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カテゴリ:読書(含:漫画)
梨木香歩さんの著書を『裏庭』『西の魔女が死んだ』『エンジェル エンジェル エンジェル』と読んできた。
梨木さんは、主人公クラスの登場人物を、日常から非日常的な世界へと放り出す(『裏庭』では異世界への旅、『西の魔女が死んだ』では、祖母宅へのホームステイ、『エンジェル エンジェル エンジェル』では、急遽痴呆老人介護が舞い込む…という形で)ことで、心の中に潜んでいた暗く淀んだ部分を直視させる…という試練を与えている。 その暗部の曝し方は、極めて容赦のないもので、主人公達はしばしば、自分の心にそんな闇が巣くっていたことに絶望し、どん底に突き落とされていく。 その闇とは、決して特殊なものではない。読み手である我々の誰もが、おそらく等しく持ち合わせているものであろう、負の感情である。 それ故に、こちらも主人公と共に、奈落に突き落とされるような衝撃を、味わうことになる。 その、心を抉り、切り込んでくる文章の鋭さ、痛さを受け止めることは、本当に辛く苦しく、時折、「もう、これ以上読みたくない!」と、本を閉じてしまいたくなるほどだ。 それでも、堪えて読み進めていくと…やがて、主人公達は、その闇の部分も全て含めて、自分という存在が成り立つのだと言うことに気付いていく。 そして、心にほろ苦い想い出を抱えながら、再び「今」を歩き出すのだ。 読後に、心が洗われるような清涼感…というのはあまり感じなかったが、自分をぎゅっと抱きしめてあげたいような…そして、大好きな誰かの頬を、そっと撫でてあげたくなるような…そんな気持ちが沸いてくる。 アンジェラ・アキの歌ではないが、人生とは「苦くて甘い 今を 生き」る事……そんな事を、思う。 裏庭 西の魔女が死んだ エンジェルエンジェルエンジェル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年11月07日 12時39分59秒
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