいらはややもすればＨ本部長からおだてられて図に乗りやすかったのであるが、Ｓさんから上手く手綱を取ってもらえたのである。今でもそのことについては感謝している。　さて、今回の賀状であるが、写真をもう少し大きくしていただければベストではなかっただろうか。だが、立派な芸術作品である。　続いて、入賞作品に初めてノミネートされた作品を３点紹介する。　まずは、山中湖に山荘をお持ちのＫさんの作品である。　Ｋさんについてはこのブログで何回もカキコさせていただいているので詳細は触れないが、おいらが新潟時代に同じ釜の飯を食った大先輩である。　フリーページ「人生の達人」にＫさんのことをカキコしているが、その一部を再掲すると、「おいらは生意気盛りの新人時代、新潟で５年間を過ごした。このブログでも書いているが、上場企業の本社採用で入社してすぐの６月定期異動で縁もゆかりもない新潟支店に配属されたのである。昭和４８年のことであった。　えっ、どうして新潟なのと一時は思っただにゃぁ。　辞めようかとも考えたのだが、おいらの持って生まれた好奇心がむくむくと湧き、新潟を探検したいと思ったのだがこれが大正解であった。　そこは梁山泊だったのである。　言葉を変えると、生ける動物園であった。珍獣、猛獣、肉食獣、草食獣なんでもござれであった。　新卒のおいらにとっては刺激が強すぎたが、これほど人生の勉強をさせてもらえた環境はなかった。　おいらは、がむしゃらに仕事を覚え（これが一番）、酒と色の世界を教えてもらい（これが二番）、人生の基礎をこの支店で学んだような気がしてならない。　時代は昭和５０年代に突入しようとしていた。高度経済成長時代まっさかりである。　そういうときにＫさんが首都圏からおいらの上司として赴任されたのである。おいらが４８年入社、Ｋさんは４２年入社の６歳年上であった」　そういう大先輩の写真である。　続いて、Ｍさんの作品。奥様が水墨画の名手であられ、恐らくその奥様の手によるものである。　Ｍさんともお付き合いが永い。Ｍさんのことについては、紙数がいくらあっても足りない。また、別の機会に。　最後に、これも初めてノミネートされたＹさんの作品。　Ｙさんは同じ会社の同期であり、彼ともまた永い付き合いである。この写真も唸る（この項続く）。

  January 26, 2022

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  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（中編その１）

  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（中編その１）　では、続いて入賞候補作の発表である。　今年の入賞候補作品は７点とし、その中から入賞作品３点を選び、惜しくも入賞を逃した作品の中から数点の敢闘賞を選ぶものとする。　では、入賞候補作品のトップバッター。まずは、おいらの菩提寺の作品。　水墨画「西善寺」（橋本喜八氏）である。　なかなかの水墨画である。　実は、昨年の菩提寺の年賀状「慈光照護」も佳作入賞としたが、その一部を再掲すると、「この写真、あえて逆光で撮った作品と気付くまでに少し時間がかかった。　親鸞聖人の像が菩提寺の境内に建っているのだが、その聖人像に光がさしており、あたかも親鸞聖人自体に後光がさしているように観える。　記憶に残る年賀状である」　としている。今年の年賀状も記憶に残りそうである。　続いて、会社時代においらの戦友であったＮさんの作品。Ｎさんは、昨年敢闘賞を受賞している実力派である。　Ｎさんに水彩画の趣味があることは知っていたが、こうして毎年、自筆の水彩画を年賀状にしていただけるのは嬉しいことである。　年々腕前が上がっておられるように見受けられるが、さて、今年はどうだろうか。　入賞候補作品３作品目は、こちらも会社時代に同じ釜の飯を食ったＳさんの作品。　写真が趣味で、特にカワセミを撮るのが巧い。　２０１３年に「カワセミが飛び立つ」で入賞、昨年も「カワセミと南天」で佳作入賞している実力派である。彼の堅実な仕事ぶりが思い出される。　今年の写真もカワセミがいい。特に構図がいい。　昨年は、写真が少し窮屈ということもあって入賞を逃したが、今年の作品は何度観てもあきないのぅ（この項続く）。

  January 24, 2022

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  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（前編その３）

