読書「地下室の箱」
「地下室の箱」(ケッチャム/扶桑社ミステリー) 堕胎しようと病院に向かっていたヒロインは、そこで男女二人組に誘拐される。地下室に監禁され、箱に入れられた彼女は、二人からありもしない「組織」の話を聞かされ、おびえる。拷問、屈辱、そして諦め。数ヶ月に渡る監禁でヒロインは臨月になろうとしていた・・。 実際にアメリカであった事件をもとにしている話。ケッチャム作品が、これが初めてだったら衝撃の一つくらいは受けたのかもしれないけれど、もう「隣の家の少女」を読んだ後なので、これぐらい余裕。第一被害者は成人女性だし。(いいんかいっ?!) ケッチャム作品を読んでいて思うのは、被害者はたいてい意志が堅固な女性で、とても強い。それが次第に打ち破られていく様子がつらい。助かるときもあればあえなく死んでしまう場合もあり、どの作品を読んでも、本人の意志を越えた何か、大きな無常観みたいなものを感じてしまう。 しかしどの作品を読んでも、「ああ、あの事件が元ネタか」とすぐにピンとくるあたり、自分でもどうかと思ってしまう(^^;) 犯罪史とか好きでせっせと読んでるからなあ。(高校生ぐらいから) この話自体は後味はそれほど悪くないし、それほどグロくもない、普通の(?) サイコミステリ系と言えるかもしれない。