ツブコの茶店

ともだちのヒラコから電話がきた。

彼女の家の池に、おたまじゃくしが山ほど、生まれたのだという。

「あんまりたくさんいて、モッタイナイからさあ、どうしたと思う？」

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ヒラコはバケツにおたま軍団をたっぷりと入れ、

旅行のたびに、機内でゲットしてためていた沢山のプラスチックのコップをそえて

門の外に出した。そうして

　　　　　　　＜お　たまちゃん、上げます＞


と書いたカンバンを出して、おたまじゃくしをもらってくれる”獲物”を

待っている最中なのだという。ヒラコは

「たまちゃんていったら今話題だもん、カンバンを見た人は”ん？”て

きっと足をとめるよ！」と、いまにも、

「あ、たまちゃんだって」なんていう声が、きこえてくるみたいに

ワクワクしてしている。

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「お　たまちゃんだよ。おたまちゃんじゃないよっ」

とヒラコは”お”に力を入れ、

「また報告するワ」

と、いそいそと電話を切った。

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一週間ほどして、ヒラコからメールがきた。

ヒラコの家の池の大きな写真が、画面いっぱいにどーんと載っていた。

池にはイジョウに太った金魚の群れがごろごろと泳いでいる。

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＜お　たまちゃん＞は誰も持っていかなかったんだ。
自由にお持ち帰りください。と書き添えたのにさ、、、、、、。

と書いてあった。

写真の下には

　＜お　たまちゃんを食べて太ってしまった”金魚たち”です＞　

とキャプションがあり、

さらに
　　　　　　　『今年も元気で暑い夏も越せます。
　　　　　　　　お　たまちゃんありがとう！』

と金魚代表のお　たまちゃんへの謝辞もそえられていた。