ツブコの茶店

わたしの家はちょうど、二つのバス停の真ん中にあります。

バス停に行くには、チビ公園のチビコースと、

風の木公園のカゼノキコースがあります。

バス停の間は短くて、歩いても5分くらいの距離です。

どちらへも３～４分で行けるので、そのときの、気分や都合で、

バス停をえらびます。

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「行ってきまーす」

おいしい風が、風の木公園の木の間から、吹いてきます。

森っぽい風のにおいにさそわれて、私はカゼノキコースにきめました。


　　　　　　　　　「ピッポポー♪」

ベランダからトラちゃんが口笛で合図しながら、こっちを見ています。

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バスの時間は９時６分発です。

ちょっとギリギリ気味なので、公園の中をななめに走って到着すると、

バス停にはまだ誰も来ていません。

（走んなくても、ヘーキだったな）

と、思いつつ念のため、看板の時刻表をみてみると、

９時６分のはずの時間が＜９：０７＞と、書いてありました。

改めてよくみると、全部の時間が、変わっているようです。

トラちゃんは今日、大事なシゴトで待ち合わせがあるといっていました。

（たいへんだ。はやく報せなきゃ）

私はバスが来ないうちにとあせりつつ、新ダイヤをぜんぶ書き写し、

それから、電話をかけました。

「バスのダイヤが変わったよ。

でもわかりやすいんだよ。なんか一分ずつ、増えてるみたいなの。

６分は、７分、１２分は１３分とか。一応メモしたからね」

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ちょうどそこへバスが来ました。新ダイヤのおかげで、楽勝でした。


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帰宅して、今朝の説明をくりかえす私に、

トラちゃんが重々しく、言いました。

「今朝のバスはどちらのコースでだったかな」

「カゼノキだよん」

「カゼコースはチビコースの先である。

　ゆえに、カゼノキのダイヤは一分多い」

「オワッ！う、う、気がつかにゃかった～！」

「しかし、相変わらぬソコツ者ながら、時刻メモとは、ゴクロウ、ゴクロウ」

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　　　んな、今日のできごと、でした。