ツブコの茶店

＊ある日コイシは洗い場のおじさんに、訊いている。

「宴会とか、どんな歌、歌うんですか？あのー、ヨースイとか、、、、、、
えっ、グンカ。あ、ぼく知ってますよォ。親戚のおじいちゃん、歌ってたっけ」

＊コイシは新人のパートさんのところにも行く。
「好きな歌手います？あ、シマタニヒトミ、いいですよねー。ぼくスキです」

＊ウェイトレスのしおりさんに訊いている。
「うん、やっぱ、ヒライケンだよねー。ぼくもフアンなの」

＊魚をさばいてるハヤイさんに言っている。
「ハヤイさんて、意外と演歌とか？あ、やっぱり。
トバイチローの歌ね、送別会で、製菓の先生がうたったんですよ。
よかったなあ。」

＊配送のおばさんに手を貸しながら言っている。
「ヒカワキヨシって、いーですよね、ぼくも、、、、、、以下同。

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どうやらコイシのミナサマへの”接近法”は、好きな歌手は誰かと

質問すること、そして、たとえ自分の知らない歌手であっても、

シッテマスシッテマス

と、必ず”受ケテアゲル”ことだとわかった。


そうして、優しそうな人をちゃんと嗅ぎわけてるコトも、見えた。


やさしいオネーサン、のとこに、くるかしら？

ふっふ、来たら、なんていうたろか。

天童よしみ、いやいや、ぶっとんだとこで、メイシー・グレイ、、、、、、

　　と、

コイシがスコスコとやってきて、ハナっからいきなり、

「ツブコさん、コヤナギユキすきでしょー」


　　　　　　　　ってかあ！

わし６月のコヤナギライブにいくんよ。

その”鼻”シゴトに活かしなよっ！

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＜アジアンの猫＞３１

カウンターの端に、丸くなって眠っている木彫りの猫は、

ひと目で、私のコダマと同一であるのがわかった。

栗色の木肌も、撫でるとコチコチとした感触も同じだ。

耳としっぽと鼻だけが黒い、シャム猫カラーの”コダマ”が

ここにいる。これは、現実だ。

現実？それとも、　

幻実？


「おーい、行くよ～」と、オカズは外に出て、私を呼んでいる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく、、、、、、