読書「新耳袋」
「新耳袋」 全十巻 (木原 浩勝, 中山 市朗/メディアファクトリー) 祝完結。 思えば、留学中、一時帰国した際に、東京でお会いした編集さんに強力に勧められたのが読むことになったきっかけ。「まだ本屋が開いてますから、買いに行きましょう」と連れて行かれ、閉店ギリギリの中、「新耳袋」一巻を買い、ホテルで一人で読んだ記憶が。 最初の本のほうが怖い話が多かったような気がするけれど、それは単に十冊も読んでいたらこちらも慣れてしまった、ということかもしれない。 怪談ブームの先駆けとなり、実際に現在のブームを引っ張ってきたこの本の働きは単なる本というレベルを越えたのではないだろうか。 基本姿勢は「実話」。それを語るように記す。怪談に忠実な作りであり、同時に現代的な香りも感じる。 時に怖いものがあり、時にほのぼの、時にほろり。奇妙な味わいもあるし、必ずしもオチがないところもいい。 これで終わったわけではないだろう。まだまだ新しい展開が控えているにちがいない。今後に期待。