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カテゴリ:つれづれ
おととしの夏、ACF(アマチュア室内楽フェスティバル)応募の際に書いたエッセイです。(音楽MDと一緒にエッセイも出すのです。面白い応募方法ですよね。)
テーマは「私たちのミュージックライフ」800字程度。 舞台を明日に控えた今、まさに私はこの心境です。 ----------------------- 私たちのミュージックライフ 二重筝 双葉 (菊葉真うさぎ 高橋てるみ) 昨日から降り続いている雨にうんざりしながらも、どことなく心が浮かれているのは、ライブを2日後に控えた双葉の練習の為に彼女が私の家を訪ねてくる予定になっているからだろう。 私たちは育成会で出会い、卒業した今、双葉を結成して演奏活動を開始した。関東と関西に離れながら、お互いが時間と予算の許す範囲で行き来して練習をすることにしている。 どうしても本番が関東で行われることが多く、今のところ、彼女が私の家にやってくる回数が断然多い。そのため、私は、双葉の練習が少しでもスムーズに進むよう、いろいろと準備をする。 和室に掃除機をかけている間に出てくる鼻歌は、今日練習する曲の1つだ。また、彼女に「あ、スイッチ入っちゃった!」と笑って言われるんだろうな~と思いつつ歌わずにはいられない。そのくらい練習をしたし、今日の練習が楽しみなのだ。体の中に音楽が染み付いて自然に口からでてくるくらい。 一組立筝台を用意し、もう一組は椅子を二脚使って立筝台を作る。その間に、鼻歌は次の曲へ移る。 今度は今はやりの中国の女性の伝統楽器演奏ユニットの曲だ。いいなあ、あんなに楽しく笑いながら弾くって地歌では考えられないよな~ああいう風に楽しく演奏したい、そう思いつつ、部屋を片付けていく。 「私たちは、人を楽しくさせるような、ホッとするような音が聞かせる事ができたらって思うだけ。それはテレビで弾いてもラジオで弾いてもライブハウスで弾いてもバイトなんかで結婚式や旅館で弾いても一緒。」 しかし、そんな思いに対する邦楽界の壁は厚い。 議論してもしても結論が出ることはない。 でも、弾きたい。 それだけの為に、彼女は来る。そして私は迎えるのだ。 そろそろ時間かな。駅まで迎えに行こう。今日はもう遅いから、練習は明日だろうな。でも・・・ 筝の調弦を確認して私は家を出る。 -------------------- お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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