  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（前編その３）　今年の年賀状大賞のシード作品を引き続き、紹介する。　まずは、２０１９年の大賞受賞者である濱田慎吾さんの作品「冬の横浜港」（写真上）である。　今年の賀状もクールな色を基調とした静寂の美である。　思い出すのは、過去の賀状「三渓園」に濱田さんが書かれていた添え書き「荷風忌の夜は存分遊ぶべし」（角川春樹）である。　こういう秀逸な句をさりげなく賀状に書かれるセンスの良さが濱田さんにはお有りになるのである。　このまま濱田さんの年賀状をおいらが集めていくと、それだけでミニ個展が開催できそうである。今後が愉しみ！　続いて、旧友でもある、セミプロの漫画家Ｈさん。　Ｈさんの現在の本業は、第二の人生で司法書士である。現役時代からのＨさんの仕事の関係でおいらとは古くからの飲み仲間である。　そのＨさんは駄洒落が得意で、それ以上に漫画の実力はセミプロ。現在も某労働組合機関紙に４コマ漫画を連載しておられるほどの実力派である。　Ｈさんの年賀状は毎年、干支と乾杯であり、今年も期待を裏切らない。虎年の代表がタイガースだとすると、天敵のカープも欠かせないという、ユーモア溢れる賀状である。　さて、本日の最後は、前回入賞のＯさんの作品。広島在住でおいらの親友である。　そのＯさんを今年からシード対象とした。Ｏさんは、写真撮影の実力派だからである。　Ｏさんの写真は、その写真を撮る視点がいいのである。視点と云ってもそれは単なる構図やテクニークのことではない。Ｏさんの全人格である。人生で培われた教養や生き方が写真にほとばしるのである。　だから、Ｏさんの作品には重みがある。そして、考えさせられる。　今年もそういう作品である。　それでは、次回からいよいよ敢闘賞３作品の発表である。

  January 21, 2022

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  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（前編その２）

  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（前編その２）　それでは、今年の年賀状大賞もシード作品から紹介する。　トップバッターは、大賞歴３回の星加海さんの作品から。　今年の作品は、手掘りの版画作品。青一色が光る。　昨年は文楽人形であったが、今年はギリシャ神話のアポロン（だと思う）。　海さんは神話が大好きなのである。だから、この版画は海さんの真骨頂である。おいらは正月から嬉しくなっちゃうのである。　続いて、同じく大賞歴３回の映画評論家Ｓ氏の作品である。　Ｓさんの年賀状は毎年自筆の彩色年賀状で、今年の年賀状もスゴイ。毎年、Ｓさんから元気をもらうのである。　さて、今年の年賀状は、映画界のレジェンド、クリント・イーストウッドの新作「クライマッチョ」が題材である。　クリント・イーストウッドは１９３０年５月生まれだから、現在９１歳。９１歳で最新作の監督、主演を務める凄さ。７１歳ではない、９１歳だよ。おいらも負けてはいられない。　シード３人目は、大賞歴１回の鈴木理夫さんの作品の予定であったが、奥様がご逝去されたため今年はお休み。奥様のご冥福をお祈りします。　特例として今年は、昨年の鈴木さんの作品（写真上）を紹介する。鈴木さんの十八番である屋根瓦からこちらを観ている風景。ほのぼのとした鈴木理夫さんワールドの炸裂である。　いやぁ、今年も力作揃いである。次回も引き続きシード作品の発表とする（この項続く）。

  January 19, 2022

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  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（前篇その１）

  ２０２２年「おいらの年賀状大賞」の発表（前篇その１）　今年もおいらの年賀状大賞である、恒例の「柚木惇年賀状大賞」を発表する。　この「柚木惇年賀状大賞」とは、今年おいらに届いた年賀状の中から素晴らしいと思った年賀状を勝手に表彰することである。　残念ながら、年賀状大賞の賞品は何もない。ただ、単に、おいらから「年賀状大賞」として褒められるだけのものである。何のこっちゃ（フリーページ「おいらの好きなもの『柚木惇年賀状大賞』」参照）。　さて、昨年の年賀状大賞は２作品であった。映画評論家Ｓ氏の「パピヨン」とＩさんの「ウエットスーツに身をまとわれたご本人の雄姿」の２作品の作品である。　Ｓさんの年賀状は毎年自筆の彩色年賀状で、昨年の年賀状もスゴイ。スティーブ・マックィーンの映画「パピヨン」を題材にしている。　分断を代表する国は何と云ってもアメリカであるが、今よりもっとひどい時代があったのである。そのときの映画脚本家ドルトン・トランボを取り上げ、コロナを吹き飛ばそうという素晴らしい年賀状である。年賀状大賞に相応しい。　続いて、Ｉさんご本人自身が写られた年賀状。　最初は何の写真か分からず、「何じゃこりゃ」と思ったが、これがウエットスーツに身をまとわれたご本人の雄姿であると気付くと唸った。　Ｉさんはもともと釣りがご趣味であられたが、それが高じて共同漁業権を取得、さらに小さな漁船まで所有され、海底でのサザエやなまこ採りなどをされるなどの羨ましい日々である。　こういう余生もあるのである。文句なしのご入賞！　おいらは、いい先輩や友人に囲まれて幸せである。　さて、今年の年賀状大賞の入賞枠は、大賞を１点、入賞を３点、敢闘賞を５点とした。　ところで、これまで入賞した人たちからは今年も素晴らしい年賀状をいただいた。そこで、これらの人々については５点をシード枠（特別枠）として認めることにした。　そして、入賞、敢闘賞、シード枠の中から大賞を選定したいと思う。　それでは、さあ、いよいよ今年の年賀状大賞の敢闘賞、入賞、大賞を順次発表する。皆さまお愉しみに（この項続く）。

