ツブコの茶店

　”無邪気”が詰まっているカラフル花模様のぬいぐるみ”

これが＜わたしのせんせい＞だ。


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　きょうは、かっぽれの稽古日。電車を乗りついでＳ駅に着く。

歩道橋に出たら、向こうから、おけいこの先生が歩いてきた。


カラフルな、カラフルな、　

カラフルなお洋服。

カラフルゥな帽子に、

カラフルンルンなお靴。


先生はずんぐり可愛いぬいぐるみ、みたい。

だから遠くからでも、ひと目でわかる。

先生は真っ赤なキャリーバッグをひっぱりながら、

どしどしぐんぐんと、近づいてきた。

私を見て、顔いっぱいに笑っている。


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先生は私のそばまでくると、いきなり、

「キューリが」

と、言った。

「は、キューリ？」

と、私は”お早うございます”の挨拶を、あっさり＜キューリ＞にあけ渡す。

すると先生は、

「キューリキューリ」

と言いつつ、私の背中を仲良し抱えにして、どんどん駅の方に戻り出した。

そうして、歩きながらふこふこと興奮気味に、

「安いの、きゅーり！！

入り口んとこでね、デパートの。

六本二百円てね！」

と、言う。

「あ、なるほど。　わかった！

＜駅のデパートの入り口のところで、きゅうりが六本二百円で売っている＞と。　　　

そーゆーことかあ。

はあ、安いわぁソレ」


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　ピキピキトゲトゲの元気なきゅうりを、先生は嬉しそうに、

稽古道具の入ったキャリーバッグに押しこんだ。

「ツブちゃん買わないの？」

「私、帰りに買う」

「あ、そーか。それでもよかったんだ。

あはっ、あせっちゃったぁ」

「あら、でも帰りには売り切れかもよ。こんなにいいきゅうりだもん。

せんせい、先に買って正解よ、キット！」

「あっそーよね、うふっ」

「そうそう、そーよ！」

「あはははははは」「わはははははは」


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稽古場は私の家からは、電車で二時間半もかかるけれど、

先生の芸と、人柄にひかれて、通っている。