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2005年05月25日
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カテゴリ:つれづれ
エッセイ好きの私が今手にしている本は川上弘美さんの「あるようなないような

川上弘美さんといえば、「センセイの鞄」が映画にもなって有名です。
このセンセイの鞄も本当にじんわりとせつなさというか、いとしさのこみ上げてくるいい本で、決して大きな事件は起きなくて、読むほうもじっと腰を落ち着けて、長い時間をかけて一気に読みつくしたい本、そんな感じです。

クウネルという雑誌がありまして、そこの巻末に川上弘美さんのショート小説が載っています。いつもそれも楽しみで、上品な文体の中に、静かな心の変化とか、情景の移り変わりとかがしっとりと胸に伝わってきて、何とも不思議な感じ。

なんていうんでしょうね、捕まえがたい文章と言うか、でも、落ち着くと言うか。

エッセイは普通もっと個人的な感情とか、普段の小説では出てこない文体だとか日常が書かれているという意味で私は好きなのですが、川上弘美さんのこのエッセイは小説のようです。やっぱり、そこはかとなく、捕まえがたい。
だから、ばななさんや、ポンちゃんのように、一気に読むのではなく、少しずつ、一コマ読んでは、コーヒーを口にいれ、家の周りに緑に目をやり、また次の一コマに移るといった具合に、ゆったりと読んでいます。

で、私の書きたかったのは、川上弘美さんのすばらしさはもちろんなんだけれども、その中で「豆腐屋への旅」という項がありまして、
「旅というものが、今ある場所を離れて視界の異なる所へ身をおくことを意味するものであるならば、列車を乗り継いで遠方へと行くのも旅の一種であろうし、近所の豆腐屋まで行くのも旅の一種だろう。」(川上弘美「あるようなないような」より)
と書かれています。
これを読んで、あ、私がいつも散歩と称して、鎌倉の街をあっち言ったりこっち行ったりするのも、旅だな~と思ってしまって。
と言うことは、散歩って、旅の簡略系であり、つねに人は旅をしているんだなって思ったのです。そう思うと、ちょっとそこへ行くにも、気持ちの上で大切に思っておろそかにしなければ、人生なんて楽しんだろうって、楽天家の私は思ってしまったわけです。

特に、今回は、すべての裏道を駆使して下馬の交差点へ出たことも私の中ですばらしい旅であり、セブンイレブンにて取り寄せた本を受け取って、さらにレジの上で売っていた「散歩の達人~鎌倉・江ノ電、脇道・抜け道・隠れ道~」という雑誌を思わず買ってしまったのも旅の収穫だなと思うわけです。
だって、セブンイレブンで、その雑誌を買うなんて!
本屋だったら、たぶん私は違う本を買っていると思います。
この奇遇さ、まさに、旅ならでは。
すれ違う犬に手を振ったり、お気に入りのクレープやでお菓子を買って帰ったり、
まだ雨は降らなくて、干していった枕がふっくらと乾いていたとき、ものすごく幸せを感じるのです。

そんな単純な幸せを私に与えてくれる旅、身近な散歩、今日は私をどこに連れて行ってくれて、どんな気分にさせてくれるのか・・・
さしずめ、友達のために、速達を出しに郵便局へ向かいましょう。
久しぶりに、あの道を通って。





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最終更新日  2005年05月25日 09時43分17秒
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