  January 17, 2022

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  新宿の路上観察（後篇）

  新宿の路上観察（後篇）　歌舞伎町に呑みに行くと、この東宝シネマビル（昔の「新宿コマ劇場」と「新宿東宝会館」）の北側から風林会館まで続く「風林会館通り」を外すわけにはいかない。　新宿区役所通りと交差するこの通りを路上観察する。　まずは、かの有名な「ACB（アシベ）会館」（写真上）。ここはジャズで有名だが、知る人ぞ知るビリヤード会館でもある。写真にも「４Fビリヤード」と銘打ってあるのが分かる。　なぜビリヤードのことを書くかというと、会社時代に上司に誘われ一時期ビリヤードをやったことがあるからである。　映画「ハスラー」を持ち出すまでもなく、ビリヤードは奥が深い。　あれは幾何（つまり頭脳）と技術力と集中力の集大成である。おいらのビリヤードは全くモノにならなかったが、その面白さに触れたことは人生に一つ彩（いろどり）を与えたと自負している。　少し歩くと、ここにもアパホテルがある。　トーヨコにもアパホテルがあったが、同じ新宿の至近距離にあったので少々驚く。アパホテル、恐るべし。　風林会館をめざす。　左手に、歌舞伎町ならではのホストの看板。　右手のビルも同様。眩暈（めまい）がしてきた。　風林会館手前のビル。キャバクラの宣伝看板のようだ。　歌舞伎町のランドマークタワーの一つである風林会館に到着。　おぉ、懐かしいのぅ～。　区役所通りに出れば、やはり新宿区役所である。歴史を感じる趣のあるビルである。　青梅街道に出ると目の前にピカデリーが観えた。待ち合わせの時間が近くなったのでここで新宿の路上観察はオシマイ。　さて、新宿は、おいらの故郷である。人生が「仕事と伴侶」であれば、その仕事の大半をおいらは新宿で過ごした。新宿は知り尽くしていたつもりでいたが、こうしてみると新宿は生き物であり今もその姿を変容させている。永井荷風が今の新宿を見たらこう云うに決まっている。「新宿ではない」　久しぶりの新宿、久しぶりの歌舞伎町にお付き合いいただき、諸兄に謝する（この項終わり）。

  January 14, 2022

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  新宿の路上観察（中篇）

  新宿の路上観察（中篇）　地上通り抜け通路を出ると、新宿東口「アルタ」が頭上にそびえる。　右手には、新宿駅東口。旧態依然のビルである。しかし、このビルの地下街は変わった。地下に東口と西口を結ぶ大きな幅の自由通路を昨年造ったのである（これは革命的であった。この話しは、別の機会に譲る）。　駅東口に立つと、目の前が新宿通りである。左側を望むと西武新宿駅（プリンスホテル）が見える。　右側にはビックカメラ。この先に紀伊国屋書店や伊勢丹がある。　この前の通りを真っ直ぐに向かうと歌舞伎町の入口である。　青梅街道に出る。歌舞伎町の大看板が目に付く。　横断歩道を渡る前に左側を見る。プリンスホテルが見え、左側奥に新宿大ガード。その先が新宿西口である。　右側は四谷方面。ドンキビルが鎮座している。　歌舞伎町大看板をくぐる。　歌舞伎町は健在である。こういうカフェが目立つ。　ゴジラで有名な「新宿東宝ビル」（東宝シネマ）交差点前。　東宝ビルの西側広場が東宝（トーホー）の横（ヨコ）に当たるのでここは「トーヨコ」と若者の間で呼ばれている。　北西部分にアパホテルもある。　トーヨコの話しに戻る。　最近のトーヨコは夜間、行き場のない若者のたまり場になっているという。この写真を撮ったときの時刻は午後５時前なのでまだ閑散としていたが、年末とあって、補導警察官や役所関係の見回り組が目立った。　トーヨコ広場西側から東側を望むとこういう景色である。　手前中央の若い女性はずっとこの姿勢のままスマートホンを操作していた。このあとどういうシーンが展開したのだろうか。想像力豊かなおいらの読みは…（次回後篇は、新宿好きにはたまらない風林会館や新宿区役所通りなど）。

