|
カテゴリ:ダメママの遠吠え
知り合いの日本画家:及川聡子氏から招待状をいただき、銀座の画廊「ギャラリー和田」に出かけた。
今回は個展ではなく、美術館の学芸員を勤める方の企画による「三叉景」と題したグループ展。 及川氏は、ここ数年取り組んでいる薄氷シリーズの新作を出展。以前にもまして、緻密さと繊細さが際だつ作品に仕上がっていたように思う(なんつーか、ど素人のくせに我ながら偉そうなコメントだな……(-_-;)) 他のお二方のうち、園家誠二氏は星をモチーフにした抽象的な絵を、荒井 経氏は早朝若しくは日の入り直後と思われる、薄暗い林を描いた連作を出展されていた。お二方とも、その絵の世界に魂を吸い込まれて、何時間でも飽かずに眺めていられるような作品だった。 個人的には、荒井氏の作品に、特に心惹かれるものがあった。眺めている間、karakの「Cadenzaの森」という曲が、ずっと頭の中で鳴り響いていた。 画廊の中央に佇んで、ゆっくりと作品達を見回す。 なんとも心地よい空気が、画廊を満たしているのを感じる。そしてそれを生み出しているのは、おそらく三者の作品の調和によるものだ。 作品が似通っている…という事ではない。 むしろ、それぞれの作者の個性を、強烈に発しているものばかりだ。にもかかわらず、決して他を力でねじ伏せようとする雰囲気はなく、むしろ引き立てあっているように見える。 例えるなら、赤い光、青い光、黄色の光を重ねた時に、濁るのではなく、白く輝く光が生まれるような……そんな相乗効果を感じるのだ。 何故だろうとしばらく考えて……あれ?と気づいたのは、作品達にいくつかの「流れ」を感じさせる要素があるということ。 例えば ・頭上(星)・正面(木)・足下(薄氷)という、目線の流れ ・夜あるいは闇(星)・昼間(薄氷)その狭間(林)という、時間の流れ ・抽象的(星)・写実的(薄氷)・その中間(林)といった、抽象度←→写実度という流れ 等々。 まるで、三人の画家が綿密に打ち合わせたことによる結果のようだが、実際には画廊に持ち込まれるまで、お互いどんな作品を描くのか、描いたのか、全く知らなかったというのだから驚きである。 今回の展示の企画者である学芸員さんの言葉が、いただいたダイレクトメールに記載されていたが、その冒頭の一文 「グループ展の醍醐味とは、出品者同士の作品の調和による展示空間の妙ではないでしょうか」 この学芸員さんの想い。そして、それに全力で応え、企画を成功させようとした三人の画家達の心意気、自分以外の作家への敬意の念……そういったものが、この奇跡のような偶然を生んだのに違いない……そんなことを感じた私だった。 「三叉景」は、15日(水)まで銀座の「ギャラリー和田」にて開催されています。 お時間のある方は、是非ご訪問ください(残念ながら、本日日曜日は休館ですが)。 残暑厳しいコンクリートジャングルの片隅で、心地よい静寂と清涼感に包まれることができますよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年09月12日 11時12分24秒
コメント(0) | コメントを書く |