ツブコの茶店

　　　　　　　　　　　　　　　　　
きょうは、Ｍ劇場に出る人たちの、江戸芸かっぽれ踊りの総稽古の日です。

＜家元＞の前で、本番のプログラム順に踊り、　チェックをうけるのです。

年に一度、新年会のときしか見たこともないような、

『雲の上の人』の面前で踊るのですから、みな緊張します。

緊張のあまり、いつもはしたことのない、ミスの連発も、めずらしくありません。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　
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「あ～ドキドキ、あ～ドキドキ、ね、どきどきしない？」

と、騒いで同類をふやして安心（？）したいひと。

だまって、震えてるひと。

そんなヒヨコをよそに、煙草を吸っている、経験を踏んでいる御姐さん方。


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私は今年はＭ劇場はパスなので、総稽古に出られないのが、ザンネンです。

というのは、

じつは、私は家元の前で踊るのが大スキなのです。

なぜか、うれしくなるのです。

ポチのように、うれしいのです。

うれしく踊って、　　　　　　　　　　　　　　　　

「え！こんなヒョーキンでイキな芸達者がウチにいたのぉ」と

イエモトを、手放しでよろこばせてあげたいのです。

それは、私の唯一の自信は、下手なところがあったとしても、

アガラず、元気いっぱい楽しく踊れること、だからです。

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そういえば、シケンのとき、家元は楽しそうに笑ってみてたけど、あれは

「アハハ、アハハ、これだけ笑わせてくれるんなら、いいわあ、

ナニモいうことなしっ」　　ってことかぁ？