  January 12, 2022

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  新宿の路上観察（前篇）

  新宿の路上観察（前篇）　年末に新宿界隈の路上観察が堪能できたので、その写真（最もナウな新宿）を数回に渡ってお披露目しようと思う。　おいらはその昔、新宿本社の某企業に勤務していたのである。新宿西口の高層ビルであり、毎日都心から新宿に通った。　新宿駅でJR山手線を下車し、西口地下街から地下通路を伝わるのが当時の日課である。だが、当然のことながら地上から移動することも多くあった。　だから、現在の西口地上風景を見ても懐かしい（写真上）。写真からは分かりづらいが、安田生命ビルがなくなっている。　当日は一時間弱の時間余裕があったので、久しぶりに新宿の地上西口から東口まで歩き、返す刀で歌舞伎町界隈も路上観察したので、気付いたことを書く。　小田急百貨店（写真右側）に変わりなし。　西口ロータリーの交差点から高層ビル群を望む。この混雑感がいい。　東口地上通り抜け通路前の交差点。旧青梅街道の標識がある。この標識、昔はなかったように思う。　通路手前の左側がご存じ呑兵衛の溜り場「思い出横丁」。かつて大規模火災があったが、焼失を逃れた店が現在も元気に営業している。　中を覗くとトイレの看板がある。この看板も昔はなかった。　午後４時半ごろだが、すでに盛り上がっている。これでなければ思い出横丁ではない。コロナが流行る前にこの場所を探訪したときは（三年前ごろ）、バックパッカーの白人観光客で満員だったことを思い出す。感慨深い。　友人との待ち合わせ場所は東口なので、残念ながら西口はここまでとし東口に向かう。　地上通り抜け通路は、今も昔と同じである。　この項「中篇」に続く。

  January 10, 2022

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  当面、気がかりなこと

  当面、気がかりなこと　新年早々、オミクロン株が爆発のようである。　昨年１１月以降、国内ではコロナが収まったかのように見え始め、過去の例では百年前のスペイン風邪も足掛け２年で収束したこともあり、世相が落ち着いてきたばかりであった。　しかし、オミクロン株が主流となる第６波は劇的に様相が変化する可能性があるという。　おいおい、先祖返りじゃのう。海外、特に一度は完全に鎮静化した豪州さえも今や感染大爆発である。　これでは、リスク管理上、再び外出するのは避けた方がよさそうである。君子、危うきに近寄らず。　もう一つ、気にかかること。　日本経済の先行きであるが、その端的な表れとして日経平均がどう推移するか、である。　日経元旦紙上の予測では、ばらつきがあるものの今年は３万円以上、中には３５，０００円になるという強気が目立つ（昨日の終値は２８，４８８円）。他方で、森永卓郎氏のように現在の状況はバブルであり、半値近くまで下がるという予測もある。　一般論で云えば、３万円以上という予測はコロナが鎮静化し、地政学リスク（ウクライナや台湾、北朝鮮問題など）や天変地異（大地震など）抜きの前提であるので、不透明ということに変わりはない。　昔は「一葉落ちて、天下の秋を知る」ということもあったが、時代は多重連立方程式である。　そうだとすると、これでは政治の世界と同じで経済も「一寸先は闇」と変わりがない。　２０２２年も「リスクをどう取っていくか」という判断に迫られることになりそうだ。

  January 7, 2022

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  新春雑感

  新春雑感　新年ではあるが、依然としてコロナがオミクロン株と名前を変えてしぶといので、新春と云い替える。　初詣は、自宅にほぼ隣接する神社（おいらは氏子である）で「カウントダウン」直後に済ませておいた。　例年であると片田舎の神社であっても参拝客が目立つのだが、今年も昨年同様閑散としている。寂しい限りである。　今年の正月も、この初詣以外は何もしない。　だが、正確に云うと自宅から歩いて２分のところにコンビニがあり、元旦の新聞を購入する。今年は日経と神奈川新聞にした（おいらは産経を愛読している）。　社会、経済の今年を占うには、元旦の新聞が貴重である。日経と産経の特集には読み応えがあったが、昨年の朝日の元旦の特集記事が面白くなかったので、今年は地元の神奈川新聞にした。　神奈川新聞は、横浜ベイスターズの特集があったりしてことのほか面白い。思い出すのは、中国新聞である。元旦はカープ特集があり、スポーツ新聞顔負けである。カープファンにはたまらない。新聞を変えるのは新鮮である。　さて、今年も毎年恒例の禁酒を元旦から実行している（二週間の断酒）。「二週間の断酒で胃腸と肝臓をリフレッシュさせるのである。　本日で５日目である。正月なのに一滴も呑まない。　このシステムを始めてもう何年になるだろうか。正月から禁酒というのは慣れているので全く苦にならない。　禁酒のコツは特にない。強いて云えば、酒を呑まないとテキメンに翌朝吐く息が透き通ってくるのでそれを愉しみにすることである。　また、禁酒を数日間続けると禁煙したときの経験と同じように、今度は逆に酒を呑むのが怖くなる（概ね一週間でそうなる）。そう感じるようになれば、後はずっと断酒が可能である。　しかし、それでは人生の愉しみが一つ減ることになる。酒は一生呑みたいと思うので、この断酒の期間は二週間が丁度良い。　それを今回に当てはめると、もともと年末は猛烈に呑むので、今年はコロナのせいで年末呑んだ酒量はしれている」　と、「」内の文章は昨年の新春にカキコしたものだが、今年もこの内容に変更はない。　加筆すれば、禁酒が苦とならないので今年は久しぶりに週二日の休肝日を復活させようかと考えている。最近は、コロナの関係もあって休肝日が週一回程度に減少していたからである。　そして、生活習慣については夜更かしを改め、早朝を小説執筆の時間に当てようとも思っている。　小さなことであっても何事につけて新しいことにチャレンジしてみたい。そういうことを考えている新春である。

