しいたけ。
子供の頃、しいたけが大嫌いだった。笠の裏の部分のひだがどうしても嫌だった。探さないと見つからないくらい小さいものでもどうしても嫌だった。父に叱られて、嫌々ながら口にして体が受け付けないのを無理やり押し込んだこと今でも覚えてる。それが、いつの頃からだろう食べられるようになったのは。今日も、母特製の散らし寿司をもらった。その味の決め手はしいたけ。しいたけがなければ、味は成立しない。「おいしいな」そう思って、食べられるのはいつからだったろう。大人になると何でもできるようになるのはどうしてなんだろう。あんなに嫌いだった数学の問題も娘の教科書をみて解くことが面白く思えるなんて子供の頃の自分なら到底、考えられないこと。大人になるってそういうことなのかな。だったら、どこかで魔法をかけられるのかな。しいたけがなくてはお寿司がおいしくないなんて。