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カテゴリ:ダメママの遠吠え
昨日は、知人の日本画家である及川聡子さんの、銀座で開かれていた個展に、最終日すべりこみで出かけてきた。
展示されていたのは、ここ数年取り組まれている「薄氷」をモチーフにしたものと、昨年から新たに取り組まれている「水煙」(湯気)を描いたもの。 薄氷のシリーズは、相変わらず自分がテントウムシくらいの小さな生き物になったような気分になる。 溶けて、凍って……を繰り返して、透明な部分と白い部分とに分かれた氷、その透明な氷の下から透かし見える、雑草や枯葉や稲穂を刈った跡等の、時間が止まったような静かな世界。 いつも通り、何分でも飽かずに眺めてしまう。 水煙は、なんとも不思議な世界。 眺めていると、色々なものに見えてくる。 秋の三人展に一緒に行った友人が「レントゲン写真みたい」と言っていたけれど、確かにそんな風にも見えるし、幽鬼や妖精のように見えたり、何かが脱皮しようとしているようにも見えたり……。 多分、日を置いて同じ絵を観ても、その時その時の自分の精神状態等によって、全く別のビジョンが見えてきたりするんだろうな……なんて思う。 どちらのモチーフからも、私は幼かった頃の事を思い出す。 枯葉やリュウノヒゲにおりた霜を、座り込んで足がしびれて歩けなくなるほど飽かずに眺め続けていたこと。 盆に訪れる両親の実家で、揺れる蝋燭の炎や、線香から立ち上る煙の描く軌跡の面白さに、親に呆れて笑われるほど、仏壇の前に居続けたこと……等々。 だからだろうか、聡子さんの絵を観ているといつも、彼女と背中をくっつけて座っているような……そんな気持ちになってくる。 でも……。 ただ「綺麗だなぁ…」と眺めるだけで終わって大人になってしまった自分と、画家として活躍している彼女とでは、やっぱり『月とすっぽん』以上に違うよなぁ……なんて、苦笑と共に自分の思い上がりを反省するのだった。 五月と夏に都内で個展を、九月に三度目の三人展「三叉景」が開かれるとのこと。 可能な限り都合をつけて、訪問したい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年04月08日 09時38分39秒
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