  January 5, 2022

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  年末につき、おいらの今年の５大ニュース

  年末につき、おいらの今年の５大ニュース　いよいよ今年最後のブログである。　そこで、今回は年末につき、おいらの２０２１年の５大ニュースを発表する。　普通なら１０大ニュースとするところだが、個人の立場でしかも一年間ではそんなに大きなニュースなどないだろう。５大ニュースというところが妥当だと思う。　ところで、年末でなければ、こういう酔狂なことを考えたりはしないので、諸兄も一度お考えになられると面白い。　では、第１位　何と云っても、５年ぶりに小説執筆を再開したことである。諸般の事情があって休筆していたが、おいらも７０を超えて再び書きたいという意欲がメラメラと沸いてきた。ライフワークを完成させなければ死にきれない。　第２位　オンライン飲み会の定着。コロナは、生活様式を変えたのである。　第３位　体にガタがきたことである。日本人男性の平均健康寿命は７１歳（正確には、７０．４２才）。ま、古希を過ぎればどこかに病気が出てくるわな。おいらも今年は帯状疱疹になるわ、大腸ポリープの切除をするわ、ギックリ腰が再発するなど受難続きであった。そのうち病気の総合デパートになるに違いない。　第４位　山の名義を５０年前に亡くなった父親からおいらの名義に変更したことである。一旦整理ができた訳だが、山の管理をどうするかという問題は依然残っており、頭が痛い。　第５位　８月に断髪したことである。肩まで伸びていたが、コロナも下火になったので美容院に出向いた。断髪の前に写真を撮りまくったのであるが、今その写真を観るとよくもまあこんなに伸ばしていたものだと感慨深い。　番外　アイホン１２に機種変更したことと時計をアップルウオッチにしたことである。アップルウオッチは革命的である。もう元には戻れない。　ま、いろいろあったが、大過なく過ごせた一年だったと思う。引き続き、余生を大切にしていきたい。　新年は、５日からブログ再開の予定です。それでは皆さま、良いお年をお迎えください。

  December 29, 2021

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  「三年日記」

  「三年日記」　年末となってやっと慌ただしくなってきた（写真は横浜ニューグランドホテルの内庭）。　年賀状も明日までには出状したいので、昨夜やっと原稿が完成した。今日と明日とで完成させようと思っている。　それで昨年はいつ出状したか調べてみると２７日である。　その前の年は２８日。　いずれも過去の手帳を調べて分かったことだが、こういうときに思い出すのが母の「三年日記」である。　母は長年、日記をつけており、晩年は「三年日記」にしていた。　昨年と一昨年の今頃はどうしていたかが分かるから便利だと云っていた意味がよく分かる。　おいらの場合は、その役目を果たすのが手帳である。　昨年の手帳で今頃を調べてみるとコロナの第４波真っ盛りでどこにも出歩いていないことが分かる（イベントは、年末の「吉田類さんのオンライン句会」に参加したのみ）。　また、一昨年の年末年始は高齢の義理の母がまだ広島に独りで住んでいたので、愚妻が帰省しており、正月はおいら一人でのんびりとしていたことが分かる（母は昨年こちらに引き取り施設に入居）。コロナ以前の時代は、帰省が自由であったことが分かる。　翻って今年の年末は、オミクロン株で再び帰省を自粛しようという動きが出ている。岸田首相も地元の広島には帰らず、オンラインでの帰省会合とするようだ。　それでおいらももう４年広島に帰省していないことに気付き、広島の親友Oさんと今夕、オンライン飲み会を開催する。広島の空気を久しぶりに味わえることが出来ると思うと嬉しい限りである。　こうしてみると帰省の仕方もオンラインで済ませるように変わるのではないかとも思われるが、おいらの田舎の親戚は高齢者ばかりでスマホやパソコンなどには全くの無縁である。そうとも行かないのが難儀な世の中である。　やれやれ。　なお、今年のブログの最後は年末２９日とし、再開は新年1月５日からを予定しています。どうぞよろしくお願いします。

  December 27, 2021

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  年末年始だというのに

  年末年始だというのに　年末である。　今年も、後、一週間である。　だが、どうもその気にならないのである。現にこの原稿を書いている２３日の夜でさえ、年賀状をまだ書いていない。　これは一対どうしてだろう。　年末年始が普通の月末になっているような気がするからだろうか。　たしか、数年前までは１２月２３日が天皇誕生日で休日であったはずだが、それもなくなり、街に出ないためクリスマスソングも聞こえてこない。　いやいや、それとも、おいらがジジイになって感度が鈍くなったのだろうか。　考えてみれば、ひと昔前の正月の三が日は、全国一斉に休業していた。時間が見事に止まるのである。それが日本の正月であった。　しかし、今はコンビニを始めとして元旦も休まない店ばかりである。ただ、大手百貨店やスーパーはコロナのせいなどもあって、元旦と二日を休むところが出ている。　それにしても、である。　日本の文化は、こうしてなしくずし的に無くなっていくのであろうか。　おいらの知っている日本は、年末になると何事も一旦一区切りにし、年が明ければ、正月を祝う。そして、新年は年だけではなく、心も新たにするのである。　そういうしきたりもいつのまにか、遠野物語になってしまうのかも知れない。　ゆゆしき話しだが、時代の流れというのは残酷である。

  December 24, 2021

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  やはり旧友との忘年会は、よいものだ

  やはり旧友との忘年会は、よいものだ　本来、今日のブログは、東京のど真ん中、新宿界隈の現在の写真をお披露目するつもりでいた。　例えば、上の写真は、今をときめく新宿歌舞伎町の「トーヨコ」（「東宝シネマ新宿」の横）である。行き場のない未成年者のたまり場として、社会現象までになっている現場である。　先週、新宿界隈の路上観察が堪能できたので、その写真（最もナウな新宿）を数回に渡ってお披露目しようと思っていたからである。　ところが、昨夜、久しぶりに旧友二人とオンライン飲み会で再会した。それがことのほか愉快だったので、本日は、そのことについて書く。　既にこのブログで数回書いたが、昨年末から「○○会」という忘年会は絶滅した。見事に誰も誘ってこない。　他方で、おいらが幹事役を仰せつかっている大学の同期同窓会はオンライン会合として根付き、この冬もオンライン忘年会を開催することができた。　また、おいらに必然性のあるリアル忘年会は最少人数の集まりとして、先月末からこれまでに数回、新宿などで開催することができた。　ところで、問題は、４０年以上付合いのある旧友である。　同じ釜の飯を食った旧友は多数いるのだが、親友であるKさんと全オム連会長のMさんだけは別格である。人生の中で重みが違う。　そのお二方とももう２年近くお会いしていない。しかし、おいらが声掛けをしない限り、この年末も再び会えず仕舞いとなる。　そこで、急な話しであるが、オンライン忘年会のご提案をさせてもらったら、お二方からご快諾をいただき、３人だけの忘年会ではあったが、オンラインということを忘れるほど愉しい時間を過ごすことができたのである。　３人が共に自宅でくつろぎながら好きな酒を「家飲み」し、好きなことを云い合い、バカ話しに花が咲く。おいらは、今回のオンライン飲み会で久しぶりに酔っぱらってしまった。　新宿で開催することもできた訳だが、オミクロン株の脅威が待ち受けているかも知れない。また、関東で大地震が起きれば、時期が時期だけに３人とも帰宅困難者になるであろう。　そう考えれば、忘年会自体はバーチャルかも知れないが、酔っぱらうというのはリアルであり、こういう酔っぱらい方も捨てたものではない。　オンライン忘年会、ありである。

  December 22, 2021

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  藤田嗣治と張本勲の慢心（後篇）

  藤田嗣治と張本勲の慢心（後篇）　後篇で、やっと藤田嗣治の話しとする。　絵の虫のフジタは晩年まで時間があれば一日中、筆を外さなかった。彼に慢心はあったのであろうか。　花の都パリで苦労しながら名声を得たフジタである。　パリの歴史の中でフジタほどパリっ子を熱狂させたアーティストはいない。　それは絵の素晴らしさもあったが、彼が夜な夜なパリの歓楽街に神出鬼没し、彼自身をも売り込んだからである。　だから、慢心したとしても全くおかしくはない。　しかし、世界中のアーティストが集まるパリである。　メジャーリーグに例えてみれば、野球に腕の覚えがある若者は無限に無尽蔵に米国を目指すのである。そして、その中には超一流の技術を持つプレーヤーがいる。　彼らは、現状に甘んじているプレーヤーをいとも簡単に追い落とし、その座に座るのである。一握りではあるが、毎年超一流の選手が誕生し、慢心する選手を淘汰する。　その繰り返しがメジャーリーグを世界一の水準にいつまでも保たせているのである。　余談だが、現楽天監督の石井氏はかつてメジャーリーグで活躍していたときに、自分はチャレンジャーだと思っていたのは束の間、いつの間にか新人がウジャウジャ出てくるのを見て「これがメジャー」だと心底感じたという。　王様の頭の上には、剣がぶら下がっているのである。　フジタはそのことを熟知していたのである。だから、彼は酒を飲まなかった。博打もしなかった。乳白色を描く技法は誰にも分からないようにした。そして、技術の習得に毎日、切磋琢磨したのである。　そうしないと彼自身のいる場所があっという間になくなるのである。　では、女はどうか。５回結婚したフジタの女性観は一筋縄では行かない。これについては、話しが深くなりすぎるので、稿を改めたい（この項、一旦終わり）。

  December 20, 2021

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  藤田嗣治と張本勲の慢心（中篇）

  藤田嗣治と張本勲の慢心（中篇）　その張本の人生観が秀逸である。　ウイキペディアの話しを引用する。「スポーツ選手で、豪気・豪快・強気の人が大成功した例は少ないです。　やはり臆病で繊細で神経質な人のほうが成功する。イチロー、落合博満、長嶋茂雄、王貞治、金田正一も、みんなそういうタイプ。　豪快に見えているだけで、陰では毎日こつこつ練習しています。　豪気な人は、すぐできてしまう素質と力があるから『そんなもんすぐできるよ』と安心するし、油断するきらいがあるんですよ」と、張本は語っており、「我々みたいに小心者で臆病なやつは、不安だから毎日やる。その積み重ねが結局力になったんだろうと思いますね」　と、振り返っている。　また、張本によれば、「野球選手で一番大事なことは『自分を疑う』ことであり、例えその日に４打数４安打を記録したとしても、たまたまだと思って、常に自分を疑うことが大事だ」　ということを述べている。　これは、慧眼である。　思うに、スポーツだけではなく、音楽や美術など技術を必要とするものはすべからくこの箴言が当たっていると思う。　おいらが密かに好きな画家に「牧野邦夫」がいる。　彼もまた「一日十二時間以上描かなければ歴史に残る画家にはなれない」というルールを自らに課していた。　牧野邦夫は東京美術学校油画科に学び、伊原宇三郎、安井曾太郎に師事した。師の伊原宇三郎から一日十二時間と云われ、生涯教えを守った人物である。　余談だが、そういう画家の描いた絵をせめて年賀状でもいいから一枚でもそばに置いておきたいものと思っていたが、過日、直筆の年賀状をゲットし、今ではおいらの書斎の机の上で宝物になっている。　本物を目の前で手に取って見ることができるというのは、人生の愉悦の一つである（この項続く）。

  December 17, 2021

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  藤田嗣治と張本勲の慢心（前篇）

  藤田嗣治と張本勲の慢心（前篇）　人間と云うのは、どうも楽をしたがる人種のようである。　これを立川談志は「人の業（ごう）」と呼んだ。　植木等は、昭和歌謡史に残る大ヒット曲「スーダラ節」をレコーディングする前に、本当にこの曲を唄っていいのかと真剣に悩んだという。なぜなら青島幸男の作詞は無責任極まる「いい加減な」歌だったからである。　別の観点からは、おいらの知的好奇心を今でもくすぐってくれる佐藤優氏はそのことを「愚行権」として認めている。　なぜこのようなことを書くかというと、広島出身の不世出の打者、張本勲（現在でも韓国籍）のウイキペディアを閲覧していたら、おいらの琴線に触れたからである。　まずは、藤田嗣治のことから書こうと思ったが、それではつまらない。　憎まれ口を叩く張本勲（「アジアの張本」）と「世界の王」との話しから始める。　張本は、王貞治とプロの同期であり、しかも同学年であった。そして、ここが大事なことなのだが、お互いに出自が日本以外だったのである（張本は韓国、王は台湾）。　張本は、紆余曲折があって長嶋監督時代に巨人に入団する。その後は、王とともに巨人でクリーンアップを形成し、彼とは親友となる。実は張本が新人の頃は、張本の広島の実家に王が泊まったほどの間柄である。　さて、おいらが唸ったのは、ウイキペディアの次の項である。「（張本が）実績を残し始め、やや慢心が見えていた１９６３年（昭和３８年）のオールスターゲームでの打撃練習で、王が張本とは明らかにレベルの違う打球を連発していた。　張本はその打球を見て『何を俺は一流打者面をして甘ったれていたんだ』と改心したという。　ここで解説が必要なのだが、張本はそのとき入団５年目でありながら、すでにパリーグを代表する打者であった。おいおい、あのイカツイ顔をした張本がそのときの王のスイングを見てビビったのである。　なるほど、この世の中で慢心ほど怖いものはない（この項続く）。

  December 15, 2021

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  旧友再会、フォーエバーヤング

  旧友再会、フォーエバーヤング「旧友再会フォーエバーヤング」　云わずと知れた吉田拓郎の名曲である。　しかし、本日はこの曲のことではない。昨夕、おいらの大学時代の仲間とオンライン忘年会を開催したので、そのことを書く。　このブログでも再三書いているように、巷では飲み会が復活している。だが、８名という会合でもあるので、皆の意見も聞き、「君子危うきに近寄らず」に従い、今回もオンライン飲み会とした。　使うソフトは「ズーム」である。諸般の事情からおいらが幹事役を仰せつかり、パソコンを駆使しているのだが、「４０分サドンデス方式」（４０分経過すると自動的に終了する）は何とかならないものか。　おいらは、オンライン会合を日常的に使うヘビーユーザーではないのである。仲間内で３カ月に一回２～３時間程度近況報告をし合うユーザーである。　そういうオンライン会ならなら無料にしてもいいのではないかと思うのだが、如何だろうか（これを契機に頻繁に使うようになれば、有料で問題ない）。こういう観点から云えば、ズームは狭量だと云われても仕方がないと思う。　閑話休題。　それはさておき、このオンライン飲み会ほど愉しいものはない。　そこで、今回は、おいらが仲間に送ったメールの一部を掲載する。「毎回、思うのですが、皆さんのご尊顔を拝見しますと一瞬にして心は学生時代に戻ります。　学生時代、それも大学生の時代は青春の残り香がまだあり、当時は今生きていることへの疑問、未来への憧れと同時に不安、社会の矛盾への憤り、そして異性への興味など、ありとあらゆる問題が一気に押し寄せて来ていた時代のように思われます。　そういう時期に、気の合った仲間同士が同じ時代に同じ空気を吸い、映画「アメリカン・グラフィティ」ほどではないにせよ「ジャパニーズ・グラフィティ」の青春を皆でおくった訳ですので、この会合が盛り上がらない訳はありません。　ちょっと云い過ぎ？」　旧友再会、フォーエバーヤング。学生時代の友は、一生の財産である。

  December 13, 2021

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  飲み会はもう大丈夫なのだろうか

  飲み会はもう大丈夫なのだろうか　早いもので、もう師走も初旬が終わる。　歳を取ると、どうしてこうも時間が速く進むようになるのだろうか。　それはさておき、巷では飲み会が復活しているようである。実はおいらも先月から今月初めにかけて新宿などに複数回出かけている。　正直に云うと、昨夜も人生の恩師のようなお二方と新宿で旧交を温めた。　しかし、昨年の手帳を見ると、コロナ自粛で飲み会は１１月の末に一度出ているだけで後は全くの空白である。　それが今年は１１月に２度、そして今月は来週を含めると３度になる。　実際、新宿に出てみると、夜の世界はもう普通に戻っている。いや、これまでの反動からか昔よりも混雑しているという雰囲気である。　しかも、東京都は人数制限をこれまでの４名から８名に緩和したという。　では、世間での忘年会は元のように戻ったのか。　実はそうではない。報道などによれば、大人数の忘年会がなくなり、数名での忘年会が活況というのである。　なるほど、それなら合点がいく。　おいらのケースでも「〇〇会」というのが皆無になった。「○○会」の典型的なパターンは人数が十数名であり、その多くは座敷、しかも個室の場合が多い。ま、俗に云う宴会である。クラスターが発生するための会合と云われても仕方がない。　宴会は三密の権化のような飲み会だから、これは淘汰されるのは必然である。　ウイズコロナと云うのは、結局、こういうことを云うのかも知れない。気心の知れた少人数だけで飲むのである。よく考えてみれば、飲むというのはそういうことである。　時代は、はっきりと動いている。　だが、諸兄よ。それと「飲み会はもう大丈夫なのか」は、また別問題である。　第６波、どういう形でまた現れるのだろうか。

  December 10, 2021

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  低レベルだが云っておきたいこと

  低レベルだが云っておきたいこと　老夫婦の我が家では、何でも分業制である。　ひと昔前まではおいらが外で働き、愚妻が銃後を守るということにしていた。だが、おいらが退職した今は、お互いの物理的な負担を均等にするようにしている。　なぜなら、おいらが７０代前半、愚妻が６０代後半である。そうしないと共倒れになるからである。　幸か不幸か、おいらは大学時代から２０代後半までは単身、さらに４０代で海外単身赴任を経験しているので、炊事洗濯をすることに抵抗感が全くない。　だから、おいらは我が家の「皿洗い担当大臣」に任命されている。　ところで、愚妻から教示してもらったのが、ゴミの出し方である。　町内会のゴミの出し方には、お点前（つまり、ルール）がある。　瓶はラベル（昔は「レッテル」と呼んだ）を剥がして、裸のまま所定の日に出すのである。　おいおい、瓶のラベルを剥がすのかょ～　しかし、おいらの住んでいる温泉街のルールではそうなっているので仕方がない。瓶は、一晩流し台の中で水の中につけておく。そうして翌日、へろへろになった紙のラベルを剥がすのである。　これを経験したことがある人なら、「そうそう、ラベル剥がしはワインボトルで覚えているよなぁ～」である。貴重なワインのラベルは記念にもなるし、ネットオークションでも高価な値段がつくことがあるからである。　だが、ここで問題がある。　昔のレッテルはボトルに糊で単純に貼ってあったから簡単に剥がすことができたのだが、昭和も後半になってから化学糊に変わって簡単には剥がせなくなったのである。早い話しが、剥がそうとするとラベルが破れてしまうのである。　これは、まったく迷惑この上ない。　ところが、最近になって各自治体による環境改善の要望を満たすようになったのか、ラベルが剝がれやすくなったのである。メーカーも努力しているのだ。エライ！　さて、ここからがしょもない話しである。　おいらが好きなM屋の瓶詰「穂先メンマ」の話しである。これが実に旨い。で、おいらは完食したので、空になった瓶のラベルを剥がそうとするのだが、これが難儀だったのである。　恐らく化学糊で簡単には剥がれないように接着されているのである。ハイ、ソウデスカ。　瓶の中身が美味だけにこれだけは惜しい。M屋さん、瓶のラベルがスムーズに剥がれるように改善策をご検討ください。

  December 8, 